第62回 改めて考える「経営者としての考え方・従業員の働き方・生き方」

日本では、電通や三菱電機の問題を発端にした「働き方改革」が大きなテーマとしてクローズアップされていますが、働く人たちが「どんな会社で、どのように働きたい」と思っているのかも、併せて考えたうえで、経営者としてどう考えるべきかを掘り下げる必要があるのではないでしょうか。

改めて考える「経営者としての考え方・従業員の働き方・生き方」

皆さん、こんにちは!

先日、アメリカ・トランプ新大統領が正式に就任し、いろいろな意味で「激動」を迎えそうな2017年が始まりましたが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

トランプ大統領は、早速TPP離脱や医療保険制度改革のオバマケア見直しなどを発表したように、今までの流れを、ある意味「破壊」する、もしくは「逆行」することを目指しているように思います。まぁ、それを宣言して大統領に選ばれたわけですので当然ではあるのですが……。

また、年始早々にトランプ大統領が初めて行った記者会見での演説で「歴史上、最大の雇用を創出する大統領になる」と発言していました。同時に「崇高な理念や理想を語った歴代大統領とは違い、一切の修辞を捨て、利己的な実利だけを追求する」という方向を打ち出しています。これは、私なりの見解で言えば「自分は○○になる」であり「アメリカを△△のような国にする」ではないところに、彼らしさを端的に表しているように見えています。

「良い・悪い」、「賛成・反対」という意味ではなく、このコラムのバックグラウンドにある「経営品質の概念」とは異なりますので、私自身、違和感を覚えることは事実ですが、経営者である皆さんも、あらためて「企業の売上・収益といった実利だけを追求する」のか「理念・理想に向かって邁進する」のか、どちらの方向を目指すのか、深く自問自答する良い機会なのかもしれませんね。

また日本では、電通や三菱電機の問題を発端にした「働き方改革」が大きなテーマとしてクローズアップされていますが、働く人たちが「どんな会社で、どのように働きたい」と思っているのかも、併せて考えたうえで、経営者としてどう考えるべきかを掘り下げる必要があるのではないでしょうか。

ということで、2017年最初のテーマは「ホワイト企業」という概念を考えてみたいと思います。

ホワイト企業大賞

「ブラック企業」という表現は、もうすっかり定着しているように思いますが、それに対抗する「ホワイト企業」という表現はまだまだ一部でしか使われておらず、概念も浸透していないように思います。

2017年1月22日に「第3回ホワイト企業大賞」が発表され、大賞3社、特別賞10社、推進賞9社が表彰されました。

「ホワイト企業大賞」は企画委員長を天外伺朗氏がしていますが、「天外伺朗」というのはペンネームで、本名は「土井利忠」といいます。ソニーのご出身で、ワークステーション「NEWS」やエンターテイメントロボット「AIBO」の開発者として、有名な方です。ご自身のソニー時代の経験を「フロー経営」として回顧・評価する一方で、2006年退社後に「成果主義がソニーを破壊した」という論文を発表され、その後のアメリカ流成果主義に基づく経営を批判した方としても知られています。

その天外氏が企画委員長を務めている「ホワイト企業大賞」では「ホワイト企業」を「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」として定義しています。

「従業員幸福度」という概念

そんな「ホワイト企業」を選考し、表彰している企画委員会が下記のようなレポートを出しています。

「これからの働き方、生き方の探求」講座レポート

「幸福」をキーワードに企業のあり方を考える―― ホワイト企業大賞企画委員会の試みから

詳細は本文を参照していただきたいのですが、この中に「従業員幸福度」という言葉が出てきます。「従業員満足度」、いわゆる「ES(Employee Satisfaction)」という表現はすっかり定着しているかと思いますが、それとは一線を画す概念として紹介されています。

多くの経営者は「従業員の幸福」を願っているものだと思います。ただこの「幸福」という概念も抽象度が高く、人によって「幸福の定義」が多岐にわたってしまっているかもしれません。

そういう意味で、まずは「経営者自身が考える“幸福”の定義」が前提であり、さらに「従業員が考える“幸福”の定義」を把握し、擦り合わせるところから始めることが大切なのではないでしょうか。

そんな視点で、このレポートをご覧いただくと、ご自身の思考の整理にも役立つような気がします。

また、「“長期的な理想・繁栄”と“短期的な収益・儲け”は相反するものなのか?」というテーマも経営者である皆さんには重要な問いのように思います。

冒頭のトランプ大統領は「短期的な収益・儲け」いわゆる「実利」と、「長期的な理想・繁栄」いわゆる「理念」は相いれないという前提にあるような気がします。その取り組みや姿勢をご覧になって、皆さん自身の「経営者として望ましい姿」を重ね合わせるのかどうか?ということに向き合っていただくことは、意外と「経営者としての“自分”を知る」ということにつながるのかもしれません。皆さんの経営は「何のために、誰のために」あるのでしょうか……。

皆さんも「ホワイト企業」を目指したお取り組みを実践されてみたいとお考えなのではないでしょうか。

今後とも、よろしくお願いいたします。

次回は2月22日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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