第44回 なでしこジャパンに見る「組織における目的と目標」

皆さん、こんにちは!
暑~い日が続くようになり、熱中症を始め身体がついていけない季節になってきましたね。皆さんはお変わりないでしょうか。

世の中では、ギリシャ問題・集団的自衛権が絡んだ安保法制化議論等、何か釈然としないことがありますが、そんな中で爽やかな風となったのが2015 FIFA女子ワールドカップでのなでしこジャパンの活躍ではないでしょうか。

今月は、その「なでしこジャパン」という組織において、自律性を導いている「組織風土」について考えていきたいと思います。

日本サッカー協会における「JFA2005年宣言」

本題の「なでしこジャパン」の話に入る前に、その上位組織に位置する「日本サッカー協会」について少し話したいと思います。最近でこそ、男子の日本サッカーもワールドカップの常連国になりアジアの強豪国となりましたが、僅か20年ほど前はワールドカップ予選で勝てず、日本サッカーリーグも盛り上がらず、とても現在のメジャースポーツとは言い難い状況でした。

そんな状況を打破したのが、プロサッカーリーグである「Jリーグ」の設立であり、初代チェアマン川淵三郎氏でした。その強烈なリーダーシップによる改革手腕は、今日の大きな成果として実を結び、現在はバスケットボール界の再建に発揮しようとしておられます。

そんな川淵氏時代の、もう一つの大きな遺産が「JFA2005年宣言」です。この「2005年宣言」では「理念」「ビジョン」と共に「JFAの約束2015」と「JFAの約束2050」という二つの中長期目標が掲げられています。

JFA2005年宣言 ~DREAM 夢があるから強くなる~(公益財団法人 日本サッカー協会Webサイト)

なでしこジャパンの「ビジョン」

その日本サッカー協会の下部組織にあたる女子サッカーも上位理念・ビジョンに基づいた「なでしこビジョン」を掲げています。

なでしこvision 世界のなでしこになる(公益財団法人 日本サッカー協会Webサイト)

その最初に「サッカーを日本女性のメジャースポーツにする」という項目があります。また、同時に「なでしこ」らしい選手、として「ひたむきさ・芯が強い・明るい・礼儀正しい」と記されています。

なでしこジャパン・宮間主将の発言から見る「目的と目標」

ところで、今回の女子ワールドカップの記者会見で、宮間主将の発言が再三注目を浴びたことは皆さんの記憶にも新しいと思います。決勝前日には「優勝という結果を残して初めてスタートラインに立てる」と言い、帰国後の会見では、先の発言の真意として「女子サッカーをブームではなく文化にしたい」とコメントしていました。

つまり、今回の彼女たち「なでしこジャパン」は、もちろん優勝を目指していたわけですが、それはあくまでも「目標」であり、その目標の向こう側には「女子サッカーを文化にするため」という強い「目的意識」があったからだと思います。

4年前のワールドカップで奇跡の優勝を果たし、一躍「時の人」となり「国民栄誉賞」まで受賞した彼女たちですが、サッカーをする環境に大きな変化をもたらすまでには至りませんでした。

もちろん、海外移籍を果たした選手もいましたが、国内女子サッカーの最高峰である「なでしこリーグ」に所属・登録しているのは900名弱。その中でプロ契約をしているのは僅か20名程だそうです。

「危機感」が生む「目的意識」と「当事者意識」

宮間選手は岡山・湯郷ベルというチームに所属する国内プレーヤーです。ですので、余計に国内での女子サッカーの置かれている状況に敏感で「危機感」を強く抱いているのかもしれません。

「危機感」の裏返しに「夢・希望・志」があります。ただ、その置かれている状況を憂うのではなく、その状況を打破した先にある夢を実現したいという渇望が、当事者意識を高め、「ひたむき」で自律的な行動力に繋がっているように思います。

宮間選手の発言や、漏れ伝え聞こえてくる言動は、そうした「志」に基づいた「芯の強さ」があるために、周りの同僚である選手はもちろん、私たちのような応援する側にまでその思いが届いてきたのではないでしょうか。

そう考えると、私たち、会社組織においても「健全な危機感」」を抱くことは大切なことのように思います。その「危機感」の裏側にある「夢・希望・志」を意識することが、「当事者意識・自律性」を導く誘因になり「芯の強さ」に繋がるのであれば、この方程式を使わない手はありません。

どんな組織でも「何の問題はない」という組織は少ないのではないでしょうか。その、今ある「問題」を「課題」として捉え、その「課題」を解決した先にある「夢」に向かって自律的に行動する。そんなことが出来る組織が強くないはずはありません。

もちろん、「なでしこジャパン」の選手たちを見ていると、そんな取り組みを実践している当人たちが、至って「明るい」という事も、皆さんが目指していることと繋がっていることは周知のことだと思います。

今後も、よろしくお願いいたします。

次回は8月19日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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