第18回 収入改善編 未収金回収

■未収金対策の重要度アップ
医療は日進月歩です。
高度医療が増加するとともに当然請求額も高額になります。
さらに社会保障費抑制政策により医療機関の収益は伸び悩み、あるいは減少し、長引く経済不況のため、患者も経済的困窮者が多くなり、医療費支払い不能者も多くなってきています。
その結果、医業経営が逼迫(ひっぱく)してきます。未収金の回収の重要度も当然高くなります。

今回は未収金の回収についての注意点はもちろんですが、そもそも未収金を発生させないためにはどうしたらよいかを考えます。

なお、未収金には、窓口未収金と保険未収金とに分けられますが、今回は窓口未収金(以後未収金)について考えます。

未収金の発生件数を外来、入院で分けると、外来での未収金発生件数はどの医療機関でも50%以上を占めると思われます。しかし、未収金額の面でみると圧倒的に入院医療においての未収金額の方が多くを占めます。
外来であれ、入院であれ回収には多大な労力を要します。それでも回収しなければいけないのですが、どうせ労力を使うのならば、未収金の発生を未然に防ぐほうに使いたいです。

■二つの未収金発生原因と未収金対策の四つの視点
発生原因は大きく二つに分けられます。
一つは、患者自身や患者家族の自己責任の放棄、二つめは病院側の説明不足や医療情報提供不足です。
特に二つめの原因は病院自身にあるのですから、必ず必要な説明は実施し、患者の承諾を事前に得ること。その際には押印やサインなどもらうことが大事です。
これらの書類の有無は後に未収金回収の際の成功のカギになることもあります。

具体的な未収金対策を行うときに、四つの視点から対策を実施すると漏れがない対策が立てられます。
一つ目は未収金発生防止の視点、二つ目が管理の厳正化、三つ目が回収強化、そして四つ目が支払簡便化です。

発生防止対策の最初は、現在、および過去の滞納履歴の有無を確認し、未収金発生リスクの高い患者を早くピックアップすることです。
発生リスクが高いかどうかが事前に分かっているかどうかだけでも、職員の意識も対応も違います。
リスクが高い患者がいた時は、相談窓口への誘導や、ソーシャルワーカーによる対応など相手が相談しやすい環境を整えることが重要です。
次に管理の厳正化ということですが、どの管理を厳正化するかというと各確認事項の厳正化ということです。
最も基本的な確認事項は「保険証の確認」ですが、徹底して実施している自信はありますか?また未収金が高額になりやすい入院医療においては、連帯保証人を設定している病院も多いと思いますが、救急入院など事前に連帯保証人を設定できないケースもあります。
その場合の対策はどうしていますか?計画入院の場合は、入院時に預り金をして、退院時に精算する制度を導入することで、少しでも未収金発生が抑えられます。同様に救急外来受診時に保険証不携帯の場合などは、いったん全額患者負担していただき、後日保険証を持参してもらい精算する形をとることや、全額負担が無理だとしても少しでも金額を預けていただくようにすることが大事です。
また事故などの第三者の要因での受診の場合、最終的な支払先が不明確な場合でも、いったん患者に一時負担をお願いすることを徹底しましょう。
発生しまっている未収金の回収ですが、回収の責任は明確ですか?担当者は決まっていますか?最近は未収金の回収を弁護士事務所など病院外に委託するケースも多いようですが、すべてを委託して自らの責任を果たしていると言えますか?委託の有無に関わらず未収金担当者を決め、責任の所在を明らかにして、具体的で的確な回収手段を用いて未収金を回収しましょう。場合によっては担当者ばかりに責任を押し付けるのではなく、回収強化月間などを設定し、課全体の責任で回収活動を実施することも重要です。
具体的には、内容証明郵便や電話による督促、戸別訪問などがあります。
ちなみに内容証明郵便は公的に文書の内容を証明してくれる制度で、間接的な強制力もあります。
未収金回収には3年間という時効がありますが、内容証明郵便による督促で、時効を6か月延長することができます。
その間に訴訟提起の有無を検討するなどを行います。
支払い契約書や誓約書を記入していただいた場合は、その契約が正しく履行されているかのチェックを必ず実行してください。
そして患者が少しでも支払いやすくするために多少は妥協することも大事です。
具体的には少額返済や一部返済。
また支払い手段も現金が理想的ですが、カード決済への対応なども必要です。

■法的手続き
できれば避けたいですが、法的手続きを五つご紹介します。

  1. 少額訴訟制度
    60万円以下の金銭トラブルを1日で審査し、判決が出ます。弁護士への委任がなくても本人自身で訴訟を追行できるように工夫されています。
  2. 支払督促
    裁判所名で督促状を送付し、2週間以内に異議申し立てがなければ強制執行手続きをとって再建回収ができます。
  3. 民事調停
    代金支払いなどのトラブルに対して裁判所が民間から選ばれた調停委員が第三者として公正な立場で話し合いを調整します。
  4. 民事訴訟
    弁護士に依頼し、判決が確定すれば場合によっては強制執行することができます
  5. 強制執行
    判決が出ても相手が支払わなかった場合に相手方の住所地の裁判所へ申し立てることで相手側の財産を差し押さえることができます。

※法的な手続きは、様々な条件などがありますので、詳細についてはご確認ください

実際には法的な手段まで取らなければいけないケースは、病院側もリスクが伴いますので、ほとんどありません。
しかし、今後医療機関の経営が困難になり、未収金対策についてもさらに強化しなければいけないことになる可能性があります。
まずは未収金を発生させないことが一番。
特にリスクの高い人がいれば、日ごろから十分な相談体制を整え適切なアドバイスを送れる体制を整えましょう。
皆さんは、どう思いますか?

次回は5月15日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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