第13回 「マネジメントの3つの役割」とは何か

「マネジメント」とは、一体何でしょうか。

「彼はマネジメント能力がある」
「あのチームのマネジメントはうまくいっていない」

など、「マネジメント」という言葉は組織内で頻繁に使われます。人材を評価する際にもたびたび用いられます。
しかし、「そもそもマネジメントとは何か」まで、しっかりと定義を共有している組織は少ないのではないでしょうか。

結果、マネージャーに昇進はしたが一体何をすればよいのか、何をより所にマネジメントという仕事に取り組めばよいのか、分からないという方も多いかと思います。
当然、業績上の目標数値を達成することは第一義です。
しかし、それだけで「マネジメント」ができていると考えてよいのでしょうか。私も、初めてマネージャーという立場で仕事をしたときにずいぶん悩みました。

そこから、「マネジメント」を探求し、またドラッカーからも多くを学びながら、納得できる定義と出会いました。それが、

「マネジメントとは、人と組織を活かして成果を上げることである」

というものです。人の強みや能力、個人では持ち得ない組織の力・・これらを活かして価値ある成果を上げていくことがマネジメント。もやもやしていたものが少し晴れた気がしました。

さらに、そのマネジメントの「3つの役割」として、ドラッカーが語っている下記の言葉に出会ったとき、より具体的に行動指針が見えてきました。

「マネジメントには、自らの組織をして機能させ、社会に貢献させるうえで三つの役割がある。
それら三つの役割は異質であるが同じように重要である。

第一に、企業、病院、大学のいずれであれ、自らの組織に特有の目的と使命を果たす。
第二に、仕事を生産的なものにして働く人たちに成果を上げさせる。
第三に、自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題解決に貢献する。」

(ドラッカー「マネジメント」より)

マネージャーとして第一番に求められる役割は、その組織特有の、独自の目的と使命を果たして経済的な成果を上げる、ということです。
企業であれば他社とは違う独自性のあるサービスや商品を考案し、利益を上げていくことでしょう。学校や病院であれば、また異なる「経済的な成果指標」があるかもしれません。
いずれにせよ、マネジメントをする以上、他組織と同じであることに甘んじず「特有の」「自組織でしかできない」目的と使命を徹底して追求する姿勢が不可欠です。
その独自性から、確かな売り上げや利益という経済価値が生まれてくるからです。

一方、会社としては利益を出していながらも、社員には「やらされ感」が蔓延し、過剰な労働で疲れきり、自分の能力が活かせているとも感じない・・。そんな組織も少なくありません。そこで第二の役割も重要になります。
働く人たちが「生産的な仕事を通じて自分を活かせている」と実感できるようにすることです。

そして三番目。利益も出ているし、人も生産的に働けているように見える。しかし、事業を通じて社会に価値を提供できていると実感できないようでは、長続きしません。
従って、マネジメントとして、「この事業は、仕事は、社会のどういった課題解決につながっているだろう」「事業や仕事を通じて、社会にどんな価値を提供したいだろう」と考え抜き、メンバーと話し合っていく姿勢が大切です。

「社会」「組織」「人間」—この三者はつながっています。

マネージャーが視野の中にこの三点を入れておかないと、成功している実感が持てないはずです。
利益は出ていても人が離脱してしまう、あるいは社員のケアは十分に考えているが肝心の業績が上がらない、などなど。
逆に、長期にわたり成功をおさめている組織では、この三つがバランスよく重視され、且つマネジメント層からもこの三点についてのビジョンが明快に語られている気がします。

マネージャーとして、何をより所にし、どのような理想像を目指し、日々のマネジメント実務を担っていくのか。
もし迷われている方がいれば、参考にしてみてください。

マネージャーが社会と、組織と、人間の幸福に寄与しうる、とてもやりがいのある仕事であることがご理解いただければ嬉しいです。

次回は2013年1月10日(木)の更新予定です。

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この記事の著者

PROJECT INITIATIVE株式会社 代表取締役

藤田 勝利

1972年生まれ。上智大学卒業後、住友商事、アクセンチュアを経て、クレアモント大学院大学 P.F ドラッカー経営大学院にて経営学修士号取得。ベンチャー企業執行役員として事業開発に従事後、2010年独立。次世代経営リーダー育成や新規事業の分野で幅広く活動中。著書:「ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント」(日本実業出版社)
PROJECT INITIATIVE株式会社

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