第19回 レビューしよう【1】「認識の相違(ズレ)」は常に発生する

プロジェクト活動の中で重要なポイントの一つが「レビュー」です。「レビュー」することで「認識の相違(ズレ)」をなくし、企業の「目的」を共有したシステム稼働を行っていただきたいと考えています。

レビューしよう【1】「認識の相違(ズレ)」は常に発生する

前回までのコラムでは、「フィッティングしよう」をテーマに、

  • ノンカスタマイズによるパッケージシステムのフィッティング
  • フィッティングにおけるテスト稼働の重要性

について一緒に整理してきました。

このフィッティング、そしてテスト稼働を実施していくうえで、プロジェクト活動の中でもう一つ重要なポイントがあります。
それが今回テーマにしたい「レビュー」です。

「認識の相違(ズレ)」は常に発生する

企業におけるシステム立ち上げプロジェクトは、業務外プロジェクトの形態を取り企業内のさまざまな業務を担当する部門から、異なる実業務を持つメンバーを集めて運営されていることが通常であると考えます。

そして経営者の参画、我々外部のベンダーとの協同プロジェクト活動などの運営がなされます。
そのような中でよく発生するのが「認識の相違(ズレ)」という状況です。

皆さんは、システムプロジェクトのみならず、日ごろの仕事においても、ちゃんと伝えたはずなのに伝わっていなかったとか、説明したのに理解されていなかったなど、コミュニケーションにおけるトラブルを体験されたことはありませんか?
中でも「認識の相違(ズレ)」というのは結構厄介です。
「認識の相違(ズレ)」とは、お互いが同じ「目的」で、同じものを見て、同じターゲットについて話しているのに、それぞれ異なる解釈をしてしまっている状態のことです。
そしてこの「認識の相違(ズレ)」の非常に厄介なところは、お互いに「理解した(された)」と思っていることです。

例えば、ある職場で現場レポートを行ったとします。
その現場では、機械が稼働して製品を生産している状況であったとします。
その状況下での現場レポートを、一方は「製品」のレポートと認識し、一方は「機械」のレポートであると認識します。
現場での製造レポートとしての解釈のうえでは、お互いに間違っているわけではありません。
この「どちらも間違っているわけではない」という点が、非常に厄介なのです。

同じ「目的」を定義したとしても、その伝え方や受け取り方は人によって違います。
そのときに使う表現によって勘違いされてしまう場合もありますし、個々人によっての理解能力やコミュニケーション能力の違いも大きく関係してきます。
結局のところ、この「認識の相違(ズレ)」というのは、お互いのコミュニケーション不足が主な原因であると考えます。
そもそも、自分にとっての常識が相手にとっての常識ではないし、同じものを見ても相手は全く違う認識をしているかもしれない。
そんな当たり前の危機感をお互いに持つことが重要です。
その場の雰囲気に流されず、面倒くさがらずに、話し合いの場を持って情報を共有する。
伝える側、受ける側の双方がお互いに理解できているかを確認し合う。
単純なように見えるコミュニケーションをきちんと取ることが重要です。

現場レポートに対して、「製品のレポートですよね」と確認する。
もしかしたら相手は「機械稼働のレポートでしょ」と返してくるかもしれない。
そこで初めてお互いが異なった認識をしていることが明らかになる。
ほんの一言二言で済む行為であるにもかかわらず、そんな労力を惜しむからこそ、「認識の相違(ズレ)」というような厄介な状態を生むのであると考えます。

「認識の相違(ズレ)」をなくすための秘訣があるわけではありません。
常に自分の常識を正とせず、手間を惜しまずにコミュニケーションを心掛ける。
そんな「手間」が、「認識の相違(ズレ)」という厄介な状態を減らすことにつながるのです。

「レビュー」しよう

お客様とシステム稼働に向けたプロジェクトを進めていく中で、常にお願いしていることがあります。
「必ず社内レビューをしてください」と常にお願いしています。
これは何か成果物があってのレビューとしてだけではなく、フィッティングコンサルの打ち合わせ後であったり、テスト稼働の期間であったり、状況はさまざまです。
単純な意味合いでは、お客様に社内での話し合いやコミュニケーションの場を常に多く持ってくださいというお願いです。

「レビュー(review)」とはそもそも、英語のre(再び)+view(見る)からきています。
再調査、再検討という意味合いですが、再確認、復習という意味合いでもあります。
お互いに話し合い、確認し合う「手間」を持つことです。

「レビュー」することで、「認識の相違(ズレ)」をなくして、コミュニケーション能力の高いプロジェクト運営を行い、企業の「目的」を共有したシステム稼働を行っていただきたいと考えています。

次回も、もう少しこの「レビュー」について一緒に考えてみたいと思います。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。

次回は10月19日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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