第118回 プロセスエコノミー

ミレニアル世代やZ世代を中心に、製品やサービスの購入スタイルが大きく変わってきているとされている「プロセスエコノミー」。その概念を通じて身近で変化してきている「ゆっくりとした、でも大きなうねり」について考えてみたいと思います。

プロセスエコノミー

皆さん、こんにちは!

コロナ感染者の激減の中、衆議院選挙やCOP26、沖縄での軽石被害など、世情が大きく変わってきた感じですね。
もう11月も半ばを迎え、まだ暖かい日が多く、COP26じゃないですが、温暖化という「ゆっくりとした、でも大きなうねり」がいろいろと身近な変化として感じることが増えてきているように思います。

世の中には、コロナや天災被害のように、否応なく急激な変化を求められることもありますが、これらも、そもそもは「ゆっくりとした、大きなうねり」のような変化の結果として現れているのではないでしょうか……。

名著『7つの習慣』(著:スティーブン・R・コヴィー)にも書かれている第2象限「緊急ではないけど、重要なこと」をおざなりにしておくと、ある日突然「切羽詰まった緊急な出来事として姿を現す」ということに通じるような気がします。

今回は、そういう意味では世代交代として盛んにいわれるミレニアル世代やZ世代を中心に、製品やサービスの購入スタイルが大きく変わってきているとされている「プロセスエコノミー」の概念を通じて考えてみたいと思います。

「プロセスエコノミー」とは

現在、『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』(著:尾原和啓/刊:幻冬舎)という書籍が話題となっています。その帯には「『良いモノ』だけでは稼げない時代の新常識」と書かれています。

まだ「プロセスエコノミー」という表現自体は耳慣れないかもしれませんが、そもそもは連続起業家のけんすう(古川健介)氏が名付け親のようです。

「プロセスエコノミー」の本質とは 名付け親と著者に聞く

この書籍に対しては早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏が「今後のビジネスを模索する企業人、マーケター、感覚の言語化を望む若い世代などにとって必読の一冊だ」と評している書籍になります。

この本で指摘をしているのは、超乱暴に一言で言うと、

現代は企業からアウトプットされる「成果物」としてのモノ・サービスはコモディティ化し、既に飽和しており、差別化は極めて難しい状況にある。今、「若い人たち」の消費行動は、それらを生み出すプロセス(ストーリー・物語)をさらけ出すことを通じて共感を得たモノに対して対価を払うようになっている。

ということでしょうか……。つまり「成果物である商品・サービスの消費」から「プロセスへの共感」という大きなパラダイムシフトが進んでいることを指摘しています。

つまり、「共感したいし応援したいから、そこにお金を払います」「これからはエンパシー(共感)の時代で、今の若い人たちは共感しないとお金を払わない」ということを言っています。

「プロセスエコノミー」の説明としては、なかなかピンと来ない拙い表現になっているかもしれませんが、代表的な例が、クラウドファンディングだといえます。

個人レベルを含めて、何かを作ったり、考えたりしたモノに対して「共感していただけるようであれば……」とお金を集めていきます。この仕組みが成立している絶対条件として、SNSを含めた個人が容易につながる・情報が拡散できるというインフラがあってこそともいえます。そういう意味で、このクラウドファンディングは、既に一般化してきているので、イメージが湧きやすいかもしれません。

「若い人たち」って誰だ?

前述にこうした消費行動をとる「若い人たち」との記述をさせていただきましたが、この「若い人たち」とは一体誰を指し、どれくらいいるのでしょうか……。

ここでいう「若い人たち」とはミレニアル世代、およびZ世代と呼ばれる人たちのことを指しています。

私のような年齢を重ねてしまった世代の人間にはピンと来ないかもしれませんが、「2025年には世界の労働人口の75%がミレニアル世代とZ世代が占める」といわれており、明らかに彼らの社会全体における存在感は大きくなっています。また、世界に比べると割合こそ低くなりますが、日本でも2025年には、これらの世代が労働力の約50%を占めるといわれています。

この事実は、今回のテーマとして冒頭に書かせていただいた「ゆっくりとした、大きなうねり」であり、紛れもない現実です。

でも、こうした「ゆっくりとした、大きなうねり」をないがしろにしていると、ある日突然、切羽詰まった緊急課題として目の前に現れる結果を呼び込んでしまいます。

経営資源の視点でも……

ここまで「プロセスエコノミー」の概念に関しては、私たち企業側から見た「消費者行動」としてご説明させていただいてきました。

ただ、この「ミレニアル世代やZ世代の占有率」の問題は、消費者行動における話だけにとどまらず、私たちの組織での経営資源の視点においても「2025年には、これらの世代が労働力の約50%を占める」ということになります。

消費者としての思考だけでなく、提供者側である立場、あるいは組織人という立場でも「プロセス・物語・ストーリーへの共感」が重視されていき、一方的な結果主義・アウトプット重視の経営には共感を得にくい状況が容易に想像できるのではないでしょうか……。

私たちの会社・組織においてもこうした「ゆっくりとした、大きなうねり」を踏まえた恒常的・継続的変革を進めていないと、ある日突然、切羽詰まった緊急課題になりかねません。

さて、この「プロセスエコノミー」をどう捉え、どう私たちの組織戦略に組み込んでいけばよいと思われますでしょうか……。

今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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