第15回 状況判断・対策策定の三つのプロセス【1】

今回と次回で、前回お話ししました営業のマネジメントにおける
状況を把握・判断し、対策策定力を強化する方法についてお話しましょう。

今回は「状況の把握」と「原因と問題点の発掘」について・・・

営業はなぜ、適正に状況を把握し判断することが難しいのか?

  • 営業や顧客の状況を部分的にしかチェックできていない。
     ・・・予算や決裁者はチェックしていたが、利用部門をチェックしていなかった。その結果、利用部門が反対し案件を失注した。
  • 顧客担当者が言ったことを鵜呑みにしている。
     ・・・担当者が「大丈夫」と言っていた。しかし、経営層が別の課題を重視していて、結果的に予算をとってもらえなかった。
  • 部下の状況を把握しきれない。
     ・・・部下の報告内容や案件状況がバラバラであり、一人ひとりに対して全部確認しなくてはいけないが、管理しきれない。

多くの営業組織を見てきて、大半が上記のような問題を抱えています。
これは、マネージャーの立場で考えるとやむを得ないことです。
なぜなら、営業活動で把握しないといけない情報(=営業成果に影響する要因)は、かなり幅広く、また不確定要素が高い。
そのため、部分的になったり、聞いた情報でしか物事を考えられなかったり、部下全員を管理・チェックしきれない・・・

現状整理や課題を明確にしないまま進んでいる・・・これは営業の大きな問題の一つです。

【1】状況の把握

状況を的確に把握・判断するためには下記の二つが必要です。

  • 把握しないといけない項目を標準化する
  • 判断する指標=仮説

営業成果に影響する要因は、顧客の要望や予算、競合、決裁者だけじゃありません。
利用者の状況や顧客の考え、体質、営業担当者の商品説明や提案方法・・・など

これだけ影響するということはこれだけ把握して対策を考えなければならない。
そのためには「営業成果に影響する要因」を把握し、チェックする方法を標準化しなければ無理です。
商談から戻ってきた営業担当者の報告だけでチェックできるでしょうか?

また、これを標準化することで、上司と部下の共通言語ができます。
(お互いに確認しなければいけない項目や考えるための基準の共有)
よって、上司と部下の相互理解が促進でき、理解する、させるスピードが速くなる。
複数の部下、多様な案件をチェックし管理しなくてはならないマネージャーにとって必要ではないでしょうか?

顧客担当者から聞いた情報を鵜呑みにして、その情報が正しいか、
また顧客担当者から聞いた情報をもとに顧客の様々な情報を考えられない・・・
例えば、「予算がない」
・・・本当に予算がないのか? どのくらいなら予算がとれるのか?
・・・なぜ、予算がないのか? 他の何に投資しようとしているのか?
これは、その情報が正しいかどうかを考える基準がないからです。
つまり、その情報に対して比較して判断する材料(計画や仮説)が必要なのです。

【2】原因と問題点の発掘・・・「悪い場所を見つける情報」「原因と問題点を探す情報」

原因と問題点を発掘するためには、多様な営業の情報をどのように活用するかということを理解することが必要です。

「数値情報・進捗情報」・・・悪い場所を見つける情報
「定性情報・その他情報」・・・原因と問題点を探す情報

見込一覧表を見て、受注時期がずれ込んでいる・・・
「なぜずれ込んでいるのか? 来週中に行ってプッシュしてこい」という指示。
ずれ込んでいる原因は、商談の進め方や提案内容、顧客の状況や反応、業務環境・・・
などの中にあります。
ということは、商談の進め方や提案内容、顧客の状況や反応、業務環境・・・
などの中を見てみないと何をどのように改善したらよいかがわからないはず。
その原因がわからず、「プッシュしてこい」という指示で受注できるのでしょうか?

数値情報や進捗情報は営業担当者の悪い場所を探すだけのもので、その情報の中には原因や問題点(改善しなくてはいけないもの)はありません。
例えば、
【1】商談は多いのに提案件数が少ない
→ 【2】商談の進め方やアプローチ方法、ターゲットの中に原因や問題点がある
→ 商談の進め方や顧客の反応・情報などを見てみると何を改善しなくては
いけないかがわかる
このうち、【1】だけで判断し指示をする、【2】を全体的に見ない、部分的に見ただけで指示をする・・・こういったケースが多い。

これは、病院における診察と検査のようなもの。
診察・・・営業でいう「数値情報・進捗情報」
これによって、どこが悪いのか? どういう検査をすれば原因がわかるのか?を判断する
~頭痛がする、手がしびれる
検査・・・営業でいう「定性情報・その他の情報」
診察であたりをつけた場所の中を見て原因と問題点を探す
~脊髄の神経が圧迫されている、姿勢が悪い、ストレス・・・
その後に、どのような治療がよいかを考える。
「頭痛がする、手がしびれる」と言っただけで手術をされたらたまりません・・・

意外と、見込一覧表を見て受注時期がずれ込んでいる(診察)という情報だけで、「プッシュしてこい」という対策(手術)を指示しているケースはけっこう多いものです。

次回は、適切な対策を考える方法についてお話しします。

次回は3月6日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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