第124回 他者志向型ギバー(主体的ギバー)への進化

私たちは社会の中で、お客さん、部下、そして家族と、日々誰かとの関わりの中で生きています。その他者との関係性において、自分の思考性がどういう傾向があり、それがどんな影響を及ぼしているかについて、自己認識を深めておくことは大事な気がします。

他者志向型ギバー(主体的ギバー)への進化

皆さん、こんにちは!

3年ぶりの制限なしのゴールデンウィークを過ごすことができましたが、ロシアのウクライナ侵攻の行方は見えず、円安の影響・生活用品の値上げも増え、企業の経済活動だけではなく、私たちの生活にも少なからず影響が出ています。

こんな中で、最近のメディアで目に付くキーワードの一つに「転換」という表現があります。おおむね「時代の大きな転換点を迎えている」という趣旨で使われている気がしますが、まさに私たちは今、そんな時代の真っただ中にいるのではないでしょうか。

今回は、そんな「転換期」におけるビジネスパーソンとしての進化として挙げられる「他者志向型ギバー(主体的ギバー)」に関して考えてみたいと思います。

「人と人との関わり」の変化

先日、コロナの影響で2年中止を余儀なくされていた、少年サッカーチームの合宿に3年ぶりに行ってきました。

貸し切りバスで移動したのですが、2年の空白の時間に、子供たちに大きな変化がありました。それは「小学生年代におけるスマホの普及」です。

そのことに思いが至っていなかったため、スマホを持っている約3分の1の子供たちは、行きのバスの中では、1人でゲームに興じる子、オンラインでゲームに夢中になっている子、さっき見送ってもらった親御さんとLINEをしている子らであふれてしまいました。

そして、スマホを持っていない友達の存在は見えないかのような状況になってしまい、誰も今回の合宿の目的や、チームとしての活動といった大切にしてほしいことへの感覚などはみじんも感じられない状況になってしまいました。

「コレはマズイ」とコーチ間で話し、会場に到着した段階で、今回の合宿の目的や狙いをあらためて確認してもらったうえで、合宿期間中のスマホ利用禁止にしました。

たまたまかもしれませんが、スマホから離れた彼らの行動は変わり、チームメイトとのコミュニケーションが明らかに増したように思います。

これは一つの例ですが、子供たちの問題だけではなく、私たち大人も、あるいはビジネスパーソンとしても程度の違いはあるにせよ、似たような状況に陥りがちなのではないでしょうか。

便利ツールであるが故に、人は夢中になり、自分の世界に没入してしまい、周りの人や状況変化が目に入らないようになり、知らぬ間にそのことに違和感さえも覚えなくなっているのかもしれません。

他者志向型ギバー(主体的ギバー)

私たちは、お客さんとの関係、部下との関係、もちろん家族との関係も含めて、日々誰かとの関わりの中で生きています。

その他者との関係性において、自分の思考性がどういう傾向があり、それがどんな影響を及ぼしているかについて、自己認識を深めておくことは大事な気がします。

アダムグラントの著書『Give&Take』はあまりにも有名ですが、下記に要約サイトをご紹介させていただきます。

GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代(本の要約サイト)

ギバー
自分が受け取る以上に他人に与える人のことを指す
テイカー
常に自分の利益を優先する
マッチャー
ギバーでもテイカーでもなく、与えることと受け取ることのバランスを取る

この書籍の中では上記の3種類に分けており、最も成功しているのも、また失敗しているのもギバーだとし、そのギバーをさらに二つのパターンに区分をしています。

それが

  • 失敗するギバー:自己犠牲型ギバー
  • 成功するギバー:他者志向型ギバー

の区分です。

この「他者志向型ギバー(もしくは主体的ギバー)」という表現について、私はこの指摘は的を射ているのではないかと思っています。

前回「Lead the self(自分を導く)」の概念をご紹介しましたが、「自分はどうありたいか?」を考えるということは、「自分本位・自己中心」というニュアンスとは一線を画しています。
社会の中で、人との関わりの中で「自分はどうありたいか? どういう役割を担うのか?」を明らかにすることであり、その意味での「人との関係性・人と人との関わり」を明確にし、社会の中での自分の存在意義を明らかにすることに他なりません。

少し古いですが、東洋経済オンライン『"人に与える"を優先する人は「必ず」成功する』でも、この整理をしていますのでご紹介させていただきます。

"人に与える"を優先する人は「必ず」成功する~ギバーとテイカー、あなたはどちら?~(東洋経済ONLINE)

自分たちの活動が単に目の前の競争相手に勝つことだったり、予算を達成したり、納期に間に合わせたりすることだけだとしたら、間違いなく疲弊していきます。

会社にカネをもうけさせるためや、株主に利益を還元するためだけであれば、やる気を失っていっても当然だと思います。

自分が携わっている仕事が、長期的であれ、間接的であれ、社会の役に立っていたり、誰かに喜んでもらえていたりする実感がなければ、生き生きと仕事に向き合える日々になるはずもないのではないでしょうか。

自分がイキイキした日々を送れるようにするのかどうかは、結局「自分が他者との関わりをどう捉えるか」ってことではないでしょうか……。

青臭いようなことを言っているかもしれませんが、私は思想・哲学の類いのものが、現実と闘う拠り所(よりどころ)になると信じています。

それが世の中・会社の奴隷にならずに、主体的に生きていくことではないかと思います。

今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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