第2回 「働きがい」って何だ?

皆さん、明けましておめでとうございます!

昨年末に1回目のコラムを書かせていただきましたが、年末年始を挟んで、いろいろと2011年を振り返り、新しい2012年への想いを募らせた方も多いのではないでしょうか。皆さんは、どんな一年にしたいとお考えになったのでしょうか・・・。差し支えなければ、是非皆さんの想いも聞かせていただきたいと思います。

私は、年末に何冊かの本を読みましたが、その中で「岡本太郎の仕事論(著:平野暁臣 日本経済新聞社)」に刺激を受けました。本の帯に書かれていた「群れない、媚びない、ブレない」に興味をそそられたのですが、なかなか刺激のある内容でした。少し前に読んだ「坂の上の坂(著:藤原和博 ポプラ社)」同様に、「一人の人間としてのこれからの“働き方”」を考える良著のように思います。

【働きがいと働きやすさ】
ところで、新年第一弾の今回は、前回ご案内したとおり「働きがい」に関してとさせていただきます。

「ハーズバーグの衛生理論」や「マズローの欲求5段階説」等々の理論的解説はいろいろあると思いますが、ここで、そのような理論を並べても面白くないと思いますので、今回はあえて少し違う視点で「働きがい」を考えてみたいと思います。

日本経済新聞11月30日朝刊で掲載されていた調査結果に「働きやすい会社」ランキング(NICES)があります。ここ数年、この調査は実施されており、「投資家」「消費者・取引先」「従業員」「社会」「潜在力」の五つの視点から企業を評価しており、就職活動の学生にとっても興味のある調査結果となっているようです。

ここで皆さんに考えていただきたいことがあります。この調査は「働きやすさ」に関するものです。そして今回のテーマは「働きがい」です。この二つは同じなのでしょうか?仮に違いがあるのだとすると、その違いは何なのでしょうか?皆さんは、どのようにお感じでしょうか・・・。

【松下政経塾のモットー】
話は一変しますが、松下幸之助氏が、晩年私財を投じて政治家を養成するための私塾として「松下政経塾」があります。「新しい国家経営を推進していく指導者育成が、何としても必要である」との思いから立ち上げたということですが、この塾のモットーが興味深いので、ご紹介させていただきます。

それは「不便・不親切・不自由」だそうです。

背景には『自分の頭で考えなはれ!「便利・親切・自由」では志は育たない』との考えがあり、多くの日本人が失ってしまった志を回復させるための人間養成塾である、との位置づけがあると聞いています。

昨今の「便利・親切・自由」を追及する風潮とは、見事なほど対極にあるスタンスですね・・・。
日経新聞が調査している「働きやすさ」は、どちらかと言えば「便利・親切・自由の提供」度合いを表現しているのではないでしょうか・・・。

【与えられるモノと自ら得るコト】
なぜ、唐突に松下政経塾のモットーを取り上げたのでしょうか・・・?

もうお察しの方も多いかと思いますが、組織が提供できる、あるいは提供しようとしているのは「便利・親切・自由」を軸とした「働きやすさ」であり、「環境」であり、それは、私たち働く個人からすると「与えられるモノ」に当たるのではないでしょうか。

それに対して「働きがい」とは松下政経塾では「人間養成」という表現に当たる「自己成長」に近く、決して「与えてもらえるモノ」ではなく「自らが得るコト」なのかも知れません。

つまり「働きがい」とは「働くコトを通じて、自らの成長に繋がっている実感」を指すのではないでしょうか。

だとすると、そもそも「私が“自らの成長に繋がっている”と感じるのは、どんな時なのか? 私は、どこに向かっていることを“成長”というのか?」という問いに答えられなければならないということになります。

これは本来、自分自身の内面のことであり「分かり切っている簡単な問い」のはずですが
実際には意外な位、明確にできていないケースが多いように思います。

【自問自答】
ある方から、次のような表現を聞いたことがあります。
『多くの人が、何も考えていないんだよね・・・。思っているだけ。「ああなればいいな、こうなればいいな・・・」と思っているだけ。考えるというのは、「考えて、考えて、考え抜いて、自らの結論を出して、さらに自らの行動を伴うこと」を言うんだよ』

もし、私たち自身が、あるいは皆さんの会社の社員の方々が「思っているだけ」だったとしたら、働く私たち一人一人が、本当の意味で自分自身が「働く意味」を「考えて、考えて、考え抜いて、そのゴールに向かっていくこと」が、最近流行の「自己革新・自己変革能力」を磨くことになり、「成長の実感」に繋がるのではないでしょうか・・・。

年始のこのタイミングですし、一度自分ご自身とはもちろん、社員の皆さんと「ご自身の働きがい」、「なぜ私は働くのか?」と根源的な問いと向き合って考えても良いのではないでしょうか。

それが、「働くモチベーション」だったり「仕事のエネルギー」だったり、ひいては自律性・自主性といった「組織や事業を動かす原動力」に繋がっていくのではないかと考えています。

本日の第2回は、この辺りまでにさせていただきます。次回までに皆さんのご意見やお考えを聞かせて頂ける機会のあることを願っています。

次回は、人それぞれの「働きがい」ではありますが、一方では、時代背景にも大きな影響を受けることも否めない事実だと思います。そういう意味で、「これからの時代における働きがい」という視点で考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

次回は2月15日更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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