第14回 共有と共感の違い

皆さん、こんにちは!

2013年が明けて、早くもひと月が過ぎようとしています。
新政権になって、極端な円安が是正されてきたり、株価も急騰したり、市場の反応はまずまずのようですが、アルジェリアの人質殺害問題で一気に冷や水をかけられたような気持ちになってしまった気がします。

とはいえ、私たちの企業活動は止まることなく、前進していくしかありませんので、今回も「自律的従業員、活性化した組織」をテーマに「共有・共感」に関して、考えていきたいと思います。

■社長からのメッセージに対する「共有と共感」
弊社もそうですが、皆さんの会社でも「年頭の所感」の類のお話はされたのではないでしょうか。

その内容には、トップとしての想いやメッセージが込められていると思いますが、実際にそれは、どの程度、社員の心に届いているものなのでしょうか。
つまり、どの程度、共感を得ているか?という視点です。

少なくとも、「共有」はされているかとは思いますが、それが「共感」のレベルになっているかどうか、という話しです。

そもそも、共有と共感は同じなのか?という議論があるかと思いますが、私なりの定義としては「共有は頭で理解すること、共感は心に響き、腑に落ちた状態」と考えています。

そのことを目の当たりにしたケースが最近ありましたので、ご紹介をさせていただきます。

今、ある会社で「幹部社員(具体的には支店長・部長クラス)のリーダーシップ開発」のご支援を担当させていただいています。

もう1年近く継続させていただいており、「個人ビジョン」「チームビジョン」の策定を終え、いよいよ春からの新年度に向け、「会社の方向性との整合性を図る」段階になっています。

そこで、先日の「社長の年頭所感」が登場しました。
もちろん、それは支店長クラスの皆さんは聞いていましたし、書類としても読んでおられました。

そのことは、皆さんに確認もさせていただきましたし、「ちゃんと聞いた」という意味では「共有」されている状態でした。

では、「どんな内容だったでしょうか?」という問いに関しては、突然シドロモドロになってしまい、一部のキーワードとなる単語が出てくるのが精一杯の状況です。

「アレッ?!」…これは共有されていると言えるのでしょうか?という印象を持ちました。

そこで、改めて、その書類をご覧いただきました。
そこには、「変革・効率化戦略・成長戦略・社員の主体性」といったキーワードが並び、会社の方向性も明示されています。

それを改めて読み込んでいただきながら、皆さんで「ここに書いてある内容は自社の活動・業務、あるいは社員自身の取り組み意識をどうすることを指すのか?」を検討・議論していただきました。

そうすると、まず最初に起こった現象は、その解釈が人によってまちまちだということです。

「効率化戦略とは、ここに書いてある○○のことだよね」
「そうですかね?! こっちの△△ではないんですか?」
といった感じです。

最終的には、私からの「ここに書かれている成長戦略に関しては、まだ皆さんの議論には出てきていませんよね?」に対しては「そうですね・・・、どれを指すんでしょうかね・・・」という状況です。

■構造化して、「共感」につなげる
皆さんは「ロジカルシンキング」をご存知だと思いますが、ここで、その所感に書かれている内容を「構造化」してツリー構造にして議論を深めてもらうようにしました。

最上位概念は、比較的スンナリ同じ認識でした。「では、その下の中位概念は?」「さらに、その下の下位概念は?」という要領で議論をして頂きながらコンセンサスを深めていただきました。そして、一つの構造図が完成した時・・・

ある方が「あ~っ、そういうことか!ようやく全体像が分かったわ。」とおっしゃいました。

この思わず発せられた言葉が「共感」につながった瞬間ではないでしょうか。
いわゆる、「腑に落ちた」瞬間です。

他の皆さんも、納得感が高まり、スッキリした表情の方が大半を占めておられたように思います。

■「共感」の重要性
このような事象は、皆さんの会社の中でも日常的に起こってはいないでしょうか?
トップの方は、何度も同じことを言い、時には所感のような形でまとめ、想いやメッセージを伝えている。
にも関わらず、一向に伝わった実感がなく、社員の行動も変わってこない・・・。

今回も、ある方から「何度も聞いているし、何となく分かったような気がしていたけど、こうして深く考える機会がないと聞き流してしまっている、ってことですね」とおっしゃっていました。

「コミュニケーション不全の時代」と言われ久しいですし、確かにコンテキスト(文脈)を読む力は弱っているのかも知れません。

だからこそ、こんな機会をあえて作らないと、本当の意味では「共感」してもらうことは難しいのかも知れませんね。

「社員がイキイキ働き、能力を最大限に発揮する組織風土を作りたい」とお考えの皆さんだからこそ、「今すぐはできない」としても、日々少しでも前に進めていくための工夫が必要になってくるということではないでしょうか。
今日、皆さんの会社の従業員の方々は「イキイキ働く」方向に一歩でも前進する機会があったでしょうか・・・、を振り返ってみては、いかがでしょうか。

引き続き、次回もよろしくお願いいたします。

次回は2月20日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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