第114回 「変えられること」と「変えられないこと」

トップアスリートの中にはメンタルコーチを付けたりしながら、自分の気持ち・モチベーションをコントロールしている方も多いようです。今回は、そのようなメンタルの視点から「変えられること」と「変えられないこと」を整理して考えてみたいと思います。

「変えられること」と「変えられないこと」

皆さん、こんにちは!
先日、私もようやく新型コロナウイルスのワクチン第1回目を接種しました。
東京では4回目の緊急事態宣言になってしまった中で、東京オリンピックは開催されるようですが、アスリートの方々の気持ちのコントロールは、本当に難しいと思います。

最近では、こうしたトップアスリートの中にはメンタルコーチを付けたりしながら、自分の気持ち・モチベーションをコントロールしている方も多いようですが、私たちビジネスマンにとっても、このようなメンタルコントロールは重要なのではないでしょうか。

今回は、そのようなメンタルの視点から「変えられること」と「変えられないこと」を整理して考えてみたいと思います。

「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来」

上記の言葉は、カナダの精神科医エリック・バーン氏の言葉ですが、あまりにも有名なフレーズですので、見聞きしたことのある方が大半ではないかと思います。

ただ、実際には「自分以外の人を変えようとしたり、過去にいつまでもとらわれたりしてストレスを抱えている」、つまり「言葉は知っているけど、なかなか実践は難しい」という印象を抱かれている方も多いのではないでしょうか。

先日、7月2日付日本経済新聞朝刊「サッカー人として」のコラムで、カズこと三浦知良氏が以下のように言っていました。

落選からが人生は山場なんじゃないのかな。

選考に人生を左右されたと感じて投げ出してしまうのなら、結局、自分で人生を棒に振ることになる。そうでなく、諦めず、ちゃんと人生を組み立てていく。きつい作業だけど、這い上がれるか。

敗れた。老いた。別れた。そこからなんだ、勝負どころは。
過去に起こったことは変えられない。でも起こった事の意味なら変えられる。負でしかない出来事も、頑張りようでその意味を、ダイヤモンドのように光らせることができる。

これを実践するには、もう少し「変えられること」と「変えられないこと」を掘り下げて理解を深めるところから考えてみたいと思います。

変えられないこと

私がこのテーマで、セミナー等の場で話をするときによく使う例としては、以下のようなものがあります。

  1. 急に冷や汗をかいてください/すぐに腹痛になってトイレへ行ってください
  2. 私を猛烈に愛してください/●●さんのことを、好きで好きでたまらなくなってください

上記1、2は、突然頼まれてもできることではありません。1は生理的な話であり、2は感情です。この二つは「変えられないこと」であることが理解できると思います。

ですので、仕事やビジネスにおいても

  • 何か分からないけど、あの人の話を聞いているとイライラする
  • 彼と話すと何かムカッとする

といった感情に関する事象は変えられません。

変えられること

一方、たとえセミナーを聴講いただいている場面であっても

  • 3.少し伸びをしてみましょう
  • 4.若い頃の一番楽しかったことを思い出してみてください

と私が促すと、どなたでもすぐに実践できます。

つまり、3は行動であり、4は思考(考える)であり、この二つは「変えられること」だということができます。

ここまでの整理を踏まえて考えると、

  • 「生理現象」と「感情」は変えられない
  • 変えられるのは「行動」と「思考(考える)」ということになります。

ということは、どこをどう捉えればよいのでしょうか……。

例えば「イラッとした」という「感情」は変えられないわけですが、そのタイミングで一度踏ん張っていただき「彼はなぜ、こんな言い方をするのだろう?」と「考える」ことはできるということになります。

そして、この「なぜ、こんな言い方をするのだろう?」という「問い」を立てることができれば「ヒョットしたらこう考えているんじゃないだろうか? だったら、こうしてみよう!」と「行動」レベルにまで昇華することは、比較的容易にできるのではないでしょうか。
確かに、ここの「一度踏ん張って」の部分はある意味でトレーニング・訓練ではありますので、習慣化できるようになるまでは「意識的」である必要があります。

ただ、コレがある程度「習慣化」できれば、一気に思考はブレイクスルーするのではないかと思っています。

ここまで来ると、「変えられること≒思考(考えること)→行動」を実践することが「自分を変えること」であり、その結果が「相手に何らかの影響を及ぼし、相手の行動が変わることを通じて、自分の未来も変わる」というつながりをご理解いただけるのではないでしょうか。

つまり、自分でコントロールできない「生理現象・感情」に引っ張られるのではなく、コントロール可能な「思考(考える)・行動」にのみシフトしていけるようになることで、自分の未来を変えていける自分になっていくということになるのではないかと思います。

そう思って前述のカズのコメントを見ると、理解が深まるのではないでしょうか……。
自分の過去の事実を引きずるのではなく、その事実の解釈をどう考えるか次第で、今後の「自身の行動を変えていく≒自身の未来を変えていく」ことにつながるのではないでしょうか。

今後も、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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