第13回 未来からの逆算

皆さん、こんにちは!

いよいよ2012年も年の瀬を迎えていますが、いかがお過ごしでしょうか。
先日の衆議院選挙で民主党政権から自民党政権に戻ることになったわけですが、単なる政権交代ではなく、これから10年の日本の行方を左右するコトを肝に銘じて取り組んでもらいたいですね。

「今をどう乗り切るのか?」は当然ながら、将来「どんな国にしていくのか」の議論も是非期待したいところではないでしょうか。

ということで、今回は前回の予告通り「未来からの逆算」が組織構成メンバー(=従業員)の活性化にどう繋がるのか?に関して、ご紹介をさせていただきます。

■なぜ、「未来からの逆算」なのか?
現代のように変化が激しい環境の中、10年後の予測どころか、1年後もどうなっているか分からないご時世です。
そんな状況の中で、なぜ「未来からの逆算」が重要なのでしょうか。

イチロー選手や石川遼選手の「小学生時代の作文」はあまりにも有名ですが、やはり「未来の夢・なりたい姿/状態」を持たない限り、そのゴールには近づくことが難しい、ということは言えるのではないでしょうか。

もちろん、「未来の夢・なりたい姿/状態」を持ったからといって、その実現が保証されるわけではありません。個人的には「それでも、なお…」ではないかと思います。

例えば、10歳の少年が「10年後にはK-1選手」になりたいと思ったとします。

その少年が、取り組む課題は
・パワーをつける→筋力をつける→筋トレの実施
・体を大きくする→食べる量を増やす→食事の回数を増やす
といったことが思い浮かべられます。

しかし、実は、その少年は、本当は「マラソンランナー」になりたかったとしたら、前述のような取り組みではなく、例えば「心肺機能を高める・持久力をつける」と言ったことが課題となってくるはずです。

つまり、これは、「ゴールの設計によって、取り組む課題が変わってくる」ということを意味しています。

それどころか、ヒョットすると、ゴールの設計によっては、間違えた努力を必死にするという結果にもなりかねません。

■組織、企業経営に置き換えると…
これを、皆さん経営者の立場として置き換えて考えてみると、どうなるのでしょうか。

多くの経営者の方々は、ご自身の構想やイメージという意味で「こうなりたい」という想いをお持ちだと思います。
それは、創業者の想いを引き継いだものであったり、ご自身が創業者であれば、創業に至った想いや問題意識だったり、それぞれの会社における強みを活かすことだったりするのではないでしょうか。

では、その想いはどれ位、今の従業員の皆様に伝わっているのでしょうか?

つまり、想いが伝わっており「こうしたい・こうなりたい」ということが従業員の皆さんに届いて、且つ共感を得ているのであれば「K-1選手」なのか「マラソンランナー」なのかは別にして、そうなるために従業員は自分は、その役割において、どうすればよいかを自ら考えることが出来ると思います。

ただ、ある人は「K-1選手」だと思い、別の従業員は「マラソンランナー」だと思っているとすれば、それぞれの努力は違う方向、ベクトルに引っ張り合う結果を招きかねません。

だからこそ、自社における「未来の姿」を明示的にして、従業員がそれに共感することが「未来からの逆算」の意義であり、それぞれの従業員が自律的に考える前提になると言えるのではないでしょうか。

■最近、注目の経営者
ところで、 皆さんは「面白法人カヤック」という会社はご存じでしょうか。

ユニークなサービスを次々と生み出す「Webクリエイター集団」として注目を浴びていますが、この会社のユニークさの最大のポイントは、「"何をするか"、よりも"誰とするか"を優先してきた」会社だと言うことではないか、と思います。

つまり、「事業戦略」よりも「組織戦略」を優先して成長してきた会社だと言えます。

これは、従来の創業の一般的な創業のプロセスや、ここに私が書かせていただいてきた思考からは、一見、外れている、あるいは考えにくい発想です。

ところが、この会社が、今盛んに言っているメッセージが「日本一、経営理念を大切にする会社」ということです。

面白法人カヤック様 Webサイト

先日、直接お話を伺う機会がありましたが、
「自分たちは、組織戦略を優先して経営を考えてきましたが、それは時代背景もあると思います。
私たちは、モノに囲まれ、何かを不足に感じた経験は希薄です。
それよりも、私たち仲間にとって、何が面白く、愉快に思う感覚が近いことが大切でした。
そこから「面白い(ユニーク)なことは何か?」を突き詰めていく組織としての方向性が確立されてきました。
そして、最初は「自分たちが面白い」事が重要でした。
しかし、徐々に「面白いことで、世の中を溢れさせたい」と思うようになり、従業員を増やしていく中で、その想いを共有する意味でも、経営理念やビジョンが、重要になってきました。」
という趣旨のお話をされていました。

■組織の成熟度
それぞれの企業には、時間的な歴史と共に、組織としての「成熟度」と言えるものがあるように思います。

古い管理観としては「従業員は基本的に働きたくないものであり、ロボットのように指示命令に従わせれば良い」よいうものが挙げられるかも知れません。

しかし、「従業員がイキイキ働き、自律的な集団・組織」にしたいとお考えになるのであれば、その従業員の成熟度を求める前に、組織のリーダーとして「私はどうなりたいのか?私は、会社をどうしていきたいのか?」を含めて構成員である従業員に、どのようなメッセージとして届けることが出来ているのか?を、立ち止まって振り返る必要もあるのかも知れませんね。

今年は、年末年始のカレンダーの関係で、長期のお休みの方も多いかと思います。
新たな年を迎えるに当たり、少し考える機会とするのも良いのではないでしょうか。

では、皆さん、よいお年をお迎えください。

次回は2013年1月23日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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