第8回 医療経営におけるマーケティングについて その1

~はじめに~
「医療はサービス業だ」と業界内外の方から聞かれるようになり、もうずいぶん久しいですね。
患者さんの名前を「○○さま」と呼称する病院も珍しくありません。
こうなると患者側の権利意識も変わるようで、医療機関(具体的には医師や看護師への要求が多いですが)に対する要求事項も多岐に亘り、そのハードルも一段と高くなっています。
一昔前には考えられないような(中には理不尽と思える)要望が日々、現場で飛び交っています。

なぜ、医療はサービス業になってしまったのでしょう?
決してサービス業が悪いと言っているわけではありませんし、医師と患者の関係に上下関係はないとも思っています。
医療がサービス業になってしまった理由の一つに「病院経営が難しくなった」ということが間違いなく挙げられます。
公定価格(診療報酬点数)で守られている母船護送船団方式が何を言ってるんだと他の業界の方からお叱りを受けそうですが、やはり医療は変わった業界です。

例えばゴッドハンドと呼ばれているような医師に手術をしてもらっても、医師に成りたての若手の医師に手術をしてもらっても、値段(診療報酬点数)は変わりません。
しかしコストである給与は雲泥の差があります。また、製造業などと異なり、商品のストック(在庫)ができません。
生産と消費が同時に起きることも医療の特徴でしょう。
診療報酬点数という公定価格で守られている分、決められた土俵のうえで経営のかじ取りをしていかなければならない難しさもあります。

診療報酬点数という公定価格が高い値段で設定されている時は、良かったですが、1998年に初のマイナス改定となり、約10年間値段は下がる一方でした。
公定価格である診療報酬点数が下がるのであれば、下がったなりに利益を確保するためにはどうすればよいのでしょうか?
お客である患者を確保することを考えるのは至極当然のことであり、患者を確保するために良いサービスが必要だという流れになったためだと私は思います。
ここまでの考え方は良いと思うのですが、患者さんを確保する手段が「○○さま」だけではどうでしょうか。

~医療におけるマーケティング~
さまざまな業界で当たり前のように行う調査にマーケティング調査があります。
そもそもマーケティングとは商品の企画、開発、設計、ブランディング、市場調査、価格設定、広告、広報、宣伝、販促、流通など幅広い分野を指します。

このマーケティングを医療に置き換えて考えると商品の企画、開発、設計、ブランディングを独自にということは、難しいですね。
価格も診療報酬点数で、自分たちで勝手に決められません。広告や広報も医療法、薬事法、健康増進法、不当景品類および不当表示防止法、不正競争防止法などさまざまな法律で規制がかかっています。
そこで、医療におけるマーケティングは市場調査がメインということになります。

すなわち、自分たちの病院の周りに、どんな疾患の患者が何人いるのか?その患者はどこの病院へ受診しているのか?なぜその病院を患者は選んだのか?ということが、医療のマーケティング調査の基本となるのです。
自院が都心のど真ん中にあり、周りに子供が少ない場合に小児科が流行るとは思えないですよね。
昼間人口は多いですが、夜間人口が少ない。持ち家率が低いということも都心部の特徴です。都市部では都市部の特徴に合わせた機能を有した病院に患者が集まり、その結果安定した経営が可能になるということです。

高い費用を使えば、マーケティング会社が、立派な報告書を作成してくれますが、費用を最小限に抑えてマーケティング情報が入手できればこんな良いことはないですよね。
そこで、「自分たちでできる医療マーケティング」を次回のコラムでご紹介したいと思います。
使用する資料は、無料で入手できる公の資料を活用したいと思います。
本当にできると思いますか?皆さんは、どう思いますか?

次回は8月8日の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
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