第92回 「会社に対する愛着心と組織への貢献度」を高めるエンゲージメント・マネジメント

多くの識者が、会社と従業員の関係に対して「エンゲージメント」という「絆」の重要性を発信しはじめて、およそ10年たった今、本格的にこの流れがスタンダードになりつつあるのではないでしょうか。

「会社に対する愛着心と組織への貢献度」を高めるエンゲージメント・マネジメント

皆さん、こんにちは!

9月に入ったにもかかわらず、関東直撃の台風が来たり、猛烈な暑さがぶり返したりと大変な天候ですね。ここ数年、毎年のように「猛暑・異常気象」といった表現を使う機会が増えてきているように感じます。
皆さん、体調を崩したりはしていませんでしょうか。

前回は「オーセンティック・リーダーシップ」を取り上げさせていただき、「自分自身の“自分らしさ”(オーセンティック)が何か?」、さらにはその「弱み」さえもさらけ出す勇気を持って「信用」を得られるようにできるでしょうか……と問いかけさせていただきました。
第91回 オーセンティック・リーダーシップに学ぶ「自分をさらけ出す勇気」

そんなこともあり、私のこの夏の課題図書の一冊として以下を読みましたところ、オーセンティック・リーダーシップにつながる良著でしたので、ご紹介させていただきます。

『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』

(著:ロバート キーガン、リサ ラスコウ レイヒー 監修:中土井僚 翻訳:池村千秋 刊:英治出版)

オーセンティック・リーダーシップを含め、従来、私たちが「当然・常識・当たり前」と認識していた経営における定石・王道がいかに表面的で一元的だったかと思われるほど、多くの理論や見解があふれています。

それにもかかわらず、経営の実態は旧態依然とし、古い価値観がまかり通っている会社が多いことも否めないのではないでしょうか。

この状況を打破するには、経営者自らが「“自身の経験が上限になる”という固定概念に縛られていることを認識すること」。それこそが抜け出す一歩につながるように思います。

今回は、そんな変化する経営の概念の一つとして「エンゲージメント・マネジメント」を取り上げてみたいと思います。

「エンゲージメント・マネジメント」とは何か

私が初めてこの言葉を知ったのは

『エンゲージメント・マネジメント戦略』(著:稲垣公雄・伊東正行  刊:日本経済新聞出版社)

でした。2010年に出版されたこの本では、10年近く前の多くの事例企業が紹介されていました。

「エンゲージメント・マネジメント」を平たく言えば、「従業員満足/Employee Satisfacion(ES)」を高めることで、「顧客満足/Customer Satisfaction(CS)」を高める行動につながり、結果として「業績」が上がるという「ES→CS→業績」という順序を含めたロジックを指しており、従業員一人一人が組織に対してロイヤリティを持ち、方向性や目標に共感して「心からの愛着」を持って絆を感じている状態を指します。

ここで、現実の経営において、経営者の方にとってハードルが高く感じられるのは「組織に対する心からの愛着」の部分ではないでしょうか……。

従来の思考では「業績を上げるためには、顧客に喜んでもらうことが不可欠であり、そのために従業員を育成する・人材開発に投資する(業績→CS→ES)」という概念だったのではないかと思います。

この思考は、別の表現をするのであれば「会社の業績を上げるために人材を育成する」、さらには「会社の業績を上げるための“道具としての人材”」という価値観に立脚しているともいえます。

そうではなく「ES→CS→業績」の順序を実践するには“従業員の成長・幸せを支援する会社”であることこそが必要です。それは「心からの愛着」を感じ、結果として業績が上がるという思考であり、「人の成長・幸せになるための仕事」という職業観・人間観に立脚しているといえるのではないでしょうか。

米企業「株主第一」を修正

2019年8月20日の『日本経済新聞』電子版にて『米企業<株主第一>を修正」』いう記事が掲載されていました。

米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言

  • * 日本経済新聞 電子版 2019年8月20日 記事

記事では、米主要企業の経営者団体がこれまで「企業は主に株主のために存在する」としていた「株主第一主義」を見直し、「従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組む」と宣言しています。また、ミレニアル世代の6割が「会社の主な目的を利益追求より社会貢献と考えている」との指摘も挙げ、米国資本主義の転換を紹介しています。

ステークホルダー資本主義の再来

スタンフォード大学経営大学院教授のジェフリー・フェファーは2009年の『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』の論文

『ステークホルダー資本主義の再来~株主価値経営は株主価値を創造しない』

で、以下のように指摘しています。

株主価値を高めるために他のステークホルダーの利益を後回しにする企業は、そうではない企業の業績を必ずしも上回るわけでもなく、むしろ低かったりする。そろそろ株主第一主義から、かつての「ステークホルダー資本主義」に戻ろうではないか。

  • * ジェフリー・フェファー 著『ステークホルダー資本主義の再来~株主価値経営は株主価値を創造しない』(2009年 11月) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

「株主価値を高めるために他のステークホルダーを後回しにする企業はそうでない企業の利益を上回るわけではなく、むしろ低い場合が多い」とし、さらに「最近、収益性と生産性を向上させた企業は投資家の利益を最優先させたからではなく、従業員の意欲を高める取り組みを実践したことによる」としています。

多くの識者が、会社と従業員の関係に対して「エンゲージメント」という「絆」の重要性を発信しはじめて、およそ10年たった今、本格的にこの流れがスタンダードになりつつあるのではないでしょうか。

今後とも、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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