第165回 医療DXと医療AI その6~コミュニケーションツール:グループウェア~

電子カルテが導入され、同時に複数人が閲覧などすることが可能になりました。医療機関内では、迅速かつ正確に情報の共有が行わなければなりません。この情報の共有化とスムーズなコミュニケーションを図るため、さまざまなツールが使用されています。その中で今回は「グループウェア」を紹介したいと思います。

医療DXと医療AI その6~コミュニケーションツール:グループウェア~

電子カルテが導入される以前は、紙カルテでした。院内に一つしかない紙カルテをさまざまな職種の方が閲覧、記入するのに順番待ちや取り合いなどがありました。いろいろな職種の方の手に渡り、現在そのカルテがどこにあるか分からなくなってしまうことも珍しくありません。そんな時「医局の○○先生の机の上!」などと紙カルテの所在をピタリと当てる職員がどこの病院にもいたものです。

現在は電子カルテが導入され、同時に複数人が閲覧などすることも可能になりました。そのため、カルテがどこにあるか分からなくなることもなくなりましたが、医療機関の各職員にとってカルテは非常に重要な情報であることは昔も今も変わりありません。

医療機関内では、迅速かつ正確に情報の共有が行わなければなりません。この情報の共有化とスムーズなコミュニケーションとを同時に図るため、今までさまざまなツールが開発、使用されてきました。その中で今回は「グループウェア」を紹介したいと思います。

グループウェアとは

グループウェアとは、院内外の情報共有とコミュニケーションを円滑にし、業務の効率化を目指すためのサービスです。さまざまな機能が一つのプラットフォームに搭載されています。主な機能として、メール・スケジュール管理・タスク管理・Web会議・掲示板などがあり、職員は互いのスケジュールを簡単に確認し、業務を効率的に進められます。また、プロジェクトの進行状況や必要な情報をリアルタイムで共有することも可能です。グループウェアの機能は大きく七つあり、この機能を満たすものが多く選ばれているようです。

  1. 院内情報共有機能
  2. 設備予約機能
  3. スケジュール管理機能
  4. 資料管理機能
  5. 掲示板機能
  6. 医療機器との連携機能
  7. オンライン会議機能

特に緊急時に正確な情報を同時に配信、伝達することは災害時などの場面で強く求められます。BCP(事業継続計画)などにも災害時のこのような情報配信、共有ツールが記されているケースも多くあります。
最近このようなケースも想定して利用の検討が高くなっているのがビジネスチャットです。チャットといえば、LINEやMessengerなどが個人用チャットでプライベートでは使用されていることが多いと思いますが、ビジネスチャットは、この個人用チャットの機能に加え、業務で利用できるような機能が強化されています。

具体的にはグループチャット、ファイル共有などです。院内のツールとしてのデータ連携、管理者によるアカウント管理も可能です。もちろん、情報漏えいなどへの対策も行われています。チャットのやり取りで発生したタスクをToDoリストとして管理したりできます(自動でToDoリストを作成してくれる機能もあるようです)。このような機能は災害時に役立つだけではなく、普段の業務においても業務効率が進み、働き方改革にも大いに役立ちます。

医療機関で求められている「非接触」

コロナ禍の影響で、「非接触」というキーワードも世の中に浸透しはじめました(エレベーターの非接触型ボタンなど)。医療機関内では、接触によりさまざまな感染症に感染してしまうリスクが格段に高いため、接触を極力避けることは職員の安全を守るためにも必要です。

非接触型のコミュニケーションツールとして、Appleデバイス管理ソリューション(Jamf Pro)で管理されたiPadを導入して活用している医療機関があります。このツールによって遠隔でも患者とタブレットを通じて対面でコミュニケーションが取れます。特に救急患者の搬入時、患者はどのような患者なのか不明なことが多いです(どのような感染症なのかを含めて)。緊急患者の搬入時には感染症に罹患(りかん)していることを前提で準備をしていますが、経費も掛かりますし、処置などにも影響が出たりしますのでなるべく早く患者のさまざまな情報を知ることは重要です。

さらにこのiPadの活用は院内のシステム系スタッフの業務負担軽減にも役立つという報告があります。例えば、院内に小型IoT機器を設置し、管理者のよるユーザー管理から院内スタッフ間のコミュニケーション(ビデオ通話によるスマート内線)の通信まで、インターネットを経由せずに院内完結させることができます。また院外の患者とのオンライン診療のケースでは、通話開始前に外部サーバーへの問い合わせは発生しますが、接続確立後は端末間の直接通信に切り替わるため、通話の内容がサーバーや他のコンピューターを経由することがありません。
iPadの機能により、動画でマニュアルを作成することも可能です。患者やスタッフへの操作説明もほとんど接触しないで行えるようになります。

業務負荷の軽減につながるペーパーレス化

iPadをはじめとするタブレットの導入は院内スタッフの業務負荷軽減につながります。前述した電子カルテは導入されているものの、手術の同意書など紙文書への押印など、まだまだ「紙」が多く存在しているのが現状です。タブレットの導入活用によりペーパーレス化が進み、情報共有ツールとしての活用も広がっています。タブレットの導入からスタートすることも検討の価値はあると思います。

皆さんはどう思いますか?

次回は10月8日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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