第17回 フィッティングしよう【5】テスト稼働こそ、フィッティングと本稼働の命(1)

今回のコラムは、「テスト稼働(フィッティング・シミュレーション)」に焦点を当ててお話を進めていきたいと考えています。実は、このテスト稼働は、システムの立ち上げを行う皆さんの活動の中で、非常に重要な要素であるにもかかわらず、案外軽く扱われている存在ではないかと考えています。

フィッティングしよう【5】テスト稼働こそ、フィッティングと本稼働の命(1)

今回のコラムは、「テスト稼働(フィッティング・シミュレーション)」に焦点を当ててお話を進めていきたいと考えています。
実は、このテスト稼働は、システムの立ち上げを行う皆さんの活動の中で、非常に重要な要素であるにもかかわらず、案外軽く扱われている存在ではないかと考えています。

本来の業務「製造」が忙しいから……

「テスト稼働」が稼働に向けた活動の中で重要な要素にもかかわらず、扱いが軽いのでは? と思ってしまう最もよくある状況の中に、「本来の業務が忙しいから」、「時間が取れないから」というあまり(全く)進捗していません」のような状況を散見することがあります。

そもそも、システム導入・立ち上げの活動自体が製造業においては、業務外プロジェクトになりますから、本来の業務に支障を来してまで進めることは本末転倒であるのは共通認識です。
しかし、企業において導入の「目的」を持った業務外プロジェクトであることも事実ですので、日常の業務と並行して進めていかなければならないプロジェクトであることも否めません。

上の図1において、導入当初に行われる「導入支援分析(フィッティング・コンサルティング)」では、比較的スムーズに進捗することが多いです。
それに比べて、「テスト稼働」においての進捗やその内容は著しく悪くなります。

そして、その進度や内容の確認を行った時に出てくるのが、「本来の業務が忙しいから」という状況です。

それもそのはず、テスト稼働では、お客様の負荷が一気に高まるからです。

下の図2において、「導入支援分析」の時点では、ベンダーとの打ち合わせ頻度は週1回程度と多いものの、お客様自身による作業は比較的少なく、通常の業務レベルで活動いただける状況であると考えます。

一方、「テスト稼働」のフェーズに入りますと、ベンダーとの打ち合わせ頻度は少ないものの、本来の意味でのお客様主体による稼働に向けた活動がスタートすると言っても過言ではありません。

テスト稼働以降の訪問打ち合わせは、その進捗の管理とテスト稼働内容の評価・補正を行う共同打ち合わせの位置づ付けとして存在します。

テスト稼働は、この共同打ち合わせの間にさまざまなパターンのテストを行い、その評価・補正を行うことで、いかに次のテスト稼働へ進められるかにかかってきます(これについては、次回のコラムで触れたいと思います)。

テスト稼働こそ、フィッティング、そして本稼働の命

さて、「フィッティングしよう」のテーマの中で、「導入支援分析(フィッティング・コンサルティング)」における活動目的を以下のように何度か記載してきました。

  1. 導入目的・要求定義の確認と、業務分析による業務の棚卸と、業務の意図・目的の整理
  2. パッケージシステムによる新業務フローの方向性とフィッティングにおける課題の整理

第16回 フィッティングしよう【4】イレギュラーを探すのではなく、レギュラーを積み上げよう(ERPナビ)

これは、パッケージシステムをお客様の業務と目的に照らし合わせて活用していく方向性の確認と整理であると考えます。

これを実業務に対してより具現化し、最適化していく活動が「テスト稼働」になります。
すわなち、この「テスト稼働」によるフィッティング・シミュレーションこそが、システム稼働に向けた活動の根幹であり、生命線であると言えます。

にもかかわらず、極端な例では訪問支援に伺った際にしか実機に向かった「テスト稼働」を行っていただけていないケースもあります。
結果的に進捗は著しく低下し、当初のスケジュールに対して遅延が発生し、サポート支援追加の発生と共にスケジュールが延期・修正され、本稼働までの期間が長期化するという本末転倒な状況です。

さらには、「本来の業務が忙しいから」という状況が、テスト稼働の遅延を招くのみならず、プロジェクト活動を頓挫させてしまうお客様も発生します。

だからこそ、「目的は何だったっけ」と常にプロジェクト活動の中で本来の目的に立ち返り、目的を意識したプロジェクト活動が必要になってくると考えます。

この厳しいテスト稼働の現実の中で、本来行っていくべきフィッティングの本質について、次回少し深耕していきたいと思います。

次回は5月25日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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