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第20回 ギラギラからキラキラへ!組織の成熟度を考える
皆さん、こんにちは!
子供たちは夏休みに入り、いよいよ夏真っ盛りのシーズンですね。
前回はサッカー日本代表・本田圭佑選手のコメントを題材に取り上げさせていただきましたが、意外な方からの反応もあったりして興味深くご覧頂けたようです。有り難うございました!
今回は、そんなギラギラした若者の特権とその変化と照らし合わせて、組織の成熟度というコトを考えていきたいと思います。
■ギラギラした野心・野望
「草食系男子」という表現もスッカリ定着して、最近では逆にあまり耳にする機会が減ってしまっているような気がしますが、それでも、やはり若い世代の中には、本田選手のよう「こうなりたい!」「成し遂げたい!」「大儲けしたい!」「世間をアッと驚かせたい!」と自分の人生における野心や野望に満ち溢れた方は少なからずおられると思います。
それは、ある意味、極めて健全で若者特有の特権でもあり、良くも悪くも自己有能感を含めた自己顕示欲の発露なのだと思います。
サッカー界を振り返ってみても、本田選手の前の世代としては、ヒデこと中田英寿選手やカズこと三浦和良選手も、それぞれの時代において同様に尖った存在だったように思います。
いわゆるギラギラしている程の情熱のほとばしりを発していたように記憶しています。
■三浦和良選手の変容
そんな三浦選手が、先日の日経新聞のコラムで以下のようなコメントを載せていました。
↓ ↓ ↓
~前略~ ゴールには力が、説得力がある。「すごい」とみんなが言う。
でもね、僕は毎日トレーニングすることの方がすごいことだと思う。
年間50試合出場していたのが10試合に減ったとする。それなら10試合分の練習で済ませられいいのかといえば、やっぱり50試合分の練習をしないとだめなんだ。
5分しか出られない、出番が5試合に1試合しかない。
それでも、同じことを、同じテンションで高い意欲で変わらずにやる。
1点を取ることよりもよっぽど大変なことだし、よっぽど評価されるべきだよ。
そういうものがなければ、どこかには辿りつかい。
努力がなければチャンスも生かせない。
僕らには「たまたま」なんて絶対にないから。
リーグ最年長ゴールはご褒美。付録です。大事な”本体”は練習なんです。
いかがですか?
現在の本田選手の発言に比べ、三浦選手のこれは何とも言えない脱力感というか、刺々しさがないように感じるのではないでし
ょうか…。
■「結果」は変えられない
もちろん、三浦選手も今もプロサッカー選手として現役であり、結果を求められる立場ですし、本人も結果を求めてプレーしていると思います。
でも、本田選手のそれとは何か少し微妙なニュアンスが違いを感じます。
三浦選手も、当然結果を求めているわけですが、その「結果」という得体の知れないものは直接的に自分が影響を及ぼせないことを踏まえた上で、自分が直接携われる、関われる練習、つまり「行動(プロセス)」のことを「本体」と表し、真摯に粛々と取り組む重要性を説いているような気がします。
もちろん、以前のギラギラしていたカズも魅力的でしたが、いまの三浦選手には「結果」の是非を超越した輝きのような感覚のモノを発しているように見えることと何らかの関係があるのではないでしょうか。
いわゆる「ギラギラ」から「キラキラ」への変化であり、これを「成熟度」と呼んでイイのかも知れません。
■組織の成熟度
この例は、特定の個人を例にしていますが、組織というものにも「成熟度」はあると思います。
会社の規模を問わず、比較的、創業して日が浅かったり、何とかビジネスとしての成功を目指し、良い意味で「ギラギラした雰囲気を持った組織や会社」と言われて、それぞれの方が思い浮かぶ会社が幾つかあるのではないでしょうか。
また、一方でこれも規模・業種を問わず、どこか「尊敬に値する」というような空気感を持った組織・会社もあるのではないでしょうか。
こうした「成熟度の高い組織」では「スズメの学校」のように誰かがムチを振り回してチーパッパと教えるわけではありません。
「メダカの学校」のように「誰が生徒か先生か」の状態で、先輩も後輩も経験の多い少ないも関係なく、相互に学び合う姿勢のある人材で構成されていなければなりません。
つまり、「組織の成熟度」というのは、「その組織を構成している従業員の成熟度」とも言えるわけで、その成熟度の度合いを端的に表現しているのか「社長というトップの方の成熟度」そのものであり、「組織の成熟度が、社長という個人の成熟度を凌駕する」ことは基本的にはないんでしょうね。
「社員が自律的にイキイキ働くような組織風土にしたい」と思うのであればまず「隗から始めよ」ということなのでしょうか。
次回は8月28日(水)の更新予定です。
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