第95回 気づく力

「他者に関心を持つ」「自分と異なる思考・意見を受け入れる」ということが「気づく力」を高めるポイントなのではないでしょうか。

気づく力

皆さん、こんにちは!

私の経営における思考の枠組みにおいては「経営品質向上プログラム」をバックグラウンドにしていますが、今年も11月に「2019年度 日本経営品質賞」の発表がありました。今年は「日本経営品質賞1組織・経営革新推進賞4組織」が受賞されましたが、日本経営品質賞は初の銀行ということで、また新たな風が吹き込まれるような気がします。

毎年、こうした受賞企業の方のお話やお取り組みを拝見するたびに、やはり「従業員の“気づく力”」の高さに驚かされます。

しかし、多くの経営者が「ウチの社員は言われたことしかしないし、いろいろな意味で“気づく力”が弱い」といった主旨のお話をされています。

最近では『セルフ・アウェアネス』(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編/DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 訳/ダイヤモンド社 刊)といった書籍も出ており、「アウェアネス/気づき・気づく」というキーワードを耳にする機会も多いように思います。しかし、「セルフ・アウェアネス/自己認識」以前に、そもそも「気づく力」とは一体何者で、どうすればその力を高めることができるのでしょうか。

2019年も12月を迎え、間もなく21世紀に入って20年目を迎えようとしています。今回は、テクノロジーの驚異的発達とトレードオフしているかのようにも見える、人間にしかないであろう「気づく力」について考えてみたいと思います。

「無意識」というメンタルモデル・思考性

『大辞林(第三版)』によると、「気づく」は「それまで意識になかったことに、思いが及ぶ」とあります。

「意識になかったこと」に対して「思いが及ぶ」ということは、それまでは「無意識」だったということになります。つまり、「本人が意識していないこと」に対して「意識的」にならない限り「気づき」は生まれないということです。

こうした自分の「メンタルモデル・思考性」は、それぞれの人の価値観に依拠しています。当たり前ですが、人は生まれ・育ちも違い、親はもちろん、育った場所・習った先生や友達、ここまでのあらゆる経験も全て異なるプロセスを経て「今」があるわけですから、そのメンタルモデル・思考性が異なるのは、当然の結果といえます。

こうした固有の「メンタルモデル・思考性」に基づいて「無意識」になっていることに「思いが及ぶ」ようにするためには、一体どうしたらよいのでしょうか。
そもそも「気づく力」を鍛える・高めるということはできるものなのでしょうか……。

自分の「思考の枠」を壊す

多くの場合、自分の「無意識に意識的になる」ということは、簡単なことではないと思います。それぞれの人が、どうしても「自分の考えが正しい」と思いがちになるのは否めない事実だと思います。

ただ、それが時として「壊される」ことがあります。
何かと話題になっている「スマホの“ながら事故”」なども、そんな例の一つかもしれません。「私には“ながら事故“なんて他人事(ひとごと)」と思っていたのに、不幸にも家族がその犠牲になったことで「自分の無意識の思い込みを壊された」結果、「ながら運転撲滅」に向けた訴えや活動を懸命にするようになるというのも、そんな例なのかもしれません。

また、経営者の方でも「大病」や「倒産」といったことを切っ掛けに、経営スタンスを劇的に変えられた例は枚挙にいとまがありません。

つまり、「自分の常識・固定観念」に縛られている「メンタルモデル・思考性」の外側にあることが目の前に「事実」として突き付けられた場合に、「気づく力」は目覚めるのかもしれません。

では、そんな「想定外の外的影響」がなければ「気づく力」は育たないのでしょうか……。

他者を受け入れる心

人が「自分の常識・固定観念」に縛られやすいことは避けがたい事実だと思いますが、上記のような「思いもかけない事実を突き付けられる」のではなく、「私の考えが全てではない」と他者を受け入れる思考性を持つことが「気づく力」を養う最初の一歩なのではないでしょうか。

前述の「ながら事故」のような大きな出来事でのみ「気づく力」が覚醒するのではなく、「自分の意」と異なる小さな事象は、日々身の回りに転がっているはずです。

こうした小さなことに対して「私には理解できない」と断じてしまうのではなく、「理解できなくても、そう考える人が存在する」という事実を受け入れるようにすることで「気づく力」は少しずつ少しずつ、芽吹くのではないでしょうか。

こうして考えてみると「気づく力」を高められるかどうかは、「他者への関心の有無」によって左右されるのかもしれません。

「自分が大切・自分らしさの追求・自己実現」といった表現がもてはやされていますが、残念ながら、人は本当の意味で「たった一人」では生きていくことはできません。

何かを食べるにしても、誰かが作ってくれた野菜や誰かが育ててくれた動物の肉を食べているわけです。
社内競争に勝って優越感に浸れるのも、そこには誰かがいるからこそ、競争が成り立つわけです。

そういう意味で「他者に関心を持つ」「自分と異なる思考・意見を受け入れる」ということが「気づく力」を高めるポイントなのではないでしょうか。

皆さんの会社の従業員の方は、どれだけ「他者に関心を持って」いますでしょうか……。現状がどうであれ、「生き生き働く企業風土」をつくりたいとお考えの経営者であるご自身にとっては、少なくとも「従業員に対する関心の有無」は、最低限振り返ってみる必要があるのかもしれませんね。

今後とも、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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