第111回 医療機関の「人材採用」について

あるクリニックでは、経営的な手腕を活かし業務拡張や戦略的な経営に着手したいが、1年中人の採用に奮闘していて全くできないと耳にしました。このように「ひと」に悩まされている医療機関は多いのではないでしょうか。

医療機関の「人材採用」について

「1年中、人探しだよ」
出だしから何だと思うでしょうが、あるクリニックの事務長のボヤキです。看護師を探し、事務員を探し、1年中人の採用に奮闘しています。本来は、経営的な手腕を活かし業務拡張や戦略的な経営に着手したいのですが、全くできないとおっしゃっています。このように「ひと」に悩まされている医療機関は多いのではないでしょうか。

一般的なひとの採用プロセスは、採用に関する計画を立案し、採用手法の検討をし、実際にひとの選考に入るということになります。採用に関しての計画では、職種、スキルなどと何人必要なのか、いつ採用するのかなども決めることになります。前述した事務長がいらっしゃる医療機関は退職者の補充を頻繁に行っていますので、1年中採用のことに頭を悩まされています。退職者補充のような場合は、タイミングが重要になります。また新卒採用などの定期採用では、何人採用するかといった人数がポイントになります。

採用計画のポイント

なんといっても募集要項の内容が重要です。給与条件、福利厚生などを単純に羅列するのではなく、目につきやすく、心が引かれるような表現にすることに気を付けます。応募を検討している人は、他の多くの募集要項と見比べていますので、その中から選んでもらうことを意識しなければなりません。そのためには他の医療機関の募集要項がどのような表現しているのか把握することも大事です。

例えば、週休○日とか休みに関しての表記がありますが、よく計算してみると年間の公休日の数が多いのはAではなくBだったとか、あるいは、賞与に関しては賞与2カ月分とか3カ月分という表記を見かけますが、そもそも○カ月分というのは、基本給の○カ月分という計算になりますので、基本給が異なれば、3カ月分とされている賞与より、2カ月分とされている賞与のほうが実際の手取り金額は多かったということも考えられます。また「働きやすい職場です」という表現もよく見かけますが、もう少し具体的に、例えば「院内保育園を完備していますので、ママさん看護師にも働きやすい職場です」などとイメージしやすいように表現することを心がけます。

さらに募集に関しては条件面の提示だけではなく、採用する側からのメッセージも同時に発信することを強くお勧めます。その理由は、理念や院長の考え方のメッセージに共感して応募してくる人は長期にわたって勤務してくれる可能性が高い人材だからです。

採用手法のポイント

まずは募集媒体の検討です。一般的には無料のハローワークやeナースセンターや自院のホームページに掲載します。コストをかけるのであれば、人材紹介会社、折り込み広告、各種看板などの募集媒体も検討します。人材紹介会社は、医療系の人材紹介会社だけで、数百社あります。契約内容もさまざまですので、事前に契約内容の確認などをしておきます。

折り込み広告をするのであれば、その折り込み広告が配られる地域に注意が必要です。応募者の希望属性が若い世代や主婦だとすれば、その折り込み広告が配られる地域にそのような人が多くいる地域なのかどうかということが重要だからです。

近年、応募者のほとんどは、インターネット媒体で情報収集していますので、その点も考慮する必要があります。特に若い世代、新卒者はインターネットで検索、エントリーを行うことがほとんどです。

さらに現在勤務している職員のコネクションや紹介も応募ルートとしてあります。紹介してくれた職員に紹介手当なるものを支給する医療機関も珍しくありません。しかし、この方法がうまくいくかどうかは、日ごろ職員を大事にしているかどうかにつながります。「自分が勤めている職場はこんなに良い職場だ」と思ってくれれば、自然と知人に話してくれる可能性が高くなります。

選考のポイント

まれに面接に来た応募者を大切に扱わない医療機関がありますが、それは論外です。多くの面接をする採用者にとって採用に関する業務は大きな負担になりますが、心して対応しなければなりません。採用者の負担軽減のために、また採用を平等に行うために選考についてある程度定型化、マニュアル化しておくとよいと思います。今回は採用計画シートをご紹介します。

採用計画シート

1.履歴書チェックリスト

採用テーマ職種募集人数雇用形態性別
年齢範囲募集ルート勤務開始日勤務時間帯通勤時間
交通費年収範囲取得資格・技能経験年数その他

2.要注意履歴書記述箇所

体裁・日付
字が丁寧でない/修正ペンを使用
写真
スナップ写真を使用
住所など
連絡先として、現在の勤務先のアドレス
学歴
学校名などを省略している
免許・資格
名称を省略している
本人希望欄
空欄や特になしと記述している
自己PR・志望動機
前の職場の悪口が記載している
封筒
差出人氏名がない

3.面接者の心得

最重要視項目確認話を途中で遮らない和やかにリラックス身だしなみ受け答えの様子を確認
全体の雰囲気を確認応募者の目を見て話すできるだけ複数人で面接するNG質問はしない応募者に礼儀をもって接する

4.面接時の質問例とその意図

社交性友人の数とその構成は?友人とのつながり、何でも相談できるなど具体的な話まで広がれば、社交性がある
人間性トイレ掃除をみんなやりたがりません。あなたならどうしますか?「自分でします」より、「当番制にします」や「みんなで話し合います」といった返答が高評価
状況適応力仕事が終わって予定があるときに、他の人から仕事を頼まれた。どう対応しますか?重要な予定であれば、その旨を伝える。同時に仕事の内容を確認して調整するなどの気遣いもほしい
協調性職場に苦手な人がいます。どうしますか?「仕事に支障が無いようにする」という返答よりも「仲良くなれるように努力する」ほうが高評価
忍耐力現在、継続している習慣はありますか?継続的な努力をしているかどうかが忍耐力の判断となる
目的意識最後に何か質問はありますか?質問無しは論外。休日などの仕事以外の質問より、仕事の具体的な質問があれば高評価

選考基準は人柄、経験、スキルの三要素です。医療機関ごとにこの評価軸の重要視度合いが異なると思いますので、例示した質問も医療機関ごとに工夫が必要です。

最後に人材採用は、戦略的マネジメントです。まずは自院の人材、スタッフを大切にすること、見直しをすることから始めたらどうでしょうか。

皆さんは、どう思いますか?

次回は4月14日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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