第9回 イキイキ働く企業風土に向けたリーダーシップ

皆さん、こんにちは!
8月の半ばを超えましたが、まだまだ暑い日が続きますが、夏バテにはなっておられませんでしょうか。
この夏は、やはり「ロンドン・オリンピック」の話題であふれていました。

体操・内村航平選手の金メダル、水泳・北島康介選手の三連覇ならず、サッカー男女揃っての大活躍等々、その事実と同時に、ここまでのドラマ・物語も多数紹介され、私たちの心に響く逸話もたくさん見聞きしたような気がします。

前回は「イキイキ働く企業風土」に向けて「創発による合意形成」というプロセスに関してご紹介させていただきましたが、その実践に向けたキーワードとして「フラットな関係」を挙げさせていただきました。

今回は、その「フラットな関係」を築くための「リーダーシップのあり方」に関してご紹介させていただきます。

■「なでしこジャパン」における佐々木則夫監督
今回のオリンピックでは、昨年のワールドカップ優勝に続いて銀メダルという成績を残した女子サッカー「なでしこジャパン」ですが、今回取り上げたいのは各選手をイキイキと輝かせ、最高のパフォーマンスを発揮させた佐々木則夫監督のリーダーシップに関してです。

彼の著書「なでしこ力(講談社)」にも、彼のリーダーシップに関する考え方を表すエピソードが幾つも出てきますので、幾つかご紹介させていただきます。

-「おれの言うことを聞け」と選手に命令するような態度では、監督失格だ。言って聞かせればできるというのであれば誰だって名監督になってしまうし、そもそもサッカーは誰かから命令されてやるものではない。

-「コーチ」の語源は、「馬車」だ。コーチという言葉には、「人をある地点まで送り届ける」役目を担う人、という意味がある。ではコーチが馬車なら選手は何だろう。答えは「乗客」だ。間違っても、選手は「馬」ではない。

-僕も選手も人間である以上、相手の気持ちを理解しようと心がけることはとても大事だと思う。僕は常に選手の心の状態を察するようにできる限りの努力をしているつもり

-選手が成長するかどうかは、技術や知識ではなく、「決意が本物かどうか」で決まるものだと、僕は思っている。だからこそ、僕は就任当初から選手たちと一緒に目標を共有してきたし、その目標を達成しうるプロセスを導き出し、選手の長所を活かす組織を構築して、なでしこたちと一緒に戦ってきた。

いかがですか?これらのコメントの「監督→経営者、サッカー→仕事、選手→社員・・・」と置き換えるだけで、ずいぶんとご自身に、あるいはビジネスシーンに照らし合わせることができるのではないでしょうか。

■サーバントリーダーシップ
このような「リーダーシップ」を評して「サーバントリーダーシップ」と言います。「サーバント(servant)」とは「召し使い・奉仕する人・身を捧げる人」と訳されます。
つまり、佐々木監督になぞらえると「選手の本物の決意を実現するために、選手の心の状態にまで気を配りながら、身を捧げて奉仕する人」ということになります。
つまり、「主役は選手」であり、「乗客」である彼女たちの目標達成に向けて支援型リーダーシップを発揮してきたということになります。

サーバント・リーダーシップ(支援型リーダーシップ)に関しては、「サーバントリーダーシップ入門(著:金井壽宏氏・池田守男氏 かんき出版)」に詳しく紹介がされているので、ここでは割愛させていただきますが、誤解のないようにしておかなければならない点として「ただのサーバント(召し使い)になってはいけない」ということが挙げられます。

つまり『崇高な目的・ビジョン・ミッション』といった大きな絵を示した上で、それに向かって「本物の決意を伴った選手」に任せ、支えるということが求められています。

その上で、特徴として

  1. メンバーとの相互信頼関係にあり、メンバーのアイディアを尊重できる(傾聴と共感)
  2. メンバーの感情に配慮した気遣いができる
  3. 自らが控えることを知っている(オレオレと前に出ない。役立ち、尽くし、癒し)

といったものが挙げられ、これらが「フラットな関係」を構築するポイントと言えるのではないでしょうか。

■社員の夢の実現をサポートする
「なでしこジャパン」から少し離れて、これとは別の表現としてはカール・アルブレヒトが提唱した「逆さまのピラミッド」としても表されています。

この図を見ていただいたどおり、いわゆる「現場第一線の社員」が顧客接点にいる形になっています。

そこにいる「社員」は多様な視点・価値観を持っているわけですが、リーダーが掲げた『崇高な目的・ビジョン・ミッション』といったモノに照らし合わせて、自律的に考え、ベストな方法を考え、実行しようとする社員の行動を、経営者は「任せ、支える」ということを表しています。

従来の「ピラミッド組織」では、経営者の大号令に基づいて「右向け、右」のように、全員を同じように動かすという点で効率的だと言えます。また、この時に社員に求められるスキルは「言われたことを、言われたとおりに実行する」事だと言えます。

つまり、社員が持つべき能力要件そのものを逆転しなければならない、ということも同時に意味しています。

これは「どちらが優れ、どちらかが悪い」という類のものではありません。
経営者である私たち自身が、自身の組織のあり方として、あるいは社員の成長や幸せの視点でどちらを望むのか?ということだと思います。

「ウチでは難しいな・ホントに実現出来るのかな・煩わしそうだな・・・」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、「社員がイキイキ働く企業風土」を目指しておられるであろう読者の皆さんご自身が、こうした問題をも理解した上で「やっぱり、こうしたい!」とコミット・決意を深めることが「リーダーシップのあり方」を決めるのではないでしょうか。

なでしこジャパンの代表的な選手として有名な澤穂希選手はこんなことを言っています。
「なれるかどうか」「できるかどうか」という根拠をさがす必要はありません
「なれたら、できたら、どれだけ嬉しいか」とイメージすることが「夢を叶える」スタートなんです。

さて、あなたは「経営者の夢」として、どちらに進みたいとお考えになっておられますか?
詰まるところ、組織や風土を変えるのは、その組織の長のリーダーシップに掛かっていると思いますし、組織の長にしかできない事柄だと思いますので・・・。

私は「なでしこジャパン」のように躍進し、イキイキした組織風土の会社があふれた状態になってこそ、企業としての責任でもある業績という結果を伴ってくると信じて進んでいきたいと思っています。

また、次回も引き続きよろしくお願いいたします。

(2012年9月19日(水)更新予定)
コラムの更新が遅れておりまして申し訳ありません。9月24日に掲載いたしました。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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