第100回 「混乱時・非常時」だからこそのよりどころ

「混乱時」すなわち「非常時」にこそ、個々の人の底力が問われるのだと思います。今回も「非常時が故に必要なことは何か?」をあらためて考えてみたいと思います。

「混乱時 ・非常時」だからこそのよりどころ

皆さん、こんにちは!

4月7日からの「緊急事態宣言」を受け、期限の目安となっていた5月6日もさらに5月末まで延長されるようになり、未曽有の混乱が続いていますが、皆さん、どのようにお過ごしでしょうか……。

経済環境だけでなく、そもそも一人一人の生活にまで大きな負担となっているわけで、こういう非常時になると、普段はあまり表に出ることのない、その人となり、企業の「考え方の本性」みたいなものが露呈される傾向にあるように思います。

いろいろな考え方があることは重々承知していますが、こうした状況になってもいまだに「俺は俺、自粛も何も関係ない」とうそぶく方をメディアが紹介する映像で見ると、本当に残念な気持ちになってしまいます。こうした「混乱時」、すなわち「非常時」にこそ、個々の人の底力が問われるのだと思います。

これは当然、企業にも当てはまるわけで、社員それぞれが「自分の気持ちの赴くままに動く」では収拾がつかなくなってしまいます。

ということで、今回も「非常時が故に必要なことは何か?」をあらためて考えてみたいと思います。

非常時の人の行動

ある経営者に聞いた例え話です……。

平穏な海を航海しているときには船長(経営者)は「この船の乗員であるスタッフは、真面目で一生懸命仕事をしてくれる」と思っていた。
ところが、ある日、急に天候が荒れ、荒波になり座礁してしまった。乗員を信じていた船長は「こんな混乱したときこそ、乗員の力の見せどころだ!」と思っていたにもかかわらず、多くの乗員がわれ先にと逃げ出している姿があった。
その時に、船長は初めて知った……。「乗員だと思って信じていたのに、ただの乗客だった……」

もちろん、これは極端な例ですし、皆さんの会社はそんなことはないと思いますが、まさに今は、こういう時期なのではないでしょうか。

この例え話は、前回99号でご紹介させていただいた内容と重複する部分があるかと思います。

第99回 「新型コロナウイルス騒動」から学ぶべきこと

考える幅の規定

このような、社員が「自分の気持ちが赴くままの方向」に行動するのではなく、それぞれが力を結集するためには、何が必要なのか……。

「一つの解」として挙げられるのが、「ビジョンの存在」ではないでしょうか……。

前回ご紹介した中では、

(4)限定的な時間意識しか持たない人間と、広々とした時間意識を持つ人間がいる。

  • 「今の損得」を重視する社員の多くと「将来のビジョン」を語る経営者の間の意思疎通・共感が得られなくなっている。

と社員一人一人の個人の視点で書かせていただきましたが、裏を返して経営者側に視点を移したならば、「会社としてのビジョンを明確にしてきていたのか」ということになってきます。

ビジョンは、社員が自律的に自分の行動を考える際の「混乱時・非常時」だからこそ「思考・行動のよりどころ、返る場所」として「考える幅を規定する」機能があります。

どんな非常時であっても、単なる「収入を得る場・機会」として「会社・仕事」を捉えさせるのではなく、自分たちの「仕事の価値」を明示的にして、それに対する理解・共感を持って認識している方がどれだけ多いか? が「思考・行動のよりどころ、返る場所」として機能しているかどうかにつながってくるのではないかと思います。

経営者としての「覚悟」

このような状況下において「明日のメシが食えるかどうか」の切羽詰まった状況で「そんなのんきなことを言ってられるかッ!」というお叱りのご意見もあるかと思います。また「ビジョンでメシが食えるかッ?」という表現でのお言葉も過去何度も聞いてきました。

ただ、今、多くの経営者の方と接させていただいている中で、ある意味「泰然自若」としておられる経営者の方が仰っているのは「ビジョンを明確にしておいてよかった。経営計画書を共有しておいてよかった」という表現です。

もちろん「当面の手当て・止血」は不可避ではありますが、それでもなお「どんな会社にしたいのか? どこを目指しているのか?」を経営者として従業員の方々と共有・共感できているか否かは大きな差として現れてくるような気がしています。

とある経営者からいただいたメールの抜粋をご紹介させていただきます。

新型コロナウイルスの影響うんぬんより以前に、脱CO2や米中貿易摩擦の影響を踏まえてさまざまな準備をしてまいりました。特に、これから何を為すべきか? については、じっくりと社員の皆と意思統一を図りながら、進むべき道を明確化しております。ですから、目の前は注意して歩かなくてはなりませんが、その先のありたい姿も見えていますので、【迷うことがありません】。しっかりなすべきことをなしていきます。

力強いメッセージではないでしょうか……。

「こんなときに……」ではなく「こんなときだからこそ……」という発想に経営者の「覚悟」というものを従業員は感じ取るのかもしれません。

今の「緊急事態宣言」はいずれ解消される日が来ると思いますが、今回の新型コロナウイルス騒動は、ある日を境にきれいさっぱり消失する類いのものではないといわれています。「afterコロナ」ではなく「withコロナ」といわれ、今後いかにうまく付き合っていくのかが問われ「新しい“普通”」「ニューノーマル」がうたわれ始めています。

今こそ、従来の常識・思考を「アンラーニング」、つまり手放して、この機会にあらためて、私たちの仕事の意味や意義をキチンと炙り出して、ビジョンを明確にしておくことが必要なのではないかと思います。

宗教改革者として有名なマルティン・ルターの名言「たとえ明日、世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える」を実践できる従業員で溢れる企業として、変革していければと願っています。

今後も、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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