第5回 医療機関にとっての接遇

4月は多くの方にとって、新しいスタートを切る時期ですね。医療機関も、多くのフレッシュな職員を迎えます。新入職員を対象に、新人研修プログラムが各医療機関でさまざまな工夫をされて実施されていますが、多くの医療機関で共通してプログラムに組み込まれているカリキュラムに「接遇」があります。

また、経営が優秀と言われている病院や全国的に有名な病院には、いくつかの共通点があります。その一つが、やはり「接遇」です。

具体的な事例を一つ挙げるとすれば、挨拶がきちんと気持ちよく行われていることがあります。挨拶がきちんとできれば経営が優秀になるか?と言ったらそうではありませんが、挨拶を含む人と人のコミュニケーションは、特に医療の現場では重要な意味を持ちます。その入り口が挨拶であり、接遇なのです。

では、なぜ医療の現場で接遇、高いコミュニケーション能力が必要なのでしょうか?患者の立場からは、患者は

「自分の今のつらい状況を分かってもらいたい」
「早く治してもらいたい」
「病気のことや治療のことを分かりやすく説明してもらいたい」

などの欲求があります。いずれの欲求も、医療関係者(特に医師)とのコミュニケーションが上手に取れないと、大きな不満につながります。この不満は他の病院へ患者が流れることにもなり、経営上大きな問題となります。

次に医療従事者から見てみると、ひとりの看護師さんに、

「○○さんにいつのも点滴お願い」(A医師)
「血液検査するから○○さんの採血お願い」(B医師)

など、複数の医師から指示されることが多くあります。どちらを優先するのかなど、医師と看護師がコミュニケーションを取れないと、業務に支障をきたします。

さらに、「いつもの点滴~」(実際にはこのような指示はありませんが)などという、“分かるだろう”という前提のもとでの曖昧な指示も問題です。これも、医師と看護師のコミュニケーションが取れていないと、医療事故にさえ繋がりかねない非常に危険な状況です。

  • 参考:間違いやすい名称が似ている薬剤
    アルマール(高血圧治療薬)とアマリール(経口血糖降下薬)、ノルバスク(高血圧治療薬)とノルバデックス(抗乳癌剤)、アイデイト錠(高尿酸血症治療薬)とアイデイトロール錠(β遮断薬)、マイスタン錠(抗てんかん薬)とマイスリー錠(入眠薬)
    ※一部名称の変更など改善の取り組み中

ある調査によると、スムースにコミュニケーションが取れるということは、医療機関(特に外来)を患者が選択する最大の要素であるといった報告もあります。ちなみに、同じ報告レポートにはサービスワースト3が記されています。

第一位は、役所。第2位はタクシー。そして第三位は病院です。まだまだ、病院は患者が望むレベルには至っていないことでしょうか?

コミュニケーション力の向上のためには、自分のことも相手のこともよく知る必要がありますが、米国では自分のコミュニケーションスタイルを知るために「マイヤーズ-ブリッグス・タイプ・インジケータ(MBTI)」という手法がよく使われています。

MBTIのベースにあるのは、精神科医ユングが確立した「心理学的タイプ論」です。「人にはそれぞれ生まれつき、自然と志向しやすい方法やスタイルがある」というタイプ論を発展させ、MBTIでは、各指標の組み合わせによって人間には16種類の認知スタイルがあるとしました。MBTIの検査を受けることで、自分がどのスタイルなのかを知ることができます。

米国は他民族の集合体の国なので、このような手法が発展したのでしょう。日本は単一民族国家なので、阿吽の呼吸や察知能力は他よりも優れていると思います。この優れた能力を医療の現場でも活かしてもらいたいです。

皆さんはどう思いますか?

次回は5月9日の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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