第166回 医療DXと医療AI その7~オンライン診療 ハイブリッド手術室~

オンライン診療は医療従事者への感染を防ぐだけではなく、同時に収入も増えるというのが医療機関の積極的な取り組みの動機になっています。さらに現在進行中の電子処方箋の発行もオンライン診療を後押しする背景としてありますので、今後も拡大する可能性が高いと考えられます。

医療DXと医療AI その7~オンライン診療 ハイブリッド手術室~

医師と患者とが対面診療を行う姿は、以前は当たり前でしたが、特にコロナ禍以降はオンライン診療の姿も当たり前の姿になってきたのではないでしょうか。コロナ禍以前もオンライン診療はありましたが、やはりコロナ禍をきっかけにオンライン診療を実施する医療機関が一気に増加しました。特に2020年度診療報酬改定によってオンライン診療の対象疾患が拡大したことが大きな要因です。

医療従事者への感染を防ぐだけではなく、同時に収入も増えるというのは、医療機関のオンライン診療への積極的な取り組みの動機になっています。さらに現在進行中の電子処方箋の発行もオンライン診療を後押しする背景としてありますので、今後も拡大する可能性が高いと考えられます。

オンライン診療のメリットとデメリット

あらためてオンライン診療について、メリットとデメリットをおさらいします。まずメリットですが、何といっても医療従事者などへの感染リスクが軽減されることが挙げられます。この感染リスクの軽減は医療従事者だけではなく患者側のメリットでもあります。次に医療機関への集患手段が増えることになります。患者が医療機関に行かなくても診察してもらえることは患者側もメリットです。同様に感染症だけではなく、医療機関に行く体力がない患者への診察も可能です。在宅医療の第一歩にもなります。

しかし、メリットだけではありません。考えられるデメリットは、対面診療に比べて、得られる情報に限りがあるということが考えられます。画面を通して患部診察しますので、「はっきり見えにくい」や「電波状況が悪い」などが想定されます。さらには「匂い」がないことや、色がはっきりしないことがあるなども考えられます。医師は限られた情報の中で診察を行うことになります。

そして、オンライン診療の最大のデメリットかもしれませんが、ITリテラシーが一定レベル必要であるということです。オンライン診療をスムーズに行うためには、医療機関側だけではなく患者側にも一定のITリテラシーが求められます。特に高齢者患者ですと難しい場合があります。オンライン診療を開始する前には医療機関側はもちろんのこと、患者側のサポート体制などもある程度解決しておかなければなりません。

現在はオンライン診療ツールがさまざまあります。ここで幾つかご紹介します。

ポケットドクター(MRT株式会社、株式会社オプティム)

march(株式会社Wrusty)

Medibot診療(株式会社ソラリウム)

YaDoc(ヤードック)(株式会社インテグリティ・ヘルスケア)

それぞれのシステムにそれぞれの工夫や特徴があり、費用もまちまちです。自院の状況などに応じて選択することが肝要です。

病院経営で重要となる手術室の稼働と管理

次に手術室についてです。病院の経営面から手術室の稼働、管理は非常に重要です。診療報酬の点数上から見ても、手術点数は、他の医療行為に比べはるかに高い点数がついています。さらに難易度の高い手術の取り組みなどは医療の質向上につながり、病院自身の知名度向上、ステータス向上にもなります。

ハイブリッド手術室

ハイブリッド手術室とは、患者への負担を極限まで低くするために最小侵襲手術の進化の過程で誕生しました。ハイブリッドカーは、ガソリンと電気との組み合わせですが、ハイブリッド手術室は、エックス線撮影やCTなどの画像撮影装置と手術室との組み合わせです。このことにより、患者は手術台のうえで画像撮影が可能になります。カテーテル治療と外科的な手術とが同時(もしくは併用)に行えます。現在では、多くの病院が導入をしています。

スマート手術室

さらにこのハイブリッド手術室をベースに、IoTやクラウドプラットフォーム、人工知能など、最先端の技術を活用した情報システムを備えたものが「スマート手術室」と呼ばれています。

“情報システムとつながる”とは、主に手術室内のスタッフの動きや患者のバイタルサイン(血圧・心拍数など)を読み取るセンサーがありますが、こういったセンサーは、ソフトウェアを組み合わせた情報システムに相互につながれているということです。

センサーが読み取った位置データ、医療機器からの血圧や血中酸素濃度などの基本データ、イメージングデバイスからの術中画像、患者固有のデータが全てこの情報システム上に送信され、管理されています。このプラットフォームでは、統合された複数の画像データを外科医や看護師のために、手術室内の高解像度のスクリーンに同時に映すことも可能です。

また、手術中に他の医師に助言を求めたり、医学生や研修医の教育を実施したりする目的で、遠隔で画像の配信を通したコミュニケーションを取ることもできます。さらに人工知能やビッグデータアナリティクスの活用により、手術から収集したデータをベースに予測情報を生成し、医療ミスを減らす役割を持たせることもできます。まさに「未来の手術室」と思われるかもしれませんが、このスマート手術室が今後、世界の手術室のスタンダードになると考えられています。

皆さんはどう思いますか?

次回は11月12日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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