第45回 コイルセンター業務システム構築のポイント(3)

コイルセンターで受注情報を実業務で活用する方法をお伝えします。

コイルセンター業務システム構築のポイント

コイルセンターの業務システム構築・見直し・導入に数多く携わってきました。
業務システムへの要望は現状足元で困っていることや煩雑で手間が掛かっている業務の解決になりがちですが、業務をうまくシステムに乗せ効果を上げるためのポイントがあります。
前回は情報が発生した場所で入力を行い現品とシステム上の在庫を限りなく近づける重要性についてお話しいたしましたが、さらに実業務で活用するための方法についてお伝えします。

ポイント3

受注情報のシステムへの登録
客先からの受注情報をシステムに登録(入力)し、受注状況・手配状況・納入実績・(在庫充当)の管理を行う。

受注情報(以下、受注と呼ぶ)とは取引先がコイルセンターへ注文する明細のことで、規格・寸法・員数・質量(重量)・納期・納入先・販売単価・寸法公差・梱包仕様・品質仕様等の項目があります。

コイルセンターでのシステムへの受注登録の現状は大きく三つに分かれます。

1の「受注未登録」はシステムへ受注入力を一切行わないため、システムでは受注内容を検索することはできません。受注状況は営業担当が手書き台帳での落とし込み管理しています。

2の「加工引当で登録」は、受注受付時には受注登録を行わず、加工指示を入力する際に加工製品明細に受注を紐付けるため、受注量の一部手配の場合は受注残の把握ができません。このため全体の受注量・受注残もシステムでは分かりません。受注状況は営業担当が手書き台帳への記帳、手配状況はシステムでの二重管理となっています。

3は「受注受付時に受注登録」を行うため、全体の受注量・受注残・納期の集中状況・加工の山積み状況と加工引当・進捗状況がシステムで一元管理ができます。

このように受注登録を行うメリットの方が大きいとお分かりと思いますが、受注入力を行わない理由として「短納期・スポット受注が多く受注入力の時間がない」とお聞きすることがあります。

受注登録を簡素化するためには、あらかじめ受注マスターを準備することもポイントです。受注マスターには、規格・寸法・員数・納入先・販売単価・寸法公差・梱包仕様・品質仕様・使用母材・客先部品管理番号等の項目を持ち、キー項目を決めて簡単に受注登録画面に受注明細を呼び出し、受注登録時の入力軽減に配慮することが必要です。
また、受注マスターでの使用母材の登録は異材加工防止に有効で異なる母材からの加工指示を抑止することができます。

「短納期・スポット受注」のため受注マスターが事前に準備できない場合は、受注登録と同時に受注マスターを作成する機能も必要です。「短納期・スポット受注」であっても過去の受注状況や充当母材等の実績がシステムに登録され、次回受注時のスピーディーな対応と人手不足の中で営業担当以外でも加工手配ができる状況整備にもつながります。
受注受付時に販売単価が決まっていない場合は仮販売単価で受注登録を行い、出荷時までに正式単価に修正する運用もできます。

また、受注マスターは客先から受注をEDIで受け取る場合にも役立ちます。
客先からEDIで送られる受注情報にはコイルセンターで加工手配に必要な情報が欠落しています。例えば、客先からのEDI情報の項目は客先の部品管理番号と数量・納期だけで、コイルセンターに必要な規格・寸法の項目は含まれていません。EDI情報の部品管理番号をキーに受注マスターで変換し、コイルセンターで必要な情報を付加した受注情報の生成が必須となります。

受注登録を行うことで、システム内の情報から需要・販売予測、加工負荷予測、配車計画を組み立てることが可能となり、加工手配・進捗状況管理も一元化されシステムの活用度が飛躍的に向上します。

次回は2月9日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社日本金城印 横浜オフィス シニアマネージャ

三山 裕司

2003年10月、株式会社CANVASを起業。
2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移し現職。
鉄鋼流通/コイルセンターの実務とITに精通した専門家集団として、業務改善・システム導入でお客様をサポート。RFIDを代表とする自動認識技術・物流効率化を実現するサービス・システムの情報提供・導入支援を行う。
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