第18回 フィッティングしよう【6】テスト稼働こそ、フィッティングと本稼働の命(2)

前回のコラムでは、「本来の業務」と並行した業務外プロジェクト活動におけるテスト稼働の厳しい現実について記載しました。今回は、テスト稼働をどのように進め、フィッティングしていくのかを、より具体的に考えていきたいと思います。

フィッティングしよう【6】テスト稼働こそ、フィッティングと本稼働の命(2)

目的を持ったパターンテストの策定

そもそも、テスト稼働の重要性は、その想定されるパターンの幅により重要度が増してくるものではないかと考えています。
この、パターンの幅が大きく複雑な業種・業態が、加工型製造業です。

なぜなら、加工型製造業は以下のような特性があり、それぞれが複雑に絡み合うからです。

  1. さまざまな加工(プロセス)工程を持つ(→ どのように作るのか)
  2. 繰り返し同じものを製造する(→どのくらいまとめて作るのか)
  3. 見込み生産が存在する(→ どこまで作っておくのか)
  4. PULL型の引き取り・補充計画による生産を行う(→ どのように計画・指示を行うのか)

そして、この特性をシステムにおいて具現化していくために、さまざまなパターンのテストを行い、確認していく必要があります。

パターンテストにおける確認ポイントは、以下のようなものが考えられます。

  1. どのような加工工程の管理を行うか
  2. どのくらいまとめて作るのか
  3. どこで在庫(仕掛在庫)の管理を行うのか
  4. どのようなタイミングで計画・指示を行うのか
  5. どこに出来高や使用高の歩留りが存在するのか
  6. どこに品質管理のポイントが存在するのか
  7. 設備ごとの計画・負荷の確認をどのように行うのか etc.

これらの確認ポイントは、それぞれが複雑に絡み合っているため、それぞれの目的を明確化して、確認の目的ごとに個別にさまざまなパターンテストを行い、その目的におけるメリット・デメリットの評価・確認を行ったうえで、他の確認目的との相互関係を明確化して総合的な評価・確認を行っていく必要があります。

例えば、加工工程の管理を例に挙げて考えてみましょう。
システムにおいて管理工程をマスター整備する場合、ほとんどのお客様が工程(作業)仕様書などを基に、マスター構築を考えられます。

ところが、お客様によってこの仕様書自体がかなり細かな作業仕様書であったり、逆にアバウトな仕様書であったりします。

あまりに細かな作業仕様書を基にマスター構築を行われたお客様の場合は、実際の生産実績報告の管理が追いつかずに、運用が頓挫してしまうような状況が発生します。

逆にアバウトな仕様書を基にマスター構築を行った場合は、確かに入力の手間・工程数は削減されますが、その他の管理目的との相互関係において、「在庫の管理ができない」、「計画・指示ができない」、「品質ポイントの管理ができない」等などのデメリットが発生します。

結果的に、これらの要因により本稼働に向けた活動の中で手戻りが発生し、スケジュールの遅延を起こしてしまいます。

このような状況を発生させないためにも、加工工程の管理に対して、仕様書の作業をトランスファー(同期・結合)してみたり、逆に細分化してみたりすることにより、さまざまな加工工程のパターンを評価・確認することが必要となります。

この活動においてさまざまなテストパターンテストと実業務を対比して評価する中で、管理の目的に対して業務の棚卸がされ、実業務の工程管理において業務改善される場合もあります。

例えば、相互関係にある別の管理目的において、「在庫管理の要・不要」や「品質管理ポイントの明確化」等などと関連して、実業務側の工程を同期・結合したり、細分化したりすることはシステム活用を進めるうえで非常に効果的です。なぜなら、管理目的の側面から実業務の見直しや改善につながるからです。

そもそも、「目的は何だったっけ」の原点から考えると、システムを動かすことが活動の目的ではなく、生産管理システムという道具の使い方を模索し業務改善を行うことで、企業の目的である収益改善につなげることが活動目的だと認識しています。

そのためには、テスト稼働でそれぞれのパターンテストを行う上うえで設定される目的は、現状の業務(今できていること)をシステムに載せるのではなく、業務改善を目的とした運用テーマを個々に設定して、パターンテストを行う必要があると考えています。

日常のレギュラー業務の中にこそ、改善のヒントがある

「本来の業務」が忙しい中行われる業務外プロジェクト。

そのテスト稼働において、実業務と並行してさまざまなパターンをテストすることで日常のレギュラー業務をフィッティングしていく活動は、システムを稼働させるだけではなく、その活動の中にこそ本来行われるべき業務改善のヒントが存在します。

「本来の業務が忙しいから」という理由で機会損失することなく、本稼働までの業務外プロジェクトだからこそできるフィッティングに、また業務改善に取り組んでいただきたいと考えています。

次回は6月22日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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