第11回 「ルフィの仲間力」から学ぶ「イキイキ働く従業員」を考える

皆さん、こんにちは!

10月も後半になり、急激に気温も下がってきましたが、夏が長かったせいか、先日まで「暑い、暑い」と言っていたような気がします。
冷静に考えるとホントにもうすぐに年末になってしまいますね…。

前回は、「ライフ・ポジション」の視点をご紹介させていただき、ご自身の「人に対する見方」を振り返っていただきました。

今回は、先日、弊社のイベントでご講演いただいた関西大学・安田雪教授のお話から、現在の若手社員のモノの見方やモチベーションを含めた考え方に関しての知見をご紹介させていただくことを通じて、「イキイキ働く企業風土」を切り取ってみたいと思います。

■そもそも「ONE PIECE」をご存じですか。
今、日本を元気にしている数少ないコンテンツとしてアニメ漫画が挙げられますが、その中でも「ONE PIECE」は若者だけでなく、年齢層を問わず、男女の性別を問わず、圧倒的な支持を受けています。
ご覧になっている方も多いのではないでしょうか。

一言で言うと、海賊となった少年ルフィを主人公とする、“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を巡る海洋冒険ロマンですが、背景には「夢への冒険・仲間たちとの友情」といったテーマが流れています。

■関西大学・安田雪教授の視点
今回ご講演をしていただいた関西大学・安田雪教授はこの漫画を題材に「ルフィの仲間力」という著書を出されています。

安田教授は、講演の冒頭に『ワンピースを読んで、「仲間はすばらしい」と言いながら、引きこもり、実際には人との関わろうとしない現実の不健全さ』に関してお話をされました。

「繋がりたいのに、繋がれない」状況にあり「一緒に!みんなでやろう!」に響く現在の若者を中心とした人々は、既に「島耕作」にリアリティを感じなくなっており、明らかに時代は変わっているとおっしゃっていました。
そして、現在は「仲間」という概念が「家族・血縁・会社繋がり」ではなく、「夢と未来の共有者」であり、お互いがフラットな役割・弱さと欠点を仲間が補い、強さと長所を活かす・同調圧力がない・共依存ではないといったキーワードによって構成されている言葉として「絆」という表現になっているそうです。

そして、こうした世代の人が持つ「人間観」として「仲間≒一人では叶えられないような大きな夢の共有者」であり、その根底の考え方には
・私たちは弱い
・非合理的、弱さを抱えている
・本能的に前向き、自己研鑚
・仲間、家族、コミュにティへの自己犠牲
・理由のない権力、暴力の否定 が前提となっているとのことでした。
そして、「自分自身」に対しては、そんな「仲間の一員」になりたいと考えており、「無償の愛情」の重要性を肌感覚で持っているそうです。

■「ライフ・ポジション」に照らし合わせて考える
ここまで「安田雪教授・ルフィの仲間力」の講演からのエッセンスをご紹介させていただきましたが、これを前回ご紹介させていただいた「ライフ・ポジション(人の見方)」に照らし合わせてみると、どうなるのでしょうか・・・。

明らかに 【私はOK(肯定)、あなたもOK(肯定(「共生」「一緒にやっていこう」という協力的・建設的な態度)】ですよね。

前回、経営者として、あるいはリーダーとして「フラットな関係」を構築するに当たっては、どのようなライフ・ポジションが求められているのでしょうか・・・、と問いかけさせていただき、「私はOK(肯定)、あなたもOK(肯定)」ではないかと申し上げました。
さて、私たちは本当に「私はOK(肯定)、あなたもOK(肯定)」の人間観を持っているのでしょうか・・・。

■そもそも、「何のために、誰のために質問するのか?」
今、数名の経営者に対して幾つかのテーマで「ビジネスコーチング」の機会を頂いています。
その中で、ある中堅企業の経営者の方と「ご自身のコミュニケーションスタイルの見直し」をテーマに自己探索をしていただいています。
その方は決して、見た目も口調も、決して権威的でなければ押しつけがましい感じもありません。
しかし、なかなかご自身の想いが伝わらなかったり、理解を得られなかったり、(部下を含めた)相手が行動に繋がらなかったり・・・との悩みがあり、コミュニケーションスタイルを見直したいということでご一緒させていただいています。

確かに、お話し好き(経営者はそういうものかも知れませんが・・・)で、ご自身の想いは時間を忘れたように話をされるのですが、この機会に「相手の話を聞く」、「聞くために質問する」ということに取り組むことになりました。
まぁ、ここまでは良くある話で、お取り組みになっている方も多いのではないかと思いますが・・・。

ただ、今回は、ご自身の思ったほどの効果・変化が見いだせず、その理由を探索していただいている中で、大きな発見がありました。

それは「そもそも、何のために聞くのか?誰のために聞こうとしているのか?」という質問をした際でした。

■自分にとって、知りたい情報を聞く
その方の回答は「そりゃ、私にとって、必要なこと・知らないことを知るためでしょう」でした。
つまり「自分のため」に聞いているということを意味しています。
もちろん、そういう要素もあるとは思いますが、それが前面に出てしまっては、話し手の部下の側としては、結局、「社長にとって必要なことを取捨選択して話す」ということを招きかねません。
相手は、こういうことを言外に見抜いてしまうものです。

この方も、ご自身で「アッ?! 私って自己中心なモノの見方をしていますね・・・」と口にされ、ご自身のライフポジションが「私はOK(肯定)、あなたもOK(肯定)」になっていないという発見がありました。

コーチングの基本として「傾聴」ということは良く言われますが、それはあくまでもテクニック論・表面的な話であり、それだけでは本質を見逃してしまいます。

「傾聴の本質」は「話し手が、自己概念をイメージ化し行動に結びつきやすくするために思ったことを制約なしに話をする」点にあるのではないでしょうか。つまり、「“相手のため”にこちらが聞く」という基本スタンスにあるような気がします。

さて、皆さんはいかがでしょうか・・・。
「私はいつも社員の話を聞いている」とお考えの方の中にも、思ったように話をしてもらえないとお感じの方がいらっしゃるのであれば、ヒョットすると、ご自身の「基本姿勢・基本的立ち位置」に要因がある可能性もあるかも知れませんね。

「イキイキ働く組織風土」を目指す皆さんであれば、そんな足下の「ご自身の基本姿勢」も改めて振り返る機会もあってもよいのかも知れません。

引き続き、次回もよろしくお願いいたします。

次回は11月21日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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