第18回 坂本孝氏の経営に見る組織風土の作り方

皆さん、こんにちは!
梅雨も近づく中、今年は特に寒暖の差が大きいようですが、お変わりありませんでしょうか。

ここ2回ほど「経営者としての人間観」に関して書かせていただきましたが、先日のNHK・プロフェッショナルという番組で紹介されていた「坂本孝氏」の特集はご覧になりましたでしょうか。まさに「経営者としての人間観の変化」によって、もたらされた物語でした!

皆さんの会社の組織風土や、従業員の気持ちを高めるためのヒントになると思いましたので、ご紹介させていただきます。

■起業家・坂本孝氏
中古書籍販売「ブックオフ」の創業者として、あるいはいま話題の「俺のイタリアン」等、「俺の・・・」シリーズで有名な坂本孝氏ですが、何と今までに13もの事業を創業してこられたそうです。

最初の事業は、順調に立ち上がったそうですが、ある時、部下が会社のお金を着服して逃げてしまうという事件に直面させられ「あんなに信頼していたのに…」と裏切られた想いに駆られました。

それでも、めげずに次々と事業を起こし、いずれも立ち上げ時には順調だったようです。ただ、どの事業も、ある時期までは順調に伸びても必ず頭打ちの時期を迎えていたようです。

その頃のことを「"自分が出資して、事業をしているのだから、私の言うことを聞きなさい"と考えていました」と振り返っておられました。

■稲盛和夫氏との出会い
ブックオフを創業して、同様に順調に売り上げを伸ばした後に、また頭打ちの時期を迎え、「なぜ、頭打ちになるのか?」と悩んでいる頃に、また従業員による金銭事件が重なり「裏切られた想い」にさせられて手にとった本が稲盛和夫氏「経営を高める、心を高める」であり、その中の「従業員の物心両面における幸せを考える」というフレーズに目が留まったそうです。

「自分しか信用できない」という考えになっていた坂本氏は「きれい事じゃないか」と思ったそうですが、京セラ、KDDI等を育てた経営者の言うことだからということで会いに行き、そこから盛和塾に入り、稲盛氏の薫陶を受けることになったようです。

■坂本氏自身の人間観の変化と「俺の・・・」シリーズのコンセプト
当初「従業員の物心両面における幸せを考える」を「きれい事」と感じたご自身の人間観を大きくシフトしたわけですが、これは本当に大きなパラダイムシフトだと思います。

一般的に、というか私たち凡人にはこの「気づき」とそれに基づく「行動変革」が本当に難しいと思いますが、この「人間観の変化」がいまの坂本氏を支えているのではないでしょうか。

番組の後半に紹介されていた、いま、ブームの「俺の・・・」シリーズの店舗運営のコンセプトは「企業の利益のための制約を壊すビジネスモデルの創出による働く人の夢の実現」です。

つまり、企業の利益のために従業員に「コレしちゃダメ、アレしちゃ赤字になる」という制約を打破できるビジネスモデルを生み出すことによって、「コレしてイイ、アレしても黒字になる」を実践できることで従業員の働きがいを高めるという話です。

例えば、「俺の・・・」シリーズでは、それが「立ち飲み」というモデルであり、「回転率を高め、リピート回数を増やすことで、よい食材にも関わらず低価格でも利益が出る仕組み」に仕立て上げたことになります。

■「仕組み」を支える「経営者の人間観」
この坂本氏の話を聞いて、「やっぱりビジネスモデルや仕組みが重要だな」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、ビジネスモデルや仕組みは大切だと思います。ただ、そのビジネスモデルや仕組みが「何のために、誰のために」創出されたかという「経営者の人間観・仕事観」に従業員は敏感であり、そこが琴線に触れるかどうかは、もっと重要な気がします。

「私は、経営者としてこんなに色々としてあげているのに…」という想いを感じている方もいらっしゃるかと思いますが、今一度、立ち止まって自問自答してみてもよいのではないでしょうか。

次回は6月19日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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