第110回 成熟度を高めるというコト

「成熟度が高まる」というのは、「目に見えないことが見えるようになる」ということではないかと思います。経営者の方は「目に見えないことも見えている(≒成熟度が高い)」に対して、従業員は「目に見えていることしか見えない(≒成熟度が低い)」とするならば、そのギャップを埋めなければなりません。

成熟度を高めるというコト

皆さん、こんにちは!
コロナ対策の緊急事態宣言も首都圏ではさらに延長され、出口が見えない中、いよいよ東京オリンピックの開催に関しても、待ったなしの状況になってきました。オリンピックが開催されるかどうかで、大きな影響を被る業種・業態もあるかと思います。しかし、そんな先行き不透明な時代だからこそ、企業としての「成熟度を高める」ことを通じて、右往左往しない企業体質にしておきたいですね。

ということで、今回は「成熟度を高める」ということを考えてみたいと思います。

経営品質で定義している「組織の成熟度」

私たちは「日本経営品質賞」をつかさどる「経営品質向上プログラム」をベースに企業経営の在り方を考えています。
日本経営品質賞
「日本経営品質賞アセスメントガイドブック」には「組織の成熟度の階段」として下記のように記載されています。

組織は、その主体が人間である社会システムです。意思や感情を持った人間で構成されており、多様性に富んだ複雑なものです。また、時間の経過とともに変化する特徴も備えており、ダイナミックなものとして捉える視点が欠かせません。
~中略~
一般的に組織の成熟度の低い組織は、そもそも意識がなく、こうした組織では「問題ない」「今まで通りでうまくいくはず」「それどころではない」というのが常套句になっています。少し成熟度が上がると「利益を上げろ(結果志向)」という会話が上位下達でなされ「ルールを守れ(標準化の始まり)、そして、失敗が起きると「みんなで一生懸命フォローする」ようになります。しかし、体系だった方法でないため、また同じ間違いを犯してしまいます。
~中略~
もっと成熟度が上がると「本当に我々が提供したい価値を追求しよう」「過去の成功体験に囚われないでいこう」「お客様の期待を超える価値は何だろう」「私たちでなければならない独自能力は何だろう」といった本質的な会話や、組織の規範にまで遡った取組が継続されるようになります。誰かに言われて(外圧により、競合に対応して)行うのでなく、自らの気づきによって自らを確信できる組織となります。

  • *「日本経営品質賞アセスメントガイドブック」(2012年度版、P.195~196から抜粋)

つまり、「組織の成熟度」とは、その組織を構成する「経営者/経営幹部を含めた社員一人一人の“気付く力”を持っていること」を指しており、それぞれのリーダーシップの認識・仕事の捉え方・思考性を指していることになります。

そもそも「成熟」とは何か?

では、「リーダーシップの認識」あるいは「従業員の仕事の捉え方・思考性」の成熟度とは何を指すのでしょうか。

例えば、小学生の子供が異性に好意を持ったり、憧れたりする理由を一般的に考えると

  • テストの点数が良い(勉強ができる・頭が良いなど)
  • スポーツがよくできる(走るのが速い・サッカーがうまいなど)
  • 背が高い(スタイルがいい)
  • 見た目がカッコイイ/カワイイ

といったことが挙げられるのではないでしょうか。

それが、徐々に年を重ね、高校生・大学生と大人になっていくにつれて

  • 思いやりがある(優しい・相手の立場になって考えられる・自己中心的ではないなど)
  • 夢がある(情熱がある・くじけないなど)
  • 信念がある(しっかりしている・自分の意見を持っているなど)
  • 人を見下さない(相手の意見を聞ける・人を尊重している)
  • 責任感がある(人のせいにしない)

といったことに変わっていくのが、一般的ではないでしょうか。

ひょっとすると、これが「成熟度が高まった」結果なのかもしれません。だとすると、これは、一体何が変わり、何を意味しているのでしょうか……。

私なりの見解としては「成熟度が高まる」というのは、「目に見えないことが見えるようになる」ということではないかと思います。

多くの場合、経営者は目の前の取り組みである「短期の視点」と、5年、10年といった「長期の視点」と両方を持ち合わせているものだと思います。よく言われる「魚の目・鳥の目」ということです。なぜなら、目の前の業績を上げることの重要性と同様に、その会社の永続性(潰さない)の重要性を認識しているからであり、従業員の生活だけでなく、その家族や家族の生活を担っているという意識があるからだと思います。

一方、従業員という立場、あるいは若い人というのは、目の前の与えられた職務をこなす視点、つまり短期的な視点のウエートが高いように思います(もちろん、人による違いは大きいですが……)。

そうなると、組織の中で「成熟度の違い」、すなわち「見えている景色が違う人たち」が混在していることになってしまいます。

「成熟度の違い」を埋めるには?

「見えている景色」が違えば、それぞれが「何が正しいと考えるか?」という判断基準や意思決定が変わってしまって当然です。

経営者は「目に見えないことも見えている(≒成熟度が高い)」に対して、従業員は「目に見えていることしか見えない(≒成熟度が低い)」とするならば、そのギャップを埋めなければなりません。

ですから「“目に見えないこと”を“目に見えるようにする”」必要があり、それを「経営の可視化」と言い、代表的なものとして、経営者として「何を考え、どこを目指しているか」を明らかにしたもの「経営理念・使命・ビジョン」があるのではないでしょうか。

さらに、ブレークダウンした「中長期計画・3カ年計画」あるいは「経営計画書・経営方針書」も本来は「わが社として、どうなりたいと考えているか」の可視化を通じた共有・相互理解を通じて、実効性を高めるためのツール/手段として存在しているのではないかと思います。

そうなってくると、「目に見えないこと」を目に見えるように言語化し、明らかにしていくことができる能力が経営者に求められることになってきます。

ところが、経営者の中には「私が考えているコト」を極めて抽象的な言葉、あるいは一般的な表現でしか明示的にできない人が少なからずいるような気がします。さらに言えば、そのことの重要性や意義を感じていないケースも少なからずあるような気がします。

だとすると、「目に見えることしか見ない(≒成熟度の低い)」従業員には、何を言っているのか「さっぱり分からない」という結果になりかねず、「ウチの社員は、理解力が低い」とか「私の考えを理解していない」といった経営者の発言は、天に唾を吐いていることになってしまいますよね……。

もちろん、経営者自身が「目に見えることしか見えない(≒成熟度が低い)」なんてことであれば、いつまでたっても、従業員が「目に見えないことが見える状態」にはなり得ませんし、仮に優秀な「成熟度の高い(≒目に見えないことが見える)従業員」がいたとすれば、その成熟度の低さに失望して、あるいは自分の成長を期待できない組織に失望して離れていってしまうのではないでしょうか……。

その真実は「目に見えないこと」ですので、成熟度の低い経営者には「本当の退職理由さえも分からない・理解できない」という不幸があることさえ気付かないという現実が待っているということになってしまいますね。

さて、私たちは、組織の、従業員の、そして自分自身の「成熟度を高める」ということをどう捉え、どう取り組んでいくべきでしょうか……。

引き続き、今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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