第25回 リーダーの「人間観」

皆さん、こんにちは!
早いもので、2013年も大詰めを迎えてしまいました。皆さんの会社にとって、この1年はどのような年だったでしょうか?
「イキイキ働く組織風土づくり」に向けての第一歩を踏み出すこと、あるいはそこに向けた変革を進めることができた年だったでしょうか?

今年も、色々な切り口でお話をさせていただいてきましたが、年末でもあるので、今回は総括の意味も含めて、もう一度原点に戻って、「自律的従業員を育てる・イキイキした組織風土を作っていく」ことに対して、経営者としてのリーダーシップのあり方を考えてみたいと思います。

■ある経営者との会話
先日、ある2代目経営者の方とお話をしていた時の話です。
その方は、2代目の方ですが、タイプとしてはカリスマ性の強いリーダーシップの発揮の仕方をしてこられてきましたが、「経営幹部や社員が育っていない」「今後は“組織経営”に転換していかなければならないが、なかなか自分たちで考えようとしない」ということで「次世代幹部育成・組織経営のための意識転換」にフォーカスしたワークショップをシリーズで担当させていただいてきました。
 
何度か繰り返しましたが、正直言って、なかなか思ったような成果・変化には結びついていないというのが実感でした。

ただ、その社長にとってはある程度の効果を認めてくださったのか「来年度はどんな計画にしたらイイですかね?」とのご相談をいただき、話をしていた時のことです。

私は「年に数回の研修やワークショップも大切ですが、日々の仕事を通じて、この思考性をどうやって継続させて定着に繋げていくのか?を考えていく必要があるのではないでしょうか」と問いかけました。

すると「日々の仕事の中では、すべて私が経営者として物事を決めているからねぇ・・・。私にとっての経営は“私自身への挑戦”なんですよ」とおっしゃいました。
 
■従業員は、経営者の「心の鏡」
いかがでしょうか?このやり取りを聞いて、何か感じることはありませんでしょうか・・・?

私は「あなたは“自分への挑戦”をすることを大切にしておられますが、従業員自身にとっての“自分への挑戦”を促していますか?」と伺うと、「ウ~ン・・・、それはどうかなぁ。私の経営方針を実現するために仕事してもらっているのでねぇ・・・」との答えでした。

私「それは、どうなのでしょうか?ご自身はご自身の夢に向かった挑戦をしておられますが、従業員には“お前の自分の夢や想いのためでなく、俺の夢の実現を手伝え”と言っているようにも聞こえますが・・・」
社長「そういうことになりますねぇ・・・」
私「社長は、自分の人生のハンドルを握っておられますが、皆さんは自分の人生のハンドルを握っていますかね?」
社長「ウ~ン・・・」
私「ここまで、何年くらいそうしてこられました?」
社長「10年以上になりますね」
私「それだけの期間、彼らの人生のハンドルを握ってきて、“自分のことを深く考える”ことをさせてこずに、その能力を高める機会を与えてきていないのに、急に“自分たちで考えろ”と言われて困りませんかねぇ・・・?」
社長「難しいでしょうねぇ・・・。私が変わらないといけない、ってことですか・・・」
 
■従業員は、リーダーの願ったとおりに育っている(?) 
しばしば「組織風土はトップにしか変えられない」と言われます。
もちろん、ボトムアップやミドルアップの重要性もありますが、最終的には否応なく、トップである経営者やリーダーの価値観がその組織には反映するものだと思います。

今回のケースでは、頭では「自律的・自主的な社員として育ってほしい」と思っておられるのでしょうが、心の奥の潜在意識の中では「自分の夢の実現のための道具としての部下」と考えていたということだと思います。

このように「頭で考えていること」と「潜在的な無意識の意識」では、人の行動は「無意識な意識」のアウトプットとして表れてしまいます。

「トップの夢を実現するための社員」「業績を上げるための社員」という具合に「社員を道具」として見ている限り、社員は「優秀な道具としての成長」、つまり「高性能なロボット」に向かって着実に育っていってしまうのではないでしょうか・・・。
皆さんの会社の中にも「ちゃんと指示してください。指示されれば、やりますから!」と言った類の発言をされる方はいらっしゃいませんでしょうか?
これは「私はロボットです。ちゃんとスイッチを押してくれたら、指示通りに動きます」とおっしゃっているのと同義語のように聞こえます。

もちろん、実際はロボットではなく、感情のある人間ですので、それが不平や愚痴といった形で表れてくるわけですが・・・。

社員を、自分同様に「一人の人」としてみる。これは簡単なようで、意外と難しいのかも知れません。

経営トップとして、リーダーとしての「人間観」が、社員の一人ひとりの考え方や行動を制御してしまっているのではないでしょうか。

社員に自律的になってもらいたいのであれば、イキイキした組織風土を作っていきたいのであれば、改めて、2013今年の振り返りとして、今一度、原点に戻って「ご自身の人間観」と向き合ってみる良い機会なのかも知れません。 

来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
皆さん、良いお年をお迎えください。

次回は2014年1月22日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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