第100回 問題解決能力

皆さんのおかげで、このコラムも無事に第100回を迎えることができました。この場をお借りして御礼申し上げます。本コラムの内容が医療現場の皆さんにとって、少しでもお役に立つよう今後も努力してまいりますので、引き続きよろしくお願いします。

問題解決能力

今回は「問題解決」についてです。医療にかかわらず、さまざまな場所で日々、大小の問題が発生し、都度その対応や解決に当たっていらっしゃると思います。特に管理職など上級職になればなるほど、高度な問題解決能力を求められるのではないでしょうか。そこで、今回はこの「問題解決」に焦点を当てたいと思います。

最初に問題解決能力についてですが、言葉どおりの問題を解決する能力以外に、さらに二点重要な事柄があります。それは、「問題発見能力」と「解決策実行能力」です。部下や他の職員から相談される「問題」を能動的に解決するだけでは、単に対応処理が上手というだけです。

自らが「問題」を発見し解決する積極的問題解決能力が重要です。

いくら完璧な解決策を立てられても、実行できなければ何の意味もありません。医療機関は少々特殊な職種構造ですので、その特徴を考慮して解決策を実行することが肝要です。

問題発見のために

先入観や固定概念の少ない職員の話に耳を傾ける

問題を発見するために、既成概念に捉われていては、問題発見は困難です。自院の常識を一度頭から外す必要があります。しかし長年勤務し続けると、「これはこういうもの」という固定観念が出来上がってしまいます。そこで固定概念が全くない新入職員などにいろいろと話を聞くことで、気づきにくかった問題を発見・認識することができます。

他の医療機関と比較する

他医療機関への施設見学も自院と比較ができ、問題発見に役立ちます。入職以来、他施設への見学に一度も行ったことがない職員もたくさんいらっしゃると思いますが、他施設の見学は得られる内容が非常に多いので積極的に見学に行かれることをお勧めします。

「前向きな思考」で物事の本質を見極める

問題を発見しようとする自分自身の心の持ち方も大切です。せっかく目の前に分かりやすく問題が転がっていても、見つけようとする心の目がなければ見つけられません。見つけようとしなければ、物事の本質は見えてこないのです。「前向きな思考」かつ「論理的な思考」で物事を見つめる癖をつけましょう。「前向きな思考(Positive Thinking)」は、問題発見だけではなく、解決策の立案にも役立ちます。むしろ、前向きな思考にならなければ、良い解決方法は出てきません。医療機関内は、「どうせできない」「無理」「うちは特殊だから」など「NO」の結論ありきの後ろ向きな思考の方が多い気がします。ぜひ「YES」から入るポジティブシンキングで考えてください。

問題解決プロセス

問題の解決プロセスはシンプルです。問題を発見したら、その背景や歴史を考えます。次に問題自体の内容分析を行います。すなわち問題の原因を探っていくのです。問題が起きた(複数の場合もあり)原因を調査し、その原因が起きた原因をまた調査し、この調査を繰り返し、真の原因を探り出します。

原因追究の注意点と施策

この時の注意点としては、最下層の原因が真の原因ではないケースもあります。この原因追究に漏れがあると、後の解決策の方向も誤ってしまいますので注意が必要です。漏れがないように取り組む手法としてMECE(注)の手法を採用することもいいと思います。

問題の原因が判明したら、いよいよその原因を取り除くための施策を考えます。問題の解決策です。解決策の立案も慎重かつスピーディーにしなければなりません。仮に立案し解決策を実行した場合、新たな問題が発生しないかどうか。その解決策は全体最適な方法なのか部分最適な方法なのか、解決までにどのくらいの時間を要するのか、そもそもこの解決法自体に漏れなど不具合はないのかなどをチェックする必要があります。この過程を経て完成した解決策をすぐに実行するわけではありません。多くの場合、上司の承認を得なければ、実行に移せません。そのため、上司への説明資料を作成する必要も出てきます。問題の定義、問題放置の影響、問題の背景、問題解決のメリットなどから始め、解決策を立案する際の作業(原因追究)をまとめ、解決策へと導きます。そこで美辞麗句だけを並べ立ててはいけません。仮に部分最適であれば、その点も明らかにしておく必要がありますし、何より、デメリット面やコストがかかるのであればコストの算出も行う必要があります。上司には正しく理解してもらい、正しく判断をしてもらわなければなりません。承認を得たら実行に移ります。実行後に予想外の不具合などが発生する場合もあると思いますが、そこは立ち止まらず実行しながら、修正するという考え方がよいでしょう。

  • (注)MECE:Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive
    漏れなく、ダブりなくという意味で、ロジカルシンキングの一手法。このような手法を駆使し、原因の追究や解決策の立案を考えると漏れがない。

皆さんは、どう思いますか?

次回は5月13日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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