第77回 「ネオ個人主義」を育てる組織とリーダーシップ

今季、米メジャーリーグに挑戦した大谷翔平選手の活躍がとどまるところを知りません。最近の若手トップアスリートは、どうもひと昔前の代表的アスリートのイメージである「肉食系」のイメージからは程遠い「草食系」のイメージのような気がします。今回は、こうした最近の若者の代名詞のように使われている「草食系アスリート」の特徴から、今後の「組織としての在り方」を考えてみたいと思います。

「ネオ個人主義」を育てる組織とリーダーシップ

今季、米メジャーリーグに挑戦した大谷翔平選手の活躍がとどまるところを知りません。最近の若手トップアスリートの名前を挙げてみると、フィギュアスケート・羽生結弦選手、体操・白井健三選手、スキージャンプ・高梨沙羅選手をはじめとする名前が浮かんでくるのではないかと思いますが、どうもひと昔前の代表的アスリートのイメージである「肉食系」のイメージからは程遠い「草食系」のイメージのような気がします。

今回は、こうした最近の若者の代名詞のように使われている「草食系アスリート」の特徴から、今後の「組織としての在り方」を考えてみたいと思います。

「肉食系アスリート」と「草食系アスリート」の違い

では、「肉食系アスリート」と「草食系アスリート」のイメージの違いはどこから生まれるのでしょうか。

あくまでも私見にすぎませんが、
「肉食系アスリート」の薫りのする人たちは「常に誰かと競争し、戦いを勝ち抜く」という「他人との比較/相対価値」の価値観なのに対して、
「草食系アスリート」の薫りがする彼ら・彼女らは、常に「自分の価値観に照らし合わせて、やりたいことをやり抜く」という「自分の絶対価値」なのではないかという見方です。

彼らのインタビューを聞いていると「成功するか、成功しないか?」よりも「自分が楽しいと思うか?」「挑戦するに値するか?」に重きが置かれ、第三者からすると「そんな無茶な……」と思われるようなことも、「しんどい・つらいことも楽しんでいる」というように見えてしまいます。

新たな「個人主義」の流れ

この流れは、何もトップアスリートだけの特徴ではなく、一般社会や私たちの会社の中でも同様の思考性を持った若い人たちが明らかに増えているように思いませんでしょうか……。

彼らのバックグラウンドにどのような考え方があるのか、そしてそもそもその考え方は、育ってきた環境や経験があり、それをどのように解釈してきたかの蓄積の結果でしかないわけですので、当たり前ですが第三者である私たちには、分かりっこないのかもしれません。しかし、その考え方が世の中の変化や教育制度、周りにいた大人の影響を受けてきた結果にすぎないことだけは、紛れもない事実だと思います。

「個人主義」と言ってしまえば、どこか「わがまま・自己中心的・好き勝手」というイメージも拭えませんが、大谷翔平クンらトップアスリートの彼らから、そうした傲慢なイメージは微塵も感じられません。つまり、従来の「個人主義」とも一線を画した「ネオ個人主義」のように思います。

もちろん、全部が全部ではなく、私たちの周りには彼らと違った「わがまま・自己中心的・好き勝手」の域を出られない従来型の「個人主義」のままに振る舞っている人たちもいます。

従来型「個人主義」との違い

では「ネオ個人主義」と従来型の「個人主義」の間には、どのような違いがあるのでしょうか……。

いろいろな可能性があり、複雑に絡まり合っているのだとは思いますが、私は以下の二点にあるような気がします。

  • 可謬(かびゅう)主義の有無
  • 「誰かのため」の有無

「可謬主義」

哲学者カール・ポパーの批判的合理主義の根幹にある「絶対に確実であることは不可能である」ことを前提にした考え方であり、常に自分が正しいとは限らず、もっとほかの考え方・見方・方法があるのではないかと考える姿勢を説いています。このために「人は謙虚で素直でなければならない」とされています。

「誰かのため」

前述した「自分の絶対価値」と矛盾するように思われるかもしれませんが、大谷翔平選手がしばしば口にするのが、この視点です。
「プロ野球選手を夢見る子供たちに“自分にもできる”と信じさせることで、日本の野球界全体がレベルアップしていくものだと思います」
「メジャーでの二刀流挑戦が、たとえ失敗しても、貴重なデータやノウハウが残る。それが後に二刀流に挑戦する人たちの一助になると考えています」

上記二点の有無が「ネオ個人主義」と「傲慢に映ってしまう個人主義」の違いではないかと思います。

「ネオ個人主義」社員を育てる組織とリーダーシップ

今後、こうした思考性の人が増えていく現実を踏まえた場合に、会社を含めた組織として、その中で発揮すべきリーダーシップとしては、どのような視点が必要になるのでしょうか。
参考にできるのが、やはりその大谷翔平選手の能力をここまで開花させた北海道日本ハムファイターズという組織であり、栗山英樹監督ではないかと思います。

さて、私たちは、この組織、このリーダーから何を学び、何を得れば、その解がひも解けるのでしょうか……。

いろいろな著書が出ているようですので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

今後とも、よろしくお願いいたします。

次回は6月20日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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