第47回 ラグビー日本代表の活躍に見る「組織の成果」

皆さん、こんにちは!

このひと月は安保法案成立に始まり、TPP妥結・シリアを中心とした難民問題・ノーベル賞発表・フォルクスワーゲンの不正問題といろいろな出来事が目まぐるしく続いたように思います。

そんな中で、ラグビーワールドカップでの日本代表の活躍は万人の心を捉えた明るいニュースだったのではないでしょうか。

ということで、今月は「ラグビー日本代表の活躍に見る組織のあり方」を考えてみたいと思います。

ラグビーワールドカップの振り返り

多くの方がご存じだとは思いますが、今回のラグビーワールドカップでの日本代表の活躍をあらためて振り返っておきます。

v初戦で南アフリカを相手に「史上最大の番狂わせ」を演じ、2戦目こそ落としましたが、サモア・アメリカを撃破し、ベスト8進出こそならなかったものの「3勝1敗で初の予選落ち」という称号?を手にして、初戦の南アフリカ戦が偶然ではないことを証明してくれました。

また、五郎丸選手たちだけではなく、外国籍の選手たちも含めて「日本ラグビーの歴史を変える」という大きな頂に向かった姿は、多くの人を感動させたのではないかと思います。

エディー・ジョーンズHCの存在

今回の「ラグビー日本代表の大躍進」を考える際に、エディー・ジョーンズヘッドコーチというリーダーの存在を外すわけにはいきません。

彼に関しては多くの書籍等で取り上げられていますが、ここでは、2015年年始の「週刊ダイヤモンド」の特集から幾つかのコメントを拾ってみます。

ラグビー日本代表はなぜ“強豪”になったのか W杯勝利へのマネジメント術――ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズ氏に聞く(ダイヤモンド・オンラインWebサイト)

曰く「何よりまず大きな目的がないといけなかった。我々が取り組んできたのは日本人が誇りに思えるチームを作ることだった」で始まり、そのためには「行動やふるまい方を含めマインドセットを新しくしないといけなかった」と語っています。

目的と目標と手段

これまでのこのコラムでも何度かご紹介してきた通りチェスター・バーナードが提唱した「組織を構成する3要素」は「【1】同じ目的 【2】貢献意欲 【3】コミュニケーション」です。

そしてエディー・ジョーンズHCの取り組みは、最初の「【1】同じ目的」として「日本人が誇りに思えるチームを作る」があり、その目的を追求するための「マインドセット転換」を通じて「【2】貢献意欲 【3】コミュニケーション」に対する姿勢を変えてきたのであろうことが想像できます。当然なのかもしれませんが、やはり大きな原則はきちんと抑えておられるわけですよね。

そして、目標だった「ベスト8進出」は達成できませんでしたが「日本人が誇りに思えるチームを作る」については大きな成果を出したであろうことは言うまでもありません。

「日本ラグビー」はメジャースポーツになるのか?

ここで少し異なる視点を入れて考えてみたいと思います。
今回の活躍で、日本ラグビー界は盛り上がっていくでしょうし、ラグビー熱が上がることは間違いないと思います。次回2019年のワールドカップが日本開催であることも後押しするものと思われます。

ただ、こんな視点もあるのではないでしょうか。
今回のエディー・ジョーンズHCが掲げた目的はあくまでも代表監督として「日本人が誇りに思えるチームを作ること」であり、「日本スポーツ界でラグビーをメジャースポーツにする」ではないということです。

決して、今回の代表チームの活躍を色褪せさせる意味ではありませんが、サッカーの「なでしこジャパン・宮間主将」が「ブームでなく文化にしたい」と言ったのと同様に、一時の結果がそのスポーツを文化として定着させるものでは必ずしも一致するものではないように思います。

という意味では「日本ラグビーフットボール協会」としては浮かれることなく「ラグビーをメジャースポーツとする」という次の大きな目的に向かって進んでもらえることを願っています。

翻って、私たちの会社、あるいは特定の単位の組織としてのリーダーとして、「同じ目的の共有・共感」は果たせているのでしょうか……。
ラグビー日本代表の活躍に心躍る思いになりながらも、それぞれの立場で、私たち自身に置き換えて考えることもあっても良いのではないでしょうか。

今後も、よろしくお願いいたします。

次回は11月18日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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