第61回 「CHANGE」と「CHANCE」

皆さん、こんにちは!
時間のたつのは早いもので、師走も終わりに差し掛かり年末モードも佳境に入りつつありますが 、皆さんにとって2016年という年はどのような1年だったでしょうか。

1年を振り返り、その年話題になった言葉を表彰する年末の風物詩「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞では「神ってる」が受賞しましたが、皆さんそれぞれにおいてもこの1年を振り返る時期だと思います。

いろいろと「組織風土改革・自律的な従業員育成」という視点でお取り組みを進めておられると思いますが、今年最後となる今回は、先日大塚商会(以下、当社)のお客様とベンチマーク訪問してきた「東海バネ工業」 さんの取り組みから、大切なメッセージを拾い上げていきたいと思います。

「東海バネ工業」さんでの体験

このサイトでも過去何度かご紹介させていただいている「東海バネ工業」さん。

東海バネ工業Webサイト

先日、当社のお客様の役員から新人の方まで30名余りの方と一緒に訪問させていただきました。

今回の訪問の目的は、「上司と部下の関係性」「東海バネさんが考えているリーダーシップ」「従業員の皆さんが持っている思考」といったことをお客様に肌で感じていただくことにありましたので、単なる工場見学にとどまるのではなく、新人から管理職の方に至るスタッフの方々との意見交換も行いました。

その中で、経営陣・従業員のそれぞれの方が仰っていた発言のキーポイントを抜粋させていただきます。

【経営陣】

  • 使命に関して:単品のバネでお困りの方々のお役に立つ
  • 社風に関して:
    (1)会社のために仕事をやらない
    (2)やってみないと分からないことへの挑戦
    (3)挑戦を応援する仲間・上司・会社

上記、(1)に関しては誤解が生まれかねないので、若干の補足をさせていただくと、「会社のため」よりも「自分の成長や家族のため」に働き、その本人が幸せを感じなければ、結果として「お客様のため」、ひいては「会社のため」にならないというロジックが前提になっています。同時に、最終ゴールは「東海バネ以外で働いたとしても、自己成長や幸せをつかみとれるような人材になってもらうこと」だそうです。そのために評価制度は「誰かとの比較」ではなく「絶対評価」を貫いているとのことでした。
つまり、会社はあくまでも手段or結果であり、「自身の成長」や「家族のため」を含めて「誇りを持てる自分でいてほしい・誇りを持てる仕事をしてほしい・誇りを持てる会社にしていこう」というメッセージだと思います。

【従業員】

  • 部下に対して寛容な会社:「やりたいこと」はどんどんやらせてくれる
    否定されることがない
  • 人との関わり合いが濃い会社:皆が伸びるようにチャレンジさせてくれる
    上司/部下、部門間の壁が低くコミュニケーションが取りやすい
  • 組織として前向きに捉える工夫:例えば、「社内不適合」品が出たときには、それを見つけた人に対して「ファインプレー賞」として表彰する

見事に、経営陣の仰っていることと、従業員の感じ方は一致しています。いわゆる「言行一致」ということになります。
お客様からの質問の中に「そうは言っても、投資が発生する提案など、一般社員にはさせられないものもあるのでは?」という意見がありましたが、チョット困った様子で「ないわけではないが、投資金額で上限を設けているわけではない。使命に結びつくか? その人の成長につながるのか? という視点で考える」という経営陣からの回答だったのが、秀逸でした。

また、社員の方から出た「挑戦させてもらえるから“やりがい”がある。しかもそれを達成したら報奨金までもらえる」というコメントも見事でした。

つまり「報奨金(外発的動機)があるから、頑張れる」のではなく「やりたいことに挑戦させてくれる(内発的動機)があるから“やりがい”を感じており、外発的動機の報奨金はその結果」と捉えているという点です。

「“従業員の成長”を支援する企業」への進化
今年1月、当コラムで上記をテーマに書かせていただきました。

第50回 「“従業員の成長”を支援する企業」への進化

まさに、それを体現しておられる会社の一つとして、今回の「東海バネ工業」さんは代表的な事例企業になるのだと思います。

「CHANGE」と「CHANCE」

一方、別のお客様とのミーティングで、下記のようなコメントがありました。
「こういう考え方や捉え方は、よく分かるし、ここにいるメンバーは皆そう思っているけど、どうしても自社で“そうできない理由”を皆が認識していると思う。そのテーマと向き合わないと、この話し合いは砂上の楼閣になるのではないか…」
非常にセンシティブなコメントが、極めて本質的な指摘のように思います。

組織や考え方を「変革して、機会につなげていくには…」という意味で、こんな例えがあります。
「変革」は「CHANGE」で、「機会」は「CHANCE」です。
「CHANGE」と「CHANCE」の綴りの違いを比べると「G」と「C」の違いになります。
この「GとC」の違いは「中に小さなTがあるかないか」です。
この「T」とは何か?

これが、その組織にある「TABOO/タブー」だという例えです。

それぞれの組織にある 「みんなが課題だと思っているけど、なかなか触れられないテーマ」。どの組織にもそんなタブー視化されているテーマがあるものです。

「そのタブーに向き合わないといけないのではないか?!」というのが、前述の方のコメントだと思います。

2016年の年の瀬も押し詰まり、新しい年を迎えるに当たり、自社における「タブー視化」されてしまっているテーマはないのか? それが何なのか? それと向き合うことをしているのか?…

経営者として「組織風土改革・自律的な従業員育成」を望み、「”従業員の成長”を支援する企業」への進化を目指すのであれば、そんな視点でこの1年を振り返ってみることも大切なのかもしれませんね。

良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いいたします。

次回は1月25日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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