第64回 医師をどのように確保するか

前回のコラムでは、医療機関で働く「人」のことをお話ししました。今回のコラムでは医療機関で働く最も重要な人である「医師」についてお話ししようと思います。

医師をどのように確保するか

前回のコラムでは、医療機関で働く「人」のことをお話ししました。今回のコラムでは医療機関で働く最も重要な人である「医師」についてお話ししようと思います。

医療機関では医師が全ての起点になると言ってもよいでしょう。検査や画像撮影の指示から、治療行為や手術に至るまで医師が指示することで全てが始まります。その「医師」ですが、潤沢に医師がいるわけではありません。毎年4,000人程度新たな医師が誕生していますが、OECD諸国と比べても、日本の医師数は少ないと指摘されています。さらに都市部と地方部を比較すると、医師は都市部に集中しやすい傾向があります。いずれにしても、医療機関にとって医師がいなければ何事も進まない、始まらないのは明らかで、医師を確保することは医療機関の最も重要な施策の一つと言えるでしょう。

医師の採用について

医師を採用する際にどのようなパターンがあるでしょうか。一つは、大学の医局からの派遣があります。また医療機関が募集して採用するということもあるでしょう。最近は医師を紹介してくれる(医師)人材紹介会社から紹介してもらうというケースも散見されます。

大学病院からの派遣ですが、大学病院の医局は派遣業者ではありません。したがって、正式な派遣契約があるわけではなく、医局員が希望して勤務しているというのがあくまでも建前です。派遣してくれる大学は、院長の出身大学であることがほとんどです。診療科別に派遣大学が異なる場合もあります。

大学病院の医局側は、関連病院にはその病院の特徴(急性期や特定疾患で顕著な実績があるなど)がありますので、医局員の教育的観点や研修効果を考慮して、どの病院に誰を派遣するのか決めます。

若手医師は、大学病院にいても自分に症例数が回ってくることが少ないために、派遣先で多くの症例を経験させることも派遣の大きな目的の一つです。通常、派遣医師は1~2年程度で別の派遣医師と交代します。

大学病院医局からの医師派遣の長所は、医局から継続的に医師を派遣してもらえることです。診療科内の診療内容や診療方針が医師個人によって大きく変動しないメリットもあります。

短所としては、派遣される医療機関は派遣される医師を選ぶことができません。そして前述したとおり、平均1、2年で交代してしまうので、派遣される病院側が継続をいくら希望しても難しいです。まれに派遣された医師が医局からの異動指示を拒否し、派遣先の病院にそのまま就職を希望するケースもあります。その際病院は、審査のうえ採用可否を判断することができます。このようなケースは病院側が医師の技量や人間性を把握していますし、医師も病院の経営方針などを把握していますので、双方にメリットがあります。

派遣される医師側の問題としては、あくまでも大学医局の一員として派遣されているという意識が強いため派遣先の病院の指示命令よりも、大学医局の指示命令のほうが優先順位は高くなります。帰属意識は大学医局にあるということです。

病院が独自に募集するケースでは、医師の臨床研修が必須化されたことを契機に、増加しています。長所としては、医局に所属していない、しがらみが少ない医師が多いので学閥がないことが挙げられます。ただし募集しても応募がなかったり、応募があってもその医師の技量を評価することが難しかったりすることが短所として考えられます。そのため一定期間の試用期間を設けて試験的に働いてみるといったことを採用している病院もあります。また、地域の特性の諸事情をよく知らないで、あるいは医師のご家族が地域に馴染めず短期で辞めてしまうこともあるので、十分に配慮することが大事です。(逆のケースもあります)

先の医師臨床研修の必須化の影響で、医局に拘らない、脱医局の医師が多くなってきました。この動きは若手医師に限りません。自由に就職先を探す医師が増えてきました。以前は医局の派遣先を指示どおりに回り、部長、医長となり、やがて開業するというのが一般的なキャリアでしたが、最近は定年まで勤めても役職に昇進できない医師も出てきて、より良い待遇や条件を求めて求職しています。今後の医師確保を考えた際に、このような医師を確保対象として、対策を立案実行することが重要です。また、このような医師は、医師紹介会社を利用していることも多くあります。病院が医師紹介会社を利用するメリットは、病院側が求める条件を提示でき、紹介会社はその条件に合致した医師を紹介してくれるという点が挙げられます。例えば「外来診療のみ」や「病棟(入院)も」とか糖尿病の専門医などの病院が希望する条件を伝えることができます。逆に紹介会社に登録している医師が勤務条件の希望などを紹介会社に伝えていることもありますので、病院側はこのようなことも想定して希望条件を提示すると良いでしょう。医局派遣とは異なりますので、病院とは合わない医師を解雇することも可能です。

短所としては、紹介料が高いということと、医師の経歴、履歴はあくまでも自己申告なので、紹介会社も技量や人物保障まではできませんということです。

非常勤医師について

常勤医師がなかなか確保できにくい時代ですので、非常勤の医師を上手に活用するということも当然考えなくてはいけません。非常勤の医師に外来や当直等を曜日や時間を決めてお願いするという雇用形態が、非常勤の中で「定期非常勤」と呼ばれるものです。これに対し常勤医師や定期非常勤医師の都合が悪いときの穴埋め的な勤務医師は「不定期非常勤医師」と呼ばれます。

定期非常勤には、定期外来を担当するケースと夜間や休診日の日直、当直を担当する場合があります。勤務実績としては週に1~3回、午前、午後、夜診、日直、当直などがあります(週に4日以上は常勤扱いです)。大学院生や大学病院の無休医局員、産休・育休中の女性医師、非常勤専門医師などが多いです。給与水準は一概には言えませんが、常勤医師よりも時間給単位の単価では非常勤医師の方が高くなることが多いようです。

不定期非常勤医師は、常勤医師等の都合が悪くなったときの代診としてや健康診断などの季節的変動の高い分野での一時的勤務が多いです。

どの病院でも医師の確保は、頭が痛い問題ではないでしょうか。大学の医局にばかり頼っていてはリスクがあります。だからといって病院独自が医師を募集しても応募がくる保証もありません。医師にとってどのような病院が働きたい病院なのか。必ずしも給与面だけでは無いはずです。診療科によっても条件は異なると思います。一度自分たちの病院が医師にとって魅力的な病院なのかどうかをじっくり考えることも必要ではないでしょうか。

皆さんは、どう思いますか?

次回は4月12日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
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