第68回 「綱引き」の理論

今回は、最近、伺った2社の会社の社長さんのお話から、会社における「チームワーク・組織的能力」という視点を考えてみたいと思います。

「綱引き」の理論

皆さん、こんにちは。
今年も猛烈な暑さに加え、局地的な豪雨によって各地で被害が広がっているようですが、皆さん、お変わりありませんでしょうか。

今回は、最近、伺った2社の会社の社長さんのお話から、会社における「チームワーク・組織的能力」という視点を考えてみたいと思います。

「木こり」と「板前」の違い

いずれの会社も従業員40名弱の中小企業で、それぞれ製造業と販売業と業種も全く異なる会社ですが、最初にご紹介させていただくのは、京都で製造業を営む経営者のお話からです。

この方は「ドラッカー理論を忠実に実践している」を自認しておられる方で、

  1. われわれの使命は何か?
  2. われわれの顧客は誰か?
  3. 顧客にとっての価値は何か?
  4. われわれにとっての成果は何か?
  5. われわれの計画は何か?

などの有名な「ドラッカーからの経営者への5つの質問」を、自社に置き換えて丹念に、かつ深く考え、設計をしていき、現在の高循環なシステムなどを紡ぎ出しているという趣旨のお話で、特に「使命」を定めるのに相当の熱量を注ぎ込んだそうです。

そして、その「使命」を明らかにできるようになった時点から、「使命」に共感した人たちが採用の門を叩いてくれるようになり、想像を超える優秀な若者が来てくれるようになったそうですが、その中で、印象的だったのが「木こりと板前の違い」でした。

「第33回 アイゼンハワーの法則」でもご紹介させていただきましたが、「木こりのジレンマ」とは、「重要だが緊急ではないこと」をいかに大切にできるかという趣旨を伝える寓話ですが、その社長さんは、それを実践している職業として「板前」を挙げていました。

第33回 アイゼンハワーの法則(ERPナビ)

「板前」は多くの場合、駆け出しの修業の時代には、師匠や先輩の仕事の仕方をまね、見よう見まねでその本質を学ぶケースが多いようですが、一流の板前となるとどんなに忙しくても、その日の全ての仕事を終えたあとに「包丁を研ぐ」という作業を欠かすことはないそうです。

修業の時代から「翌日の準備を怠らない」姿勢に接することで、それをごく当たり前のこととして「日々のルーティン」に組み込んでいけるようになるそうです。

「使命」に共感した優秀な能力を持った人材において、板前の「包丁を研ぐ」というプロセスは、私たちの一体何に当たるのでしょうか。また、私たちはその重要性を日々伝えているのでしょうか……。

綱引きの理論

上記の例は、組織における「個人の能力を高める」という視点において「緊急ではないが、重要なこと」に計画的に取り組むポイント、いわゆる「躾(しつけ)」「良い習慣」を示唆していると思います。

もう一つは「綱引きの理論」を聞かせていただいた経営者のお話です。

皆さんは、ご自身のお子さんが小学生だとして、ご自身と「1対1」で綱引きをしたら、どちらが勝つと思われますか?

もちろん、「パワー・力」において、大人が子どもに負けることはないと思うのが一般的ではないでしょうか……。

ところが団体戦で考えた場合、綱引きを競技としてトレーニングしている小学生チームとトレーニングをしていない大人のチームが対戦したら、どうなるのでしょうか?

実は同じ人数で勝負をした場合、トレーニングをしている小学生チームが圧倒的に勝ってしまうそうです。中には、大人のチームの人数を2、3人増やしても勝てないケースもあるようです。

綱引き--子どもvs大人(YouTube)(2017年8月23日時点)

これは一体何を意味しているのでしょうか。

明らかに、個人の能力(綱引きの場合であればパワー・力)としては小学生の方が劣っています。しかし、どうすれば力が結集するのか、最大限のパワーを発揮できるのかを全員が理解し、そのために、おのおのが役割を担うことで、個では負けていてもチーム・組織では負けないということを端的に表した事例のように思います。

多くの中小企業の経営者の方から「ウチの会社には、大手のような優秀な社員は少ないから……」と嘆く声を聞く機会があります。本当にそうなのかどうかも疑問ですが、百歩譲って、仮に「個」ではかなわない相手だったとしても、「チーム力を高める・力を結集させる」ことが重要で、目を背けてはいけない不可欠な取り組みになってくるのではないでしょうか。

「力を結集させる」ことができる組織能力

経営において、「人材育成・能力開発」は重要なファクターであることは間違いないと思います。ただ、どれだけ「個人能力」が高まったとしても「チームワーク・組織的能力」が伴っていなければ、上記の「綱引き理論」のように、本来のパフォーマンスが出せない結果になってしまいます。

会社において「チームワーク・組織的能力」を結集させるには、何が必要になってくるのでしょうか。

今の時代「ゆとり世代」とか「さとり世代」といわれる若者は、何を求め、何に対して自らのエネルギーを最大に発揮するのか。私たちの世代にとっては「当たり前」だったことが彼らにとっては「当たり前」ではないとするなら、それは一体なぜなのか。

そのあたりの探索を含めて、経営者である「リーダー」が、まず考えないといけないことがあるのかもしれませんね。

今後とも、よろしくお願いいたします。

次回は9月20日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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