第10回 「ライフ・ポジション」から考える「フラットな関係」

皆さん、こんにちは!
9月も後半を迎え、ようやく朝晩の涼しさを感じるようになってきましたね。

前回は「イキイキ働く企業風土」に向けた「フラットな関係」を構築するための色々なタイプのリーダーシップがある中で「サーバントリーダーシップ」の考え方をご紹介させていただきました。

今回は、皆さんご自身の「フラットな関係」「サーバントリーダーシップ」を実践するための前提条件となる「人間に対する自分の見方(ライフ・ポジション)」に関してご紹介をしていきながら、経営者(リーダー)としての在り方を考えていただく機会にして頂ければ、と思います。

■「人間(自分と他者)に対する自分の見方(ライフ・ポジション)」
人は、それぞれ自分の人生に関しての基本的スタンス(態度)を持っているものです。これを「ライフ・ポジション」という言い方をします。楽観的か悲観的か、外交的か内向的か、積極的か消極的か・・・といったものも、それに該当します。

つまり、大きくは「自分を肯定的に見るか、否定的に見るか」「他人を肯定的に見るか、否定的に見るか」によって4象限に区分されることになります。(下図参照)

ここで言っている「OK」とは「肯定的に見る」と同義で、「好かれている・愛されている・優れている・いい人間である・正しい・強い・才能がある・賢い・成功する・楽しい・明るい・正直である等々」を指しています。

一方「NOT OK」とは「否定的に見る」と同義であり「嫌われている・愛されていない・劣っている・無価値である・浅はかである・弱い・能力がない・ずるい・下手・無知・劣っている等々」を意味しています。

■ライフ・ポジション別の特徴
【私はOK(肯定)、あなたもOK(肯定)】
「共生」「一緒にやっていこう」という協力的・建設的な態度です。
他の三つのポジションは感情に基づいて形成されますが、このポジションは、「思想・信念・行動の結果」に基づいて自ら形成されるため、表面的な喜びや慰めでは到達出来ません。こうした人生態度を取ろう、こういう生き方をしようと深く考えて辿りつくものだと言えます。

【私はOK(肯定)、あなたはNOT OK(否定)】
「支配・強制型」となり、他人に対して疑惑・反感・不信・猜疑(さいぎ)心を抱いています。
自分と異なる意見・アイデアを無視したり、軽視します。権威主義で威張った態度になりがちです。
結果として、イエスマンばかりを周囲に集めるようになります。

【私はNO TOK(否定)、あなたはOK(肯定)】
「依存型・逃避型」で、いわゆる、甘えタイプと言えます。
自分から物事をリードできずに、常に受け身になりがちです。相手に順応することによって肯定されることを求めているので、他人の指図を熱心に求め、喜んで引き受けますが、いつまで経っても自分を肯定的には見ることができません。   

【私はNO TOK(否定)、あなたもNO TOK(否定)】
「破滅型」で、人生そのものを「どうせ大したことはない」と思いがちです。
人間についても「どうせ・・・」と思っているので、何かにつけ無力感にあるだけでなく、相手にも不快感を与えてしまう傾向があります。例え、他者からの真心であっても素直に受け取らず歪めて受け取ってしまいがちです。

さて、皆さんご自身は、どのタイプだと思われますか?

■「気づき」と「気づき」の阻害要因
「気づき」という表現は、しばしば使われますが、自らを成長させるためには避けて通れない「最初のプロセス」と言えます。
「気づき」は知識として頭で理解することとは異なります。
「気づき」を重ねることによって、最初は表面的だった「気づき」が、次第に自分の内部への「気づき」に広がっていくものです。
いわゆる、自問自答・内省と呼ばれるものです。

「自問自答・内省」を通じて、問いかけを自分自身に向けることによって、「自分への感受性」が磨かれていきます。

一方で、なかなか「気づきのない人」もいます。そういう方は、成長しませんし、独りよがりで自分勝手なので、周囲から敬遠されてしまいますが、残念ながら「気づきのない人」は、そのことにさえも気づけません。

「気づきのない人」にはその思考プロセスに障害物が横たわっていると言えます。

  • 感覚不機能:何も感じない・見ても見えない・聞けども聞こえず「分かりません」「知りません」
  • 怒り・心配・目先に支配されている:「それどころじゃない・後にしてくれ」
  • シミュレーション不全:自分の体験として見ない・決めつけ:「みんなそう思っている・どうせ~だろう」
  • 当事者意識不足:自らを外に置き、批判・分析。「一般的に〇〇です・こうすべきです」
  • 固定概念によるとらわれ:「常識ですよ・〇〇に決まってる・あり得ない

等々が挙げられます。

変革を果たせずに失敗した企業の研究をしているクリーブランド大学教授・ロバート・ハートレーが「失敗の3C」

  • Complacency(コンプラセンシー) 自己満足
  • Conservatism(コンサバティズム) 保守主義
  • Conceit(コンシート) 思い上がり

と呼んでいますが、組織を構成しているの人々(つまり従業員)がこうした「気づきの障害物」に支配されていることを意味しています。つまり、結局は、一人ひとりの従業員の「メンタリティ」によって左右されるということになりますね。

■「フラットな関係」を再考する
さて、経営者として、あるいはリーダーとして「フラットな関係」を構築するに当たっては、どのようなライフ・ポジションが求められているのでしょうか・・・。

もうお分かりだと思いますが、当然「私はOK(肯定)、あなたもOK(肯定)」しかありませんよね!
 
つまり、最初に、ご自身の「人間(自分と他者)に対する自分の見方(ライフ・ポジション)」を自覚・認識いただいた上で、もし「OK-OK」でないのであれば、「イキイキ働く企業風土」を目指すために、どのようにご自身の「ライフ・ポジション」を変えていけばよいのか? 「OK-OK」になれないご自身の中の「阻害要因」は何なのか?を認識することろから始める必要があると言えるかも知れませんね。

今回は、「人間(自分と他者)に対する自分の見方(ライフ・ポジション)」のご紹介を通じて、自己認知を高めていただくきっかけにして頂ければと書かせていただきました。

また、次回は、さらに進めて、「ライフ・ポジション」をベース・背景にした「思考の習慣」に迫っていきたいと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は10月17日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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