第5回 2015年8月28日「女性活躍推進法」成立! ~女性活躍推進のための成功法はあるのか~

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」成立

2015年8月28日「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」いわゆる「女性活躍推進法」が成立しました。施行は2016年4月。
アベノミクスが「日本再興戦略JAPAN is BACK」(2013年6月14日)で女性の活躍を言いはじめ、昨年の国会でも取り上げられようやく成立となりました。

労働力の減少していく日本において女性活躍を一つの施策とすることは分かりますが、同時に、日本は少子化という難問にぶち当たっており子供を産むのも女性となります。ちょっとちぐはぐなこの現象を世の女性達はどのようにとらえているのでしょう?

先に結論めいたことから言いますと、女性に活躍してもらう社会を作るには大変多くのハードルがあり、22世紀までかかるかもしれません。多種多様な困難を乗り越えていく必要があります。女性を主体に謳われている今回の法律ですが、私は男性社会が変わらない限り一生懸命に女性を何とかしようとしても到底ムリであると考えます。

さて、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の中身について少々解説していきたいと思います※(最下部参照)。その前段として、内閣府が2003年に「男女共同参画推進本部」で决定し、2010年「第3次男女共同参画基本計画」で示した「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標」というものがあります。この数値をまずは達成させながらということになります。

*「指導的地位」の定義
【1】議会議員、【2】法人・団体等における課長相当職以上の者、【3】専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事するものとするのが適当(2007年男女共同参画会議决定)上記の数値目標ですが、現状はというと極めて低い水準となっています。【図1】30%を達成しているのはわずか6職種程度で、平均はというと2013年時点で11%程度となっています。一方、海外との比較になると30%を超える国が多数あり、その差は想像以上に大きいといえるでしょう。

【図1】政策・方針決定過程への女性の参画状況

【図2】就業者及び管理的職業従事者に占める女性割合

出典:内閣府男女共同参画局「1-2-9図就業者及び管理的職業従事者に占める女性割合」より引用

平成25年度男女共同参画社会の形成の状況(内閣府男女共同参画局Webサイト)

実は、「女性活躍推進法」では、認定マークを付与することになっています。「安全衛生優良企業公表制度」のWマークのように基準を設け各都道府県の労働局に申請をするのです。10月~11月にマークのデザイン選定と共に基準が策定され、実際の申請受付は2016年1月からとなります。法律の施行は4月からですから相当前倒しで実施していくことになっていまして、10年間の時限立法にした理由もそこにあります。

301人以上の企業に「女性活躍のための行動計画」策定等を義務化

今回の一番の驚きは、労働者301人以上の企業に下記の点を義務付けるということです。300人以下の企業では努力義務となりますが、義務というからには知らん顔ができません。

女性に関する労働環境の変遷

日本の、女性に関する主な労働界の動きを振り返ってみると、1986年に「男女雇用均等法」、1992年に「育児介護休業法」、そして今回となります。実に男女雇用均等法から30年が経過しました。1986年「男女雇用均等法」当時は、「総合職」、「一般職」という職種ができあがり、女性でも「総合職」で採用されると男性と条件が同じになるというのがセンセーショナルでした。しかし結婚等で一旦職場を離れると、戻ってきた際には、なかなか同期の総合職男子との見えない壁のようなものに苛まれ、退職していくという人も多く、制度が定着するには時間がかかったことを記憶しています。最近では、「マミー・トラック」などと言われています。

*「マミー・トラック」とは
子どもを持つ女性の働き方のひとつで、仕事と子育ての両立はできるものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリアコースのことです。

また、1992年「育児介護休業法」当時は、仕事と家庭の両立をいかに推し進めていくかということで恐る恐る休暇の申請をした人がちらほら出はじめていきました。ただし、2010年に「育児介護休業法」が一部改正され「イクメン」というキャッチーなものまでできましたが、男性の取得率は2013年時点で2.0%と、ほぼ取得した人は周りにいないという状況です。

女性活躍のための成功のポイントは何か?

冒頭にも述べましたが女性を何とかしようという視点ではなく、男性が変わっていかなければ女性は変われないのではないでしょうか?
クオータ制(Quota system)という政治システム等でよく使われている割り当て制度があります。海外でこのクオータ制を用い男性と女性の意識を分析する調査が行われました。
そもそも男性同士で競争する場合と女性同士で競争する場合、どちらも目一杯力を発揮するのですが、男性と女性を混合し競争させると女性は男性に遠慮してか女性同士の時より力を抜いてしまうという結果が出たそうです。
そういえば、カラオケボックスで周りの人が何十曲も歌っているのをただぽつんと聞いている女性がいて、その女性にマイクを向けると「いえ、いえ、私はいいです……。」と最初は断っているのですが、いざ曲が始まるとしっかりと歌いはじめるという現象を皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
または、飲食店でお一人さま食事をしている女性を最近ではよく見かけるようになりました。ここでも「え!そんなに食べるの?女の人って。。。」と思うほど「素」が出た時のパワーは凄いものがあります。
そもそも、男性と女性の能力差に大きな違いはないことを前提に考えれば、やはり「環境」によるものが大きいのが現在の形なのではないでしょうか?
そういった意味で、女性が課長職以上の椅子に座れる環境を男性がいかにして自然に作れるかというのが女性を成功させる一つの方法であると私は考えます。

次回は9月28日(月)更新予定です。

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この記事の著者

非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構 理事長

木村 誠

長野市生まれ
大学卒業後、国内大手生命保険会社入社。同期でトップの営業成績を挙げる。 マネジメント職についてから社長賞等を受賞。2000年6月在職中に、株式会社ユニバーサルステージの前身となるEビジネス研究所を立ち上げる。
2003年4月株式会社ユニバーサルステージ設立し代表取締役に就任。Eビジネスの企画・立案、プロデュース全般を行う。2006年6月ネット業界初のConferenceを開催。IT担当大臣、有識者、出展者約40社、参加者は1,000人を超えるWeb2.0イベントとなり、以後、約15,000名の会員組織となる。
2014年メンタルヘルス事業スタート。2015年12月施行のストレスチェック義務化対応パッケージを販売。2015年5月非営利型一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構を設立し、労働環境是正のため、社会貢献活動家として安全衛生優良企業公表制度(所管:厚生労働省)の推進を図りながら、労働者および求職者にとってホワイト企業とブラック企業を判別する情報提供に人生を賭けて取り組む。
安全衛生優良企業マーク推進機構

22世紀はたらきかた改革 ~ホワイト企業とブラック企業のボーダーライン~ バックナンバー

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