第24回 「イノベーション」と「組織風土」との関係性

皆さん、こんにちは!
秋を楽しむ時間も、この一か月の幾つかの台風と共にアッという間に過ぎ、一気に冬モードになってしまいましたね。

先日、弊社のコンピュータのお客さまを中心にしたグッドパートナー交流会という大きなイベントがあり、経営者の方々を対象にしたワークショップを担当させていただきました。

今回、私が担当させていただいたパートは「イノベーション」を軸にしたテーマでしたが、特別講演で登壇いただいた「よのなか.net・藤原和博氏」、「元早稲田大学ラグビー部監督・中竹竜二氏」の講演も極めて視点として近しい切り口であり、改めて「イノベーション」というキーワードが、経営者の多くの方にとって現実的になっていると感じましたので、今回は「イノベーションと組織の相関」に関してご紹介させていただきます。

■「誰もが特派員」の時代
先日、ある知人からこんな話を聞きました。
この夏の大型台風の際に、自宅前の川が増水し、氾濫(はんらん)しかけていた状況を「こんな状況は初めて見た!」とスマートフォンで撮影し、何気なくYOUTUBEにアップされたそうです。
すると、その日の夕方に、あるTV局から「この映像をTVニュースで使わせてほしい」と電話があったそうです。
 
これは、「どこの現場がこんなになっている!」という情報があってから動くTV局や新聞社の特派員・記者といったプロフェッショナルの力が、その場にいる一市民の興味やリアリティに遠く及ばないことを象徴的に表しています。
 
これもマスコミ業界における「イノベーション」としての大きな動きではないでしょうか。

■ベリーロールではもう跳べない
「イノベーション」という表現から、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?その解釈の幅は非常に広く、曖昧(あいまい)で、それぞれの方が思い浮かべることは違うかも知れません。
 
製造業では3Dプリンタの台頭を筆頭に「生産者と消費者」が明確に区分されていた時代から「使う人自身が自分で作る」といった時代になり、プロシューマ(生産消費者)という言葉が生まれ、サービス業では、あらゆる顧客接点での体験(よい評判も意見も悪い評判も)がソーシャルメディアで一瞬にして世の中を駆け巡る時代となり口コミマーケティングが台頭し、今までの常識・思い込みが全く通用しない時代になっていることは、誰もが認識しておられることと思います。
この大きな変化から、私たちは何を学ばなければいけないのでしょうか・・・。

それは「ベリーロールではもう跳べない」と言うことではないでしょうか。
「ベリーロール」とは、ご存じのとおり「走り高跳び」の跳躍の一つです。
以前はこの跳び方が主流を占めていましたが、現在では「背面跳び」が一般的で、競技会等ではまず見られなくなりました。

「ベリーロール」という跳び方を続けるのであれば、筋力強化や習熟度を高めることでよかったわけですが、そもそも「跳び方」が変わってしまうと、まずその「跳び方」をマスターしなければなりませんし、使う筋肉も違うわけですから鍛え方も抜本的に変わってきてしまいます。
 
では、企業経営において、新しい跳び方である「イノベーション」を起こすにはどのような条件が必要になるのでしょうか。

■イノベーションを阻害する要因、必要な条件
「イノベーション」の定義は幅広く、定義は多岐にわたるものの、いずれにしても「従来のベリーロール」を続けていたのでは「イノベーション」は起こせそうにありません。では、その促進を阻害する要因は何なのでしょうか?

それは、「思い込み・固定概念・バイアス」と呼ばれる私たち自身の中に内在しているものかも知れません。

携わってきた経験・キャリア、それに伴い培ってきた知識や業種・業界の常識や慣習、加えて、それらを適宜効果的にしたコミュニケーション方法・・・、こうした今現在の地位や職位に就くために必要だったすべての事柄。
プロ・その道のエキスパートとしての自負も含めたこれらのことが「イノベーション」を起こすための阻害要因になっている可能性です。

■「イノベーション」の担い手は誰か?
逆に言えば、そうした経験や知識が少ない人の方が「思い込み・固定概念・バイアス」に制約されることなく「興味・関心に基づく新たな視点・着眼」をしやすいのではないでしょうか。

つまり、社内でいえば「若手や女性」、顧客を含めた社外の「素人・アマチュア」の視点がブレイクスルーの呼び水や条件になる可能性を高めます。

つまり「自社のイノベーションの必要性」を最も切実に感じているであろう経営者や幹部の想いの実現・実践をサポートし、力となってくれるのは、実は幹部社員や経験者ではなく、固定概念に縛られていない「ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」であり、彼らの柔軟な発想や視点をいかに吸い上げ、支えていくことができるのか?に掛かっているともいえます。

■「他人事のニーズ」から「自分事のウォンツ」へ
「イノベーション」に必要な視点として、「マーケティング」で説かれてきた「ニーズ」に対して「ウォンツ(欲求)」が挙げられます。

「世の中のニーズ」というのは、極端に言えば、所詮「他人が望むコト」です。それに対して「自分が望むコト」になります。

彼らは、何のしがらみや固定概念に制約されることなく、「こんなモノが欲しい」「こんなコトが実現出来ないか」と自由に考えます。

そうした発想を広く、数多く集め「自分のウォンツ」実現に向けて取り組ませる機会を与えたとしたら、彼らのモチベーションが下がるはずもありません。

皆さんの会社における「イノベーション」を促進するには「社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員の存在」はいかに重要性なのか、その相関をご理解いただき、まず一歩を踏み出して頂ければと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は12月18日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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