第90回 経営課題の具体的な戦術 その2

今回は、紹介率を上げるためにはどうしたらよいかということがテーマです。紹介率を上げるためには、同業者から選ばれるために、どうしたらよいかということを考えることが重要です。

経営課題の具体的な戦術 その2

今回は、紹介率を上げるためにはどうしたらよいかということがテーマです。「患者を紹介される」ということを改めて考えてみると、多くの医療機関がある中から、同業者から選ばれるということです。紹介率を上げるためには、同業者から選ばれるために、どうしたらよいかということを考えることが重要です。

まず医療機関が患者を紹介するケースを考えてみます。自院で治療が行えないので、他の医療機関にお願いすることが患者紹介です。自院で治療が行えない理由は、専門外とか重症度が高いなどが理由として考えられます。特に注意しなければならないのが、重症度が高いので(自院では対応ができず)患者を紹介されるケースです。技量的な観点から患者を紹介するケースもあるでしょうが、自分でも対応できるが、今の施設の設備的な理由から患者を紹介せざるを得ないというケースも考えられます。特に後者の場合は必要な治療が終了して、患者が自院に戻ってきたときに紹介元の医師にも納得してもらうことが、次の紹介患者に繋がることですので、重要です。そのためには、小まめな報告が必要です。

報告の実施

患者が紹介された場合、ご紹介された患者が来院されました。診察の結果、(先生の御高診と同様)○○と考えられます。というタイミングで1回目の報告を紹介元の医師に行い、次に、このような方針で治療を行いました。治療を実施した結果、患者はこうなりました。と2回目の報告を紹介元の医師に行います。そして、退院などをするタイミングでその後のフォローをお願いしますと3回目の報告と共に患者を紹介元にお返しすることになります。この3回の報告を基本として、もう少し細かな報告をあと2回ほど行うことが紹介元の医師から信頼されることに繋がります。直接紹介先の医師から紹介元の医師に連絡を取って頂くことが可能ならば、そちらの方が効果的です。

専門性の強化

患者を紹介されることは、「選ばれる」ことだと述べましたが、皆さんだったらどのような医療機関を選びますか。自分のところではできない専門性の高い医療機関を選ぶのではないでしょうか。選ばれる理由が「高い専門性」であるならば、医師、スタッフ、医療機器などそれぞれ必要な投資を行い、専門性を高くすることが必要です。専門性を高くするためには、そのための資金も必要になります。資金が潤沢にあるならば良いですが、多くの医療機関はポイントを絞って資金を投入しなければなりません。そのためには「選択と集中」が必要です。どの分野を強化するのかという選択と、選択した分野に集中して設備投資などを行い強化していくということです。この選択と集中を行うためには、選択しなかった分野を他医療機関にお願いするということも含まれます。SWOT分析や原価計算などを行い自院の強みや弱みを把握しておくことは正しい選択をするためにも必要です。

専門性をアピールする方法としては、外来の診療科名を消化器外来や呼吸器外来などのように臓器別にしたり、糖尿病外来や更年期外来といったように疾患名など具体的なイメージが湧きやすい名前に変更することや専門医などの資格を持った医師がいるのであれば、一緒に情報発信することも大事です。

さらに(入院)患者が紹介される理由の多くは「手術」のために紹介されることが多いのですが、せっかく(手術を行う)患者を紹介されても、手術室の予約が一杯など対応できない状況が続けば、紹介患者は少なくなってしまいます。従って、手術室の運営強化は、紹介率向上には必須の対応項目です。具体的には手術室の増設、手術スタッフの増員、麻酔科医の確保など手術室運営全般について見直すことが必要です。

同様の理由で、紹介患者の予約についてもフレキシブルに対応できるようにしておく必要があります。紹介患者の予約日が数か月先しか取れないなどということは避けるべきです。予約システム内に紹介患者枠を設定しておき、通常の外来患者の予約枠とは別枠を確保しておくことをお勧めします。また、外来の患者受付ブースについてですが、紹介患者と通常の患者の窓口は必ず分けてください。紹介患者を特別扱いしなくても良いのですが、特別扱いされたような気分になってもらうことは非常に重要なポイントです。その患者が紹介元の医療機関に戻った際に、「気分の良い対応だった」と伝えてもらうことで、次の患者紹介に繋がるからです。

専門性をさまざまな観点から強化したら、その強化ポイントをアピールすることも忘れてはいけません。せっかく専門性を強化しても、紹介元の医師が具体的な強化ポイントを知らないのでは選ばれる以前の問題です。ここは医療連携室の出番です。医療連携室の職員が説明に出向いてもいいですし、施設見学会などを企画して、紹介元の医師に見学してもらうことも効果的なアピール方法です。

最後は「人」

紹介率を向上させるために、こまめな報告を行い、選ばれる病院になるために専門性を高めるということをご説明しました。しかし、最も重要なことは、「紹介先の医師を紹介元の医師が知っている。」ということです。患者を紹介するということは、「人」(医師)が「人」(患者)を「人」(医師)に紹介することです。紹介元の医師にとって、紹介患者は、大事な、大事な自分の医療機関の患者なのです。その大事な患者をお願いするのですから、会って話をしたことがある医師と、顔もしらない医師のどちらかに紹介しなければならないとしたら、紹介する責任もあるのですから、会ったことのある医師に紹介するはずです。紹介元の医師と紹介先である自院の医師を引き合わせる機会を数多く設定することが、紹介率を上げる最大のポイントです。この企画部門は「地域連携室」です。賀詞交歓会やゴルフ大会から始まり、症例検討会まで、硬軟取り混ぜて医師同士が知り合うきっかけづくりを企画することは重要な紹介率向上の業務です。

皆さんは、どう思いますか?

次回は7月10日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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