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第81回 ティール組織・ホラクラシー組織
「人」の集団である組織の在り方に関して、最新のトレンドを確認しながら、あらためて、今後の私たちの会社の「組織観」を振り返ってみたいと思います。「学習する組織」に始まり、最近では『ティール組織』に続き、「ホラクラシー組織」といった新たな概念が話題になっています。こうした新たな概念を理解し、その方向に進めていくに当たって、重要な視点があると思っています。
ティール組織・ホラクラシー組織
皆さん、こんにちは。
猛暑の夏が終わったと思った途端に、台風を含めた豪雨による被害、さらには北海道での地震と大きな災害が続いています。停電や物流といった面で、皆さんの経営にも、少なからず影響があった会社も多いのではないのでしょうか。心よりお見舞い申し上げます。
私が住んでいる地域も台風21号の影響で停電になってしまいました。風雨が落ち着いた時点で外に出かけてみたところ、ご家庭の電気はもちろん、街灯・信号と全くついていない状態でした。走る車の数も少なかったのですが、信号が消えているせいか、普段よりもずいぶんと慎重に走っていましたし、私たち通行人に対しても、ずいぶんと気を付けながら、ゆっくりと避けて走っていました。
そんな情景を見ながら、「人は、不便になった方が優しくなれるのかもしれない……」と感じていました。「便利・効率」は企業経営において重要な視点であることは間違いありませんが、経営においてそれを追求するあまりに、社員である人は何かを置き忘れてしまっている側面があるのかもしれませんね。
少なくとも、そういう懸念の気持ちを持っておく必要はあるのではないでしょうか……。
今回は、そんな「人」の集団である組織の在り方に関して、最新のトレンドを確認しながら、あらためて、今後の私たちの会社の「組織観」を振り返ってみたいと思います。
学習する組織
最近、いくつかの金融機関・大学・スポーツ等々のあらゆる業界におけるパワハラや、トップに長年居ることによる組織の機能不全などが、世間を騒がせています。
従来から、MIT(マサチューセッツ工科大学)の経営学者、ピーター・センゲが1990年に出版した『The Fifth Discipline』で提唱した考え方「学習する組織」が、最新の組織観として捉えられてきました。
そして、その構成要素として下記5つのディシプリン(学習領域)が必要だとしています。
- システム思考
- 自己実現(マスタリー)
- メンタルモデルの克服
- 共有ビジョン
- チーム学習
まだまだ日本には、この「学習する組織」が定着しているとは思えませんが、既にこの概念を超えるような考え方が台頭してきているようです。
ティール組織とホラクラシー組織
「学習する組織」でも、「チーム学習」や「メンタルモデルの克服」といった肩書や年齢・キャリアを問わず、社員それぞれがフラットで対等な関係を求めています。
ここでは、リアルなヒエラルキー組織であっても、マインドセットとしてフラットな関係、相互に認め合う組織であることを意味しています。
それに対して、最近のベストセラー『ティール組織(著:フレデリック・ラルー 刊:英治出版)』に続き、「ホラクラシー組織」といった新たな概念が話題になっていますが、これは、組織形態そのものからヒエラルキーを求めない概念のように思います。
しかも、必ずしもまれな存在ではなく、日本経済新聞に特集されるほど、既にこうしたスタイルで経営している会社は確実に増えてきています。
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やり方・ノウハウではない
ただ私は、こうした新たな概念を理解し、その方向に進めていくに当たって、重要な視点があると思っています。
それは、ティールにしてもホラクラシーにしても、大切なのは、予算を作らないとか、目標を立てないとか、上下関係を作らないといった「やり方」や「ノウハウ」ではなく。
そこに存在する人、特に経営者の「在り方」や「感じ方」が重要であり、さらに突っ込んでいえば「人としての在り方」に行きつくのではないかということです。
経営者が「やってほしい・変わってほしい・業績を上げてほしい・モチベーションを上げてほしい」という「自分にとって都合良い結果」を求める気持ちが存在する限り、どんなに「やり方」をまねてもうまくいかないだろうという視点です。
ホラクラシーもティールも、無意識レベルも含めた共感で成り立っています。そして、無意識レベルも含めた共感組織を実現するためには、経営者自体が、内面から(見えない部分も含めて)人間観を変えなければならないのではないでしょうか。
「信頼」とは、リーダーが従業員を信じることから生まれる。
まず、これが大前提になるのではないかと思います。
さて、皆さんは、ご自身の組織をどんな形に進化させていきたいとお考えですか……。
今後ともよろしくお願いいたします。
次回は10月17日(水)更新予定です。
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