第10回 賃上げの代替案としての“実績連動型報酬”の可能性~柔軟な報酬制度とクラウドサービスの活用~
今回は、具体的なサービスのご紹介もさせていただきます
賃上げの代替案としての“実績連動型報酬”の可能性~柔軟な報酬制度とクラウドサービスの活用~
賃上げは一度実施すると下げることが難しい
賃上げは、社員の生活を支え、働きがいを高める重要な取り組みです。しかし、一度賃上げを実施すると、後から下げることが非常に難しいというのが現実です。業績が好調なときに賃上げを行っても、景気が悪化した際に元に戻すことは、社員の生活やモチベーションに大きな影響を与えかねません。
そのため、企業側も慎重にならざるを得ず、「賃上げしたいけれど踏み切れない」というケースが多いように感じます。
実績連動型の報酬という選択肢
こうした状況の中で注目されているのが、実績連動型の報酬制度です。これは、給与規定を変更することなく、一定の業績目標を達成した場合に報酬を支給する仕組みです。
例えば:
- 「3年後に売上が○%向上したら支給」
- 「利益率が○%を超えたら支給」
といった形で、“成果に応じた報酬”を社員に還元することができます。この方法であれば、固定費としての人件費を増やすことなく、社員の手取りを増やすことが可能です。
給与規定を変えずに報酬を増やすメリット
この仕組みの最大のメリットは、柔軟性と持続性です。
- 業績が良いときに報酬を支給し、悪化したときには無理をしない
- 今現在、給与原資がなくても未来の給与原資を活用できる
- 社員に「会社の成長が自分の報酬につながる」という実感を持ってもらえる
- 給与規定の改修や労使交渉を経ずに導入できるケースもある
「決算手当」という形で取り組まれている企業も多いと思いますが、進捗(しんちょく)や報酬額の可視化まで行っている企業は少ないのではないでしょうか。実際の報酬額が見えていると、モチベーションも上がります。
実現を支えるクラウドサービス「エンゲージメントストック」
このような実績連動型報酬制度を支える仕組みとして、「エンゲージメントストック」というクラウドサービスがあります。このサービスでは、企業が設定した業績目標に応じて、社員に報酬を分配する仕組みを設計・運用できます。
- 現時点での報酬額をいつでも確認可能
- 社員ごとの貢献度や役割に応じた報酬配分も可能
- 給与とは別枠での支給ができるため、柔軟な運用が可能
こうしたツールを活用することで、「賃上げは難しいが、報酬は増やせる」という選択肢が現実的になります。
臨時賞与や決算手当との違い
基本的には大きな違いはありません。もっとも大きな違いは、「現時点での報酬額が“見える化”される」という点です。目標に対する達成率だけでなく、それに対する報酬額が見えることで、従業員のモチベーションアップにつながります。従業員の立場から見ても、「臨時賞与が出るか否か」だけでなく、「いくら支給されるのか」が見えるため、生活の見通しも立てやすくなります。
一部の大企業では、賞与の給与化(一部賞与を廃止し、賞与分を基本給に組み込む)を実施し、高い賃上げ率を実現している例もあります。しかし、業績悪化時の人件費コントロールの難しさなどから、大きな資本力がないと実現が難しい面もあります。
「エンゲージメントストック」を活用することで、報酬額の「見える化」が可能となり、モチベーション向上に寄与します。
賃上げだけが報酬改善の道ではない
賃上げは重要です。でも、それだけが社員の報酬を改善する方法ではありません。実績連動型の報酬制度は、企業の成長と社員の報酬を結びつける新しい仕組みです。こうした柔軟な制度を取り入れることで、社員と共に未来をつくっていけるのではないでしょうか。
ただし、給与規定に組み込まれるものではないため、補助金申請時などに必要な「賃上げ」には含まれない点には注意が必要です。
担当者のつぶやき
今回は具体的なサービスに触れさせていただきました。とても良いサービスだと感じたため、ぜひ知っていただきたいと思いました。「会社が成長すれば、報酬が増える」という非常にシンプルな原理を、説得力のある形で可視化できるサービスです。「給与外の現金支給」という点で、ほかにはなかなかないサービスです。
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