第157回 それ「コロナ」のせいにしていませんか その7

医療機関の一つの特徴として、「高い給与」と考える人が多いと思います。実際収益に対する人件費の割合(給与費比率)が、50%を超える医療機関も多く存在します。医療機関の収支改善を考える際に、この人件費の割合を低くすることが収支改善には最も有効な手法となります。

それ「コロナ」のせいにしていませんか その7

医療機関の一つの特徴として、「高い給与」と考える人が多いと思います。実際収益に対する人件費の割合(給与費比率)が、50%を超える医療機関も多く存在します。その要因が、法律で医師や看護師の数が一定数以上いることが定められていること。さらに医療機関に勤務するほとんどの職種が国家資格を有しているということなどが挙げられます。
医療機関の収支改善を考える際に、この人件費の割合を低くすることが収支改善には最も有効な手法となります。

出典:「医療経済実態調査のデータ分析(令和3年度調査)」(厚生労働省・PDF)

上記の厚生労働省の調査データによると、常勤医師の平均給与は約140万円。同じく常勤看護師の平均給与は約40万円です。この金額を高いと感じるか低いと感じるかは人それぞれだと思いますが、OECDの国々と比べると、日本の医師の給与より高い給与の国は、オランダやアメリカなど約10カ国あります(注1)。

  • (注1)参考:日医雑誌(平成22年4月)、OECD Health Working PapersNo.412

参考:「平成16年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)

諸外国と比較するとそれほど高くない給与

それぞれの国の医療提供体制などが異なるため一概に比較はできないものの、諸外国と比較すると、それほど高い給与とはいえないと思います。今回の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を振り返っても、医師や看護師など医療従事者の献身的な取り組みによって乗り越えたといえるのではないでしょうか。

ちなみにこのコロナ対応に対して、診療報酬で「処遇改善」という点数で新たに評価しました。この処遇改善の診療点数には、まださまざまな課題は指摘されていますが、私自身、まずは処遇改善の診療点数が新設されたことを評価したいと考えます。

職員皆が納得する賃金体系と評価方法の構築が重要

前述したように医療機関の収支を改善するために、「給与」に手を付け始めた医療機関もあります。ただし注意したいのは、公平な賃金体系の構築と、評価方法の改善をはじめに着手すべきと考えます。詳細は後日、このコラムで取り上げたいと思いますが、職員皆が納得する賃金体系と評価方法を構築することが重要です。給与は働く人々にとってのモチベーションにつながることが多く、自動車で例えると、燃料のガソリンのようなものです。

収益に対する給与費の割合(給与費比率)を下げる方法は、給与費の絶対額を下げる方法もあります。しかし、収益を増やすことで給与費比率を下げることも可能です。ガソリンのない自動車は走りません。働くモチベーションが下がっては、医療の質も低下してしまいます。ぜひ収益を上げて給与費比率を下げる方向で収支改善を行いましょう。

皆さんはどう思いますか?

次回は2月12日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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