第85回 会社は誰のためのものか?

「会社とは何か?」「何のため、誰のために存在するのか?」といった本質的な問いを考えなければ、先が切り拓(ひら)けない時代なのかも知れません。年の初めの今月は、「会社は誰のためのものか?」の視点で、今後の経営の在り方を考えてみたいと思います。

会社は誰のためのものか?

皆さん、2019年最初の投稿になります。あらためまして、本年もよろしくお願いいたします。

年末から年始にかけての株式市場の乱高下に見られるように、アメリカ・中国の経済戦争の波及が大きな影響となってきた年の幕開けの印象がありますね。

日経ビジネス1月7日号の「50周年記念特集」で「会社とは何か 組織と働き方の未来」というテーマを取り上げていますが、まさに「ポスト資本主義」ともいえる大変革時代を迎えているように感じます。

昨年大ヒットした小説「君たちはどう生きるか」同様に、そもそも論ではありますが「会社とは何か?」「何のため、誰のために存在するのか?」といった本質的な問いを考えなければ、先が切り拓けない時代なのかもしれません。

年の初めの今月は、日経ビジネスとは少し異なる角度からではありますが「会社は誰のためのものか?」の視点で、今後の経営の在り方を考えてみたいと思います。

会社は「誰のものか?」と「誰のためのものか?」

「会社は誰のものか?」という問いに対しては「株主」という解が妥当なものだといえるのではないかと思います。資本を出して「所有」の一部を担っているわけですから、ある意味、当然といえます。ですから「株主のため・株主の期待に応える」ことは避けられない厳然たる事実ではあると思います。

ただ「会社は誰のためのものか?」の問いに対しての解は、やはり「株主のため」ということで一致するのでしょうか。この「解」が必ずしも一致するとはいえないところに、経営の難しさがあるように思います。

皆さんは、この「解」をどう考えますか?
ここに多くのステークホルダーが登場してくるわけで、「そこで働く従業員の幸せのため」「顧客に喜んでもらうため」、その結果として「社会に貢献することにつながるため」などが挙げられるのではないかと思います。

社会状況の変化と経営の在り方の変化

日本は第2次世界大戦の敗戦後、生きるために、生活のために必死に働いてきた時期があります。この頃は、まずは安定した生活を確保・維持していくことが最優先課題だったわけですから当然の帰結だったのでしょう。

その後、高度成長期を超え、「中間層」といわれる人たちが最多を占めてきた頃から「人より高収入を得る・昇格を果たすことによるステータス・自尊心、それに伴う達成感・自己顕示欲」といったもので働きがいを感じてきた時代があります。

そして、ミレニアル世代がビジネス社会の中心になりつつある現代は、生まれた時から生活に困窮した経験を持つ者は少なく、義務教育から「ゆとり教育」の名の下に「競争」よりも「自分らしさ・個性」を重んじてきた結果として「自分のやっていることに対する意味や意義」を問う人たちが増えています。

こうした事実は、社会状況の変化に伴い、その時々に政治や社会が決断をしてきた結果であり、いくらその事実を憂いたり、嘆いたりしても「不可逆的な事実」であり、受け入れざるを得ません。

つまり、この事実を踏まえて「これから、どうするのか?」を考えるしかないということになってしまいます。

「学べない社会人」が多い日本

ダイヤモンドオンラインに下記のようなコラムがありました。
【「学ばない社会人」の意外な多さが日本企業の競争力を低下させていた】

この中で、パーソル総合研究所・鎌田陽子研究員は「日本では雇用の流動性が低く、多くの人が特定の組織内での経験を基に仕事をする状態が続いてきました。これにより、自主的に学ぶ意欲や機会があまりなかったのではないかと考えられます」と指摘しています。

これは、別の言い方をすると「社会の状況変化に応じた考え方の多様性の幅を広げなくても何とかなった」ともいえるのではないでしょうか。結果、「自分の経験が全て・上限」となってしまい、そのやり方を価値観が変わった世代の人たちに押し付けるしかないという結果を招き、それがパワハラといった形となって表出してきているように思います。

さて、「会社は誰のためのもの」なのでしょうか……。

2019年、平成も終わりを迎え、21世紀に入って20年になろうかという今年。
来年(2020年)の、東京オリンピックでは、従来の殻を破るようなパフォーマンスを、苦しみながらではなく、心から楽しげに披露してしまうのではないかと思われる10代のトップアスリートたちが多く、期待が膨らむ今年。
昨年は、スポーツ界の悪しき慣習が噴出し、組織の在り方やリーダーとしての思考性が問われた年だったことは記憶に新しいと思います。

そろそろ、私たちの経営の在り方や思考性も根本的に問い直さないと手遅れになる年になるのではないでしょうか……。

本年も、よろしくお願いいたします。

次回は2月20日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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