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第158回 それ「コロナ」のせいにしていませんか その8
生活習慣病、特に糖尿病患者への栄養指導や入院患者への食事指導など、病院における管理栄養士の活躍範囲が広がっています。その要因の一つが、診療報酬改定です。診療報酬改定により、管理栄養士の活動に診療報酬という収入が伴うことになり、医療機関も収入増のために人員を増やしたりして活動の後押しをしています。
それ「コロナ」のせいにしていませんか その8
病院における管理栄養士の役割は、以前は入院患者の食事関連の仕事が多かったですが、近年は生活習慣病、特に糖尿病患者への栄養指導や入院患者への食事指導などその活躍の範囲は広がっています。その要因の一つが、診療報酬改定です。診療報酬改定により、管理栄養士の活動に診療報酬という収入が伴うことになり、医療機関も収入増のために人員を増やしたりして活動の後押しをしています。
急性期におけるリハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の取組の推進(1)
急性期医療におけるADLが低下しないための取組を推進するとともに、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る観点から、土曜日、日曜日及び祝日に行うリハビリテーションを含むリハビリテーション、栄養管理及び口腔管理について、新たな評価を行う。
(新) リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(1日につき) 120点
より早期からの切れ目のないリハ(離床)・栄養・口腔の取組
- 疾患別リハビリテーション等の提供によるADL等の改善
- 土曜日、日曜日及び祝日に行うリハビリテーションの提供
- 入棟後早期のリハビリテーションの実施
- 病棟専任の管理栄養士による早期評価と介入
多職種による評価と計画
- 原則48時間以内の評価と計画作成
- 口腔状態の評価と歯科医師等の連携
- 定期的カンファレンスによる情報連携
出典:「令和6年度診療報酬改定の概要【個別改定事項(I)】令和6年3月5日版」(厚生労働省・PDF)
上記のように、院内外の「リハビリ-栄養管理-口腔管理」の推進を中心とした、多職種および同職種間での連携の推進がポイントです。早期のリハビリは、早期の離床、社会復帰につながり、口腔管理は、食事をするために必要な機能であり、さらに全身管理のためにも必要な機能といわれています。そして栄養管理ですが、やたらになんでも食べればよいのではなく、その患者の状態に適した栄養摂取、栄養管理が必要になります。(標準的な栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、退院時を含む定期的な評価など。後述GLIM基準参照)
筆者も昨年入院しました。その際管理栄養士により栄養指導を実際に受けましたが、身体によいだろうと毎日飲んでいたトマトジュースが、実は自分の体の状態には良くないことが分かるなど、非常に多くのことを学べた時間でした。
筆者が受けた栄養指導は、病室へ管理栄養士が訪問してくれて指導を行ってくれるものでした。しかし、今後は管理栄養士が病棟に常駐して業務を行う形になるのではないかと推察します。管理栄養士が病棟に常駐するメリットとして、治療効果を高める栄養療法や栄養管理の実践があります。食事関連の医療事故発生防止、医師や看護師の負担軽減にもつながると考えます。すでに薬剤師は病棟常駐することに診療報酬による評価がついています。将来管理栄養士の病棟常駐にも診療報酬による評価がつく可能性が高いと思われます。
皆さんはどう思いますか?
参考:GLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準
2018年に世界の栄養学会(ESPEN:欧州、ASPEN:北米、PENSA:アジア、FELANPE:南米)が低栄養の診断基準としてGLIM基準を策定
栄養スクリーニング
- 全ての対象者に対して栄養スクリーニングを実施し、低栄養リスクのある症例を特定
- 検証済みのスクリーニングツール(例:MUST、NRS-2002、MNA-SFなど)を使用
詳細は、日本栄養治療学会(JSPEN)HP「GLIM基準について」を参照。
出典:「令和6年度診療報酬改定の概要【個別改定事項(I)】令和6年3月5日版」(厚生労働省・PDF)
次回は3月12日(水)更新予定です。
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