第62回 経営改善にはデータを活用せよ

経験や勘などに頼っていた経営ですが、今は何を頼りにすれば良いのでしょうか。それは、「データ」です。特にDPCに関連するデータは、医療機関の経営に非常に役立ちます。今回は「データを経営に活かす」という視点でお話ししたいと思います。

経営改善にはデータを活用せよ

医療機関の経営は、以前に比べて大きく様変わりしました。「医療機関の経営はどんぶり勘定」や「医療機関の経営は3K(経験・勘・神頼み)」などと揶揄されることも多かったと思います。しかし現在、そんな経営をしていたら、あっという間に赤字転落、経営不振といった具合になってしまうということは医療関係者であれば否定しないでしょう。

では、経験や勘などに頼っていた経営ですが、今は何を頼りにすれば良いのでしょうか。それは、「データ」です。特にDPCに関連するデータは、医療機関の経営に非常に役立ちます。今回は「データを経営に活かす」という視点でお話ししたいと思います。

まず初めにDPCのデータとはどのようなデータなのか簡単に解説します。DPCとは、Diagnosis Procedure Combinationの略であり、診断、治療処置の組み合わせという意味です。急性期入院医療の診断群分類に基づく、1日当たりの包括評価制度のことです。DPCデータの活用は、厚生労働省によると、「診断群分類の点数表の作成、医療機関別係数の設定等に活用され、医療機関毎に公開される」(保医発0319第6号)とあります。診断群分類は、14桁で表され、この数字は、疾患名、手術や処置名、副傷病の有無などを表しています。例えば、「0600203x01x00x」は、「胃の悪性腫瘍で、胃全摘手術を実施し、その他の処置はなく、副傷病もない」となります。この数字が入院患者個人に付与されています。

「DPCのデータは医事課などの部署にしか関係がないんじゃないか」という声もあるかもしれませんが、全くそんなことはありません。どんな部署でもDPCのデータを活用して、経営改善に繋げることが可能です。今回は例として、医療機関が自院の経営戦略を立案、策定するためにDPCデータを活用する事例をご紹介します。DPCのデータは自院の診療行為を集約したデータと考えられているかもしれませんが、それはほんの一面に過ぎません。全国のDPCのデータは厚生労働省のホームページ*で公開されています。この公開されているDPCデータを分析することで、全国での自院のポジショニングや、自院の地域における戦略を立案、策定することができます。

*厚生労働省ホームページ DPC評価分科会……http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128164

上記にDPCデータにアクセスできるアドレスを添付しました。このアドレスはDPC評価分科会のページにアクセスします。このページの「資料」というページに掲載されているのが、DPCの各種データになります。この「資料」の部分をクリックするとPDFやエクセルといった形式で数十ものファイルがダウンロードできます。最初は膨大な量に思えるかもしれませんが、一度じっくり時間をかけて見てみてください。どのような分析でもデータの性質や種類などをあらかじめ知っておくと、分析時の視点が深まります。一度理解してしまえば、毎年同じ項目で公開されますので、あとは楽になります。

まず自院が全国でどのポジションに位置しているのか、全国でも知名度の高いあの有名な○○病院と自院を比べてどこが違うのかという比較分析を実施する視点で見ていきます。比較する対象を疾患名や平均在院日数といった具体的な項目に絞ります。疾患であれば自院が最も得意とする疾患が良いでしょう。自院の最も得意な疾患は、全国でどのくらいの順位なのかということが分かります。平均在院日数であれば、短いのか長いのかといったことが分かります。

自院の最も得意とする疾患は、全国で何位?

調査データで詳細なデータは「疾患別・手術有無別・処置2有無別集計」となりますが、現実的には、「MDC別・医療機関別件数」(注1)のデータで分析するのが良いでしょう。しかし、これらのデータでも膨大ですし、大変ですよね。そこでお勧めなのが「カルー(Caloo)」(注2)や「病院情報局」(注3)といった無料(一部有料)サイトです。厚生労働省が公開しているデータをもとに各医療機関の症例数がまとめられています。どちらのサイトも自院の病院名で検索が可能です。カルーでは、「治療実績」のページで疾病別に県内、全国の順位が分かります。病院情報局では、MDC別に、月平均患者数、医療圏内シェア、平均在院日数、患者構成指標、在院日数指標が確認できます。グラフ表示になっており非常に分かりやすいサイトです。

注1:MDC……Medical Diagnostic Classificationの略。DPCコードの14桁のうち、6桁で構成される疾患コード。その冒頭2桁で疾患名の大分類を表わしているコードのこと。

注2:病院情報局……http://hospia.jp/

注3:カルー(Caloo)……https://caloo.jp/

次に自院の平均在院日数は短いのか長いのかということを分析したいと思います。よく目にする病院ごとの平均在院日数は、その病院の疾病構成が考慮されていないため、単純に比較してもあまり意味はありません。
そこで、疾病構成を補正した在院日数の長短を比較できる指標が公開されています。「在院日数の平均の差 MDC別」というファイルがその資料です。すこし分かりづらいかもしれませんが、「医療機関別在院日数の平均」という箇所が単純な平均在院日数です。「全国の疾患構成に補正した場合」という指標が、患者構成を補正した各医療機関の平均在院日数になります。この自院の数字が、全DPC病院の平均値に比べ短ければ「在院日数の指標」が「1」よりも多くなります。

DPCデータが公開されていない時は非常に難しかった分析も、他院の症例件数も分かるようになり、経営戦略の立案、策定には非常に参考になることがお分かりになったと思います。何らかの改善に取り組んだ施設、医師数の変動があった施設など、その地域で収集した情報と合わせて考えると、納得がいく指標も見つかるでしょう。公開されているデータの多くはエクセルなので、加工も簡単です。ぜひさまざまな角度から分析し、経営戦略の立案、分析に役立ていただければと思います。

皆さんは、どう思いますか?

次回は2月15日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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