第119回 「パーパス経営」御社の存在意義 何ですか

ミレニアル世代の価値観により大きく変化している働き方。社会において自分の存在意義とは? 今回は、数年後には、ミレニアル世代以降の人たちが就労者人口の過半を占めるようになる現実を踏まえ、「Purpose/パーパス経営」に関して考えてみたいと思います。

「パーパス経営」御社の存在意義 何ですか

皆さん、こんにちは!
早いもので2021年も、師走を迎えてしまいました。昨年来のコロナに始まり、ようやく落ち着きを見せるのかと思いきや、新型変異株オミクロンの登場で、また先行きが見えない状態に陥ってしまいそうですね。東京オリンピックがあったのも、ずいぶんと前のような感覚ですし、ホントに明るい話題は大谷翔平選手の活躍だけだったような気さえしてしまいます。

流行語大賞にもなった「リアル二刀流/ショータイム」ですが、彼自身は、誰かとの比較や競争ではなく、あくまでも「自分のやりたいこと・目指していること」を淡々と粛々と実践しているだけの姿勢がますます好感度を増す要因の一つかもしれません。

そんなミレニアル世代の代表的存在の大谷選手ですが、社会全体においてもミレニアル世代・Z世代の存在は大きくなっています。

11月29日付の日経新聞朝刊一面特集「カイシャの未来~志を探して~」の見出し「御社の存在意義 何ですか」という表現に目を奪われました。

今回は、数年後には、ミレニアル世代以降の人たちが就労者人口の過半を占めるようになる現実を踏まえ、上記記事でもキーワードとしている「Purpose/パーパス経営」に関して考えてみたいと思います。

パーパス(Purpose)経営

2019年辺りから、「パーパス経営」という表現が出てきていましたが、コロナで事業環境が大きく変わっているからか、この半年で一気に目につくようになっています。

詳細は下記書籍やハーバード・ビジネス・レビューの記事に譲りますが、一言でいうならば、『パーパス経営』の著者である名和高司・一橋大学大学院客員教授は、パーパスを「志」と訳しており、「北極星のごとく道しるべになり社員が奮い立つもの」としています。さらに、それが「社会の中における存在意義として、意味づけされているか」が不可分になってきます。

参考書籍

『パーパス経営: 30年先の視点から現在を捉える』
著:一橋大学ビジネススクール客員教授/名和高司氏 刊:東洋経済新報社

参考サイト

パーパス経営とは何か(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部)

ミレニアル世代以降の就労者構造の変化

一方で、「生産人口ピーク時/1995年比13.9ポイント減少の7,500万人に、うち半分がミレニアル世代以降の人たちになる」という就労者構造の変化もパーパス経営を加速させているのかもしれません。

ミレニアル世代以降の人たちの特徴として、「デジタルネイティブ・モノ消費よりコト志向・共感重視・社会問題への関心・競争よりも意味/目的重視・個性の尊重/独自スタイル」などが挙げられ、個人の在り方を重視しているといわれています。

幸福学で有名な慶応義塾大学大学院教授・前野隆司先生は、
「“他人との比較”で得た幸せは長続きしない」
と指摘していますが、そもそもの人間の特性に加えて、ミレニアル世代以降ならではの、「社会問題への関心・意味/目的重視・個性の尊重」が働く意味づけとして大きな影響を及ぼしているといえます。

“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法(こどもまなびラボ)

そういう意味で、彼らにとっては「どこで働くか」は、その会社で行っている事業の意味・意義と自分の価値観の一致は必須条件であり「なぜ、この会社で働くのか」を明確にしておきたいのかもしれません。

他人との比較や、競争優位で達成感を感じてきたオッサン世代とでは見ている景色が全く違い、おのずと経営においても、その変化に追随せざるを得ないのではないでしょうか。

前述の11月29日付の日経新聞「カイシャの未来~志を探して~」の中に下記のような記載があります。

~前略~アルツハイマー型認知症の原因物質を取り除く世界初の治療薬を実用化したエーザイ。実は16年も前に珍しい条項を定款に盛り込んでいた。患者を助けることを第一義とし「その結果として売上、利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考える」。つまり、理念を差し置いて収益を追えば定款違反となる。~後略~

この記載のとおり、売り上げ・利益といった経済資本主義において、企業にとって最も大切とされてきたことですら、使命、すなわちパーパスに基づいた結果でなければ、ミレニアル世代以降の社員には共感を得られない状況になっているのかもしれません。

ドラッカーの言葉に「既に起こっている未来」という表現がありますが、あらためて、会社の存在意義、そこで働く私たち自身の働く意味を考える必要があるのではないでしょうか……。

加えて、下記の記述もあります。

我々一人ひとりは、何のために働いているか自覚しているだろうか。

この問いに対するアプローチの一つとして、ハーバードビジネスレビューオンラインにて「個人のパーパスと組織のパーパスを結びつける」としています。

リーダーとして、従業員の「仕事の意義」をどう再構築すべきか

さて、不透明感が続く2022年を、皆さんの会社では、どんなパーパスを定め、そのパーパスに共感する社員は、どんな価値観に基づいた人たちなのでしょうか……。新年を迎えるにあたって、あらためて熟考してみても良いのではないでしょうか。

今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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