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第51回 経営者に必要なリーダーシップのあり方
皆さん、こんにちは!
この冬は、やはり暖冬で、凍てつくような厳しい寒さに見舞われる日は少ないように感じます。世の中の動きは、年明けからめまぐるしく、株安・円高基調の中、業績への影響も少なからずあるのではないでしょうか。
前回は「“従業員の成長”を支援する企業への進化」をテーマにさせていただきましたが、先日からとある業界団体の経営者の皆さんとのワークショップで「こんな時期だからこそ、あらためて自分たちのリーダーシップを振返りたい」という話になってきました。
この業界団体の経営者の多くは、創業社長の2代目・3代目であり、決して大規模な大手会社ではないのですが、それでも(だからこそ?)社員の方々をどう巻き込んでいくか、当事者意識を高めてもらうには……? といった課題認識を強く持っておられます。
「リーダーシップ」のスタイルと経営者に求められる要素
20名程の経営者の方に、最初に議論していただいたテーマは「それぞれの方が考える理想的なリーダーシップ・リーダー像とは」でした。
もちろん、いろいろな視点の多様な意見が出てくるわけですが、印象的だったのは「トップダウン型リーダーシップでも、ある時期までは機能するものの、結局いつまで経っても自分が何でも分かっていないと仕事が進まない」という意見が大勢を占めていた点です。
現実的には、今の段階では「トップダウン型」を取っている方でさえも「今の私の会社の従業員のレベルでは仕方なしにこのスタイル」というニュアンスが強く、「本来は……」というと別の形が望ましいとの認識を持っておられる方が多かったように思います。
その「今の従業員のレベルでは……」と仰った方に、ある方が下記のような問いかけをしておられました。
「“今のレベルでは……”というけど、じゃあ、いつの時点で、どうなったら、違う方法を採用できるようになるの?“トップダウン型”で進めているのであれば、そのいつかはホントに来るのですか?」
なかなか厳しい指摘ですよね。
私も過去多くの経営者と接してきましたが、「現状のレベルでは……」と仰る経営者の方で、その転換のタイミングを見出せるようになった方には、巡り合ったことがありません。
そこで、次の段階で出てきたキーワードは「任せられる・考えさせる」でした。
前述の“トップダウン型”採用の経営者の方の反論・反応は「任せられない・考えない従業員たちだから、できない」でした。
もう、この辺りからは堂々巡りと言うか論理破綻といった感覚がご参加者同士の中でも生まれていたように思います。
その次に出てきたキーワードは「対話する・社員の考えを引き出す・傾聴力」でした。
「任せる・考える」の段階を意図的に経営者・リーダーが支援するための方法論として出てきたように思います。
そして、最後に出てきたキーワードとして出てきたのは、「本当にそういう社員・ビジネスマンになってほしい」という想いを私たち自身が持っているのか? という自分たち自身に対する疑問でした。そして、そういう意味では「愛と志」が経営者には必須要件なのではないか? という結論の方向に向かっていったように思います。
経営者の「理想」に向けた一歩とは
では、経営者として、その理想に向かった一歩を踏み出すには、何が必要なのでしょうか……。
ウィンストン・チャーチル元首相は、「最も失ってはいけないものは勇気であり、勇気を失うことは全てを失う」と言っています。お金や地位は失っても何とかなります。でも、自分の中にある大切なものは決して失ってはいけないと指摘しています。
日本を変えた幕末思想家、吉田松陰は「勇気というものがなければ、仁や智は何の役にも立たない」と言っています。
どんなに多くの知識があり、素晴らしい想いを持っていたとしても、それを行動に移さなければ、それは持ち合わせていないのと同じことになってしまいます。
行動を起こすには、なんらかの「勇気」が必要になります。
今までやったことがないこと・難しそうなこと・失敗するかもしれないこと・まわりから反対されたこと……そんなことにチャレンジするには、一歩を踏み出す「勇気」が必要になります。
そんな「勇気」を振り絞るためにも、やはり、社員に対する「愛と志」をどのように感じているのか、向き合っているのか……。
自分自身に対する想いを振り返ってみることが最初の一歩なのかもしれません。
今後も、よろしくお願いいたします。
次回は3月16日(水)更新予定です。
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