第79回 「信頼」とは何か?

先月「社員の力を『信じる』」というテーマで書かせていただきましたが、この1カ月、その領域に関する事象や書籍、お客様との会話に数多く出会いました。サッカー日本代表の思わぬ活躍ぶりも、急きょ抜てきされた西野監督というリーダーと選手間の信頼関係が躍進の原動力の一つとして挙げられているようです。今回はあらためて、「信頼」というものを考えてみたいと思います。

「信頼」とは何か?

この1カ月は、大阪北部地震、さらには先日多数の死者を出してしまった西日本の大雨被害と天災が続いています。皆さんへの影響はいかがでしょうか。被災された皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

ところで、先月「社員の力を『信じる』」というテーマで書かせていただきましたが、この1カ月、その領域に関する事象や書籍、お客様との会話に数多く出会いました。

サッカー日本代表の思わぬ活躍ぶりも、急きょ抜てきされた西野監督というリーダーと選手間の信頼関係が躍進の原動力の一つとして挙げられているようです。

今回はあらためて、「信頼」というものを考えてみたいと思います。

『安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方』刊:中公新書 著:山岸 俊男

20世紀終盤に当たる1999年に出版されたこの著書の大きなテーマに「安心と信頼」の違いがあります。

冒頭の「はじめに」で

これまでの日本社会は信頼をあまり必要としない社会でした。少なくともアメリカを代表とする欧米社会に比べ、他人を信頼すべきかどうかを考える必要性が小さな社会だったといえるでしょう。~中略~これまでの日本社会では、関係の安定性がその中で暮らす人々に「安心」を提供しており、わざわざ相手が信頼できる人間かどうかを考慮する必要が小さかったからです。(P.iiから抜粋)

としています。

そして、

「集団主義的な」日本社会で人々が集団のために自己の利益を犠牲にするような行動をとるのは、人々が自分の利益よりも集団の利益を優先する心の性質をもっているからというよりは、人々が集団の利益に反するように行動するのを妨げるような社会のしくみ、とくに相互監視と相互規制のしくみが存在しているからだという観点です。(P.45から抜粋)

と論じ、

安心を生み出す集団主義的な行動原理は、実は、集団の枠を超えて人々を広く結びつけるのに必要な一般的信頼を育成するための土壌を破壊してしまう可能性があります。(P.52から抜粋)

と指摘しています。

現代社会における動き

一方で、21世紀に入り、20年近くたった現在は、「個人の自律・個の重要性」が叫ばれ、元Google人材開発担当だったピョートル・フェリークス・グジバチ氏はニューエリートの定義として「自分がやりたいこと、やるべきことを情熱的に追い求め、変化を怖れない力が強く新しい枠組みを作るのが得意。かつ多様なメンバーともうまくコラボレーションしながら、自分の名誉や立身出世のためよりも、社会に貢献するため、社会に大きなインパクトをもたらすために率先して行動する」としています。

その背景は、日本社会における終身雇用の崩壊や、それに伴う雇用不安も少なからず影響を及ぼしていると思われます。

いずれにしても、こうした時代の変化に伴い、私たち一人ひとりが「安心社会」のぬるま湯に漬かっていられなくなり、「信頼」を自身の価値観に応じて自律的に問い、答えを見いださざるを得ない状況に変化しているのではないでしょうか。

「個人と個人」、「個人と組織(会社)」の信頼関係

となると、お互いが「自分はどんな価値観を持ち、何を大切にし、こだわっているのか?」を明示的にし「自分は何者か」を明らかにし、それを他者が認める、もしくは共感してくれるといったアプローチを取らない限り、相互理解は進まず、信頼関係の構築には至らないように思います。

それは「個人と個人の関係性」だけにとどまらず、「個人と組織(会社)の関係性」にも同じ構図が適応され「会社が何を目指し、何を大切な価値観としているか?」を明らかにしない限り、そこに人は集わないということになるのではないでしょうか。

サッカー日本代表の場合

報道レベルでしか計り知れませんが、今回のサッカー日本代表キャプテン・長谷部 誠選手は初戦を直前に控えたタイミングでの選手だけによるミーティングの話をしていました。

若手からベテラン選手までが、この大会に懸ける思いを出し合ったそうですが、そのときのことを回想して、長谷部選手は下記のように話していました。
「私は楽しみたい・私は楽しむどころか必死・過去を取り返したいなどなど、みんなそれぞれでしたよ。だけど、このミーティングで一番大事なのは、それぞれみんなの思いとかそういうものを選手の中で共有する。それがすごく大事だと思います。」

「個人の時代」といわれ、価値観の多様化は広がりを増すばかりの時代だからこそ、「お互いのことを理解し受け入れる」、そういう「信頼関係の構築」が不可欠になっているのではないかと思います。

皆さんは、会社で働く仲間のことを知っていますか? 違いを受け入れたうえで、信頼していますか?

一度、立ち止まって考える必要があるかもしれませんね。

ご参考にしていただきますよう、ご参照ください。今後ともよろしくお願いいたします。

次回は8月22日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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