第26回 仕事に対する誇り

皆さん、こんにちは!
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
皆さんにとって、2014年はどのようなスタートになっていますでしょうか?

前回は、原点に戻って「自律的従業員を育てる・イキイキした組織風土を作っていく」ことに対して、経営者としてのリーダーシップのあり方に関して振り返っていただきましたので、今回は、皆さんにとっての部下である「従業員の働きがい・自律性」に関して、再度振り返ってみたいと思います。

■「働きがい」は給料と休日?
先日、ある経営者の方との採用に関する会話で「自社を受けに来る学生は、給料の高さと休日日数の多さが最大の関心事だと思う」という話になりました。
皆さんの会社の従業員の方々の意識はいかがでしょうか?

極端ですが「給料は規定通り出すし、年間休日365日!」と言われたらどうでしょうか?
「働きがい」というのは「働くことを通じて得る(感じる)モノ」であり、「休んでいる」間に得る(感じる)コトは「働きがい」ではないかもしれません。

このコラムで何度かご紹介をさせていただいたことのある「東海バネ工業・渡辺良機社長」と「石坂産業・石坂典子社長」とそれぞれお話をさせていただいた時の話です。

・東海バネ工業・渡辺良機社長
「どれだけドンくさい社員でも、彼にも奥さんがおり、家族がいるんや。そんなお父ちゃんが家で“お父ちゃん、ガンバッてるね!スゴイね!”奥さんや家族に言ってもらえるような仕事、自分が感じられる仕事をさせることが管理職や幹部の仕事や」

・石坂産業・石坂典子社長
「社会に必要とされる業務に携わっていることを感じてもらい、自分の子供たちに自慢できる会社であり、仕事であり、母親でいられるようにしていくことが社長としての仕事です。」

■仕事に対する「誇り」
米フォーブス社が30年以上発表している「働きがいのある会社」ランキングは、GPTW(Great Place To Work)という組織が調査をしていますが、働きがいの構成要素として「信頼(信用・尊敬・公正)・連帯感・誇り」という五つのキーワードを挙げています。

株式会社働きがいのある会社研究所 Webサイト

「仕事に対する誇り」・・・
これは、どこから、何から生まれるものなのでしょうか?

東海バネ工業は「多品種微量生産」の職人さんによるバネメーカーです。職場は一般的に「3K」と呼ばれる過酷な現場です。
石坂産業は一言で言うと「産業廃棄物事業」です。
いずれも一般的には「仕事に対する誇り」という視点からは対極のイメージを持たれかねない傾向にあるのではないでしょうか。

こうした業種・業態にも関わらずお二人とも「仕事に対する誇り」をキーワードとして頻繁に発言されています。

■「仕事の誇り」を持つ原動力は何か?
お二人のお話を伺っていると、実に多くの共通点があります。
その中の一つに「仕事に対する誇り」が挙げられますが、その視点の共通性という意味で「自分以外」という点が挙げられるように思います。

東海バネ・渡辺社長は「自分の家族に胸を張って帰れる仕事」とおっしゃっています。
石坂産業・石坂社長は「社会に必要な仕事」とおっしゃっています。いずれも「自分以外」に目が向けられています。

「自分以外の誰か」の対象として、かたや最も近い存在として「家族」を挙げておられますし、一方は最も大きな存在である「社会」を挙げておられます。
この違いはありますが「自分以外」という視点では共通しています。

一般的に働く目的として「自己成長」というキーワードを挙げられる方が多いですが、「自分のための自己成長」なのか「誰かのための自己成長」なのかによって、思考の切り口は全く変わってくるのではないでしょうか?

「自分の成功・キャリアアップ・収入アップ」を目的とした「自己成長」・・・
「自分以外の誰かの役に立つため・力になれるため・喜ばれる」ことを目的とした「自己成長」・・・

「自分のため」はその実現性・可能性が低くなったと感じると「自己成長の欲求そのもの」も低下してしまいます。
一方「自分以外のため」は対象が変わったり、程度の変化はあったとしてもその欲求の低下は限定的なのではないでしょうか。
それどころか、むしろ、時間的制約が増えるほど「残された時間にできること」に対する欲求が高まるのかもしれません。

■「野心」と「志」の違い
シンクタンク・ソフィアバンク代表でもある田坂広志氏は「野心と志の違い」を下記のようにおっしゃっています。
*************************************
「野心」とは、己一代で何かを成し遂げようとの願望。
「志」とは、己一代では成し遂げ得ぬほどの素晴らしき何かを、次の世代に託する祈り。
*************************************

これは対象が「自分のため」と「自分以外の誰かのため」の違いであることを換言しているとも言えますし、「人の成熟度」を表現しているとも言えます。

年齢・性別・職種を問わず「人は誰かに喜んでもらえること」は嬉しいものだと思います。
このことをいかに経営の中にメッセージや仕組みとして組み込んでいくのか?が自律的な組織づくりに大きな影響があるように思います。

ただ、経営者の皆さんにおけるもう一つの留意点としては、その「自分以外」の対象が「会社や上司のため」という範囲に留まらないようにすることがあることも付け加えさせてもらいます。

なぜなら「自分と自分以外」という表現は「自社と自社以外」にも置き換えられるわけですから「会社や上司のため」という視点は「内部論理・会社にとって都合のイイ」ということにもなりかねません。

「自社以外」が指すのは「お客さまや社会」であり、だからこそ、石坂社長の言っておられることに結びつくのではないでしょうか。

さて、私たちの従業員は「仕事に対する誇り」をどの程度持っているのでしょうか。
改めて、振り返ってみてはいかがでしょうか・・・。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は2月19日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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