第63回 2種類の「喜び」

前回の続編のようになりますが、「働きがい」に関して、2種類の「喜び」の視点で考えてみたいと思います。

2種類の「喜び」

皆さん、こんにちは!

今年の冬は、日本海側を中心に、豪雪による影響が出たようですが、皆さんの所はいかがだったでしょうか。

前回、「ホワイト企業」を題材にさせていただきましたが、それに対して「今のホワイト企業の定義が、離職率の低さ・福利厚生・残業時間の少なさなどが指標になりがちだが、それだけではなく、こうした条件を満たしたうえで、高成長・高収益企業であるか、従業員一人当たりの生産性が高まっているかといった指標も同じ中に入れて評価しないといけないのでは…」といった主旨のご意見を頂戴する機会がありました。

全くご指摘のとおりであり、「従業員側の権利の主張」「与えられること」ばかりがクローズアップされがちなケースは否めず、本来の「おのおのの会社が目指すこと」「それに対して、自らが与えること」の視点が置き去りになってしまった一面的な論調、もしくはそのような感じ方が少なからずあることも事実のように思います。

もちろん、前回ご紹介した「ホワイト企業大賞」は、その視点をないがしろにしているわけではなく、特に「フロー経営」の概念は、「自ら見いだすやりがい・働きがい」の認識が大前提になっています。

『日経ビジネス(2017年2月15日号)』で、恒例となった「2017年版 働きがいのある会社(GPTW)ランキング」の特集が掲載されています。

この「GPTW(Great Place to Work)」も、ある意味「ホワイト企業」と通じる部分が多く、参考にしていただけるのではないかと思います。

ということで、前回の続編のようになりますが、「働きがい」に関して、2種類の「喜び」の視点で考えてみたいと思います。

「働きがい」とは?

あらためて「働きがい」を考える際に、極端な視点として「“年収2,000万円・年間休日365日”。ここに働きがいはありますか?」という問いがあります。

お分かりのとおり「年間休日365日」ですので、働いていません。もちろん、生活等に必要な収入に関しては「年収2,000万円」は恵まれていますが、働いていませんので、そこに「働きがい」はないということになります。

つまり、「働きがい」とは「働くことを通じてしか得ること・感じることができないこと」という言い方ができるのではないかと思います。

では、「働くことを通じてしか得られないこと」とは一体何なのでしょうか。

「働く」ことを通じてしか得られないこと

2つ目の問いとして、「“遊び”にはなく“働く”ことにしかないものは?」があります。

「働きがい」を考えるに当たって「働くことを通じての喜び」と定義するのであれば、どうなるでしょうか。

楽しさ/愉しさ・充実感・達成感・仲間意識・・・ウ~ン、「遊び」でも「働く」のでも両方で感じられるかもしれませんね。
報酬の有無…それも一つかもしれませんが、前述の問いから考えると、ちょっとニュアンスが違うかもしれません。

皆さんは、どのようにお考えになりますか?

2種類の「喜び」

では、もう少し細分化して「喜び」そのものを考えてみます。

例えば、昇給・昇格させてもらった、評価・報奨してもらった・、プレゼントをもらった。
これらは、いずれも「喜び・うれしさ・良い気分」になるのではないでしょうか。
ただ、これらは、その「喜び・うれしさ・良い気分」をもたらしてくれた主体が「自分ではなく、誰か」に「してもらった」ことが起因になったものです。

つまり、この「喜び」しか知らないと、どこかのタイミングで無意識・無自覚のうちに「誰か(自分以外・会社等など)に何かをしてほしい・与えてほしい」と考える欲求の思考プロセスが定着しがちになります。

これが定着してしまうと、次の段階で「○○は、私に~してくれない」という不満・ストレスにつながる思考を生んでしまうのではないでしょうか。

それに対して、「席を譲る(親切をする)・力を貸す(協力)・褒める・プレゼントをする」としたら、これも相手に感謝され、喜んでくれる姿を見て、私たち自身の「喜び・うれさ・良い気分」につながるのではないでしょうか。

つまり、前述と同様に「喜び・うれしさ・良い気分」をもたらしてくれるわけですが、それをもたらしてくれた主体が「自分自身の行動」が起因になっている点が、決定的に異なります。

この「喜び」を知った方は「誰か(自分以外・会社等など)に何かをしたい(貢献)」という欲求の思考プロセスが生まれてくるのではないでしょうか。そして、結果として「私は、○○に~してあげたい」という貢献意欲が高まるのかもしれません。

つまり、「喜び」には“与える”喜びと“与えられる”喜びがあり、「与える喜び」の方にあるのは「感謝される」ということの存在があります。

そういう意味、であらためて「“遊び”にはなく“働く”ことにしかないものは?」を考えてみると「感謝されること」なのかもしれません。

「誰に」感謝されるのか?

上記でご紹介させていただいたように「働きがい」とは「誰かに何か(≒物質的なモノではない“価値”)を与え、そのことを通じて感謝される」ことで感じるモノなのではないでしょうか。

だとすると、最後に考えるべきは「その価値を与える対象は“誰に”なのか?」ということになってきます。

もちろん、「会社」としては「お客様」に対して、その会社ならではの「価値」を提供することで感謝されるわけです。ただ、「会社」という実態のあいまいな表現を細分化して考えた場合、営業を筆頭にしたお客様との直接接点を持った前線の方々は「お客様」に「価値」を提供することができます。

では、直接的なお客様接点から距離のある立場にいる「経営者」が誰に「価値」を与えるのでしょうか。

その対象が「従業員」なのではないでしょうか。

そう考えることで、おのおのの立場の方が、それぞれの立場で「与える喜び≒働きがい」を自ら得るために、自発的に、積極的に実践する。それが結果として「お客様への価値提供」につながり、「お客様からの感謝の証」として売上・利益・生産性という結果につながってくる。そう考えると、全てが連鎖してつながっているように感じられませんでしょうか。

その「連鎖」が、「家族」にまで及んだときに「家族から感謝される会社」にもなるのかもしれませんね。

今後とも、よろしくお願いします。

次回は3月15日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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